(費用の額の決定の執行力)実意商
第一七〇条
審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
旧法との関係 一二〇条
趣旨
本条は、費用の額についての確定した決定の執行力に関して規定したものである。
前条の規定により費用を負担すべき者が費用の支払をしない場合に備えての規定である。例をあげて説明しよう。特許権者甲に対して乙が無効審判を請求し、特許を無効にすべき旨の審決があったときは、前条の原則にしたがえば、甲が費用を負担しなければならない。甲が乙に支払うべき額に関して両者の間に紛争を生じ前条五項の決定を得たが、甲はなお不満で支払いを遅延しているときに、乙が甲に支払を強制できることにしたのが本条である。すなわち、乙は費用の額についての確定した決定を債務名義として、甲の一般財源に対し民事執行法の規定により強制執行をすることができる。費用の額の決定に対しては行政不服審判法にもとづく異議申立をすることができ、さらに行政事件訴訟法にもとづいて訴訟を提起できるわけであるが、これらの方法による不服を申し立てず、又は不服申立方法が尽きて決定が確定したときにはじめて、執行力のある債務名義と同一の効力を有するのである。旧法には「保証金額ノ確定ノ決定」という表現があったが、この法律では「保証金」はすべて「裁定で定める対価」とし、しかも対価が支払われないときには裁定事態が失効する(八九条)という構成をとったので、本条の問題ではなくなった。
[字句の解釈]
1 <債務名義>国の強制力によって失効されるべき請求権の存在及び範囲を表示し、かつ、法律により執行力を付与された公正証書をいう。民事訴訟法上では、確定判決、仮執行の宣言を付した終局判決、和解調書等が債務名義とされている。
2 <執行力>民事訴訟法上、判決の主文に掲げられた給付義務を強制施行によって実現できる効力をいう。(青本第17版)
最終更新:2010年01月07日 03:39