(審決の効力)実意商
第一六七条
何人も、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決の登録があつたときは、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
(改正、昭六二法律二七、平五法律二六、平一五法律四七)
旧法との関係
趣旨
本条は、審決の効力について規定したものである。この規定は明治四二年制定の
特許法から設けられたものであるが、具体的に適用ある例としては次のような場合が考えられる。甲の特許権について乙が特許権について乙が特許無効の審判を請求し、出願前に某新聞にその発明の記事が掲載されていたから新規性がないことをその請求の理由としたと仮定する。審理の結果、乙の主張が容認されずに甲の特許権についての無効の請求を棄却する旨の審決が確定した後、丙が乙と同じ理由で甲の特許権について無効審判の請求をすることができることとすれば、同じ審判手続を繰り返すことになって煩雑であるので、このような事態が生ずるのを防止するために設けられたのが本来である。ただ本条の表現からも明らかなように、事実又は証拠が異なれば無効審判を請求することができる。たとえば、丙が甲の特許権は後願であるにもかかわらず特許されたことを理由とし、あるいは出願前に公知であったから新規性がないことを理由としているとすれば、設例の場合でも無効審判を請求することができるのである。本条は単に「確定審決」と表現するが、無効の審決があったときは、無効の審決があったときは、特許の処分はなくなるのだから、それについてさらに無効を争う事態は考えられない。したがって、無効の請求を容認しない審決があったときにのみ本条の適用があるものと考えられる。
本条が確定審決の登録があった時点で区切ったのは、それによって一般の第三者がその事実を知ることができると考えたからである。したがって、乙が甲の特許権について、それが後願であることを理由として無効審判を請求した後、その確定審決の登録の前に丙が甲の特許権について後願を理由とする無効審判を請求することはもとより認められる。
なお、平成一五年の一部改正において、一二三条一項の審判及び一二五条の二第一項の審判を特許無効審判及び延長登録無効審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。(青本第17版)
最終更新:2009年12月28日 22:52