旧法との関係 一二三条
趣旨
本条は、再審における準用条文について規定したものである。
旧法は「各其ノ審級ノ手続ニ関スル規定ヲ準用ス」と極めて簡単に規定していたが、審判の種類が異なれば再審において準用する条文も異なるのは当然である。したがって、本条は審判ごとに項を分け、準用する条文を詳細に規定した。すなわち、再審の請求自体については一三一条(請求の方式)を、その後の事件の再審理に関しては一三二条から一七〇条までの規定を準用している。準用されないものとしては第一に一五三条があるが、これは同条の特則を本条四項として規定したためである。第二に一六一条及び一六六条があるが、これらはいずれも「第百三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第百四十八条並びに第百四十九条の規定は、適用しない」という規定であり、一三四条一項等の準用をあらかじめ外しておけば、こうした適用除外の条文をさらに準用する必要性が全くないからである。
一項は拒絶査定に対する審判に関するもの、二項は特許無効審判及び特許権の存続期間の延長登録無効審判、三項は訂正の審判に関するものである。
四項は「裁判所は、審理開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。」という民事訴訟法の規定を準用したものであるが、民事訴訟法三四八条一項はこの法律の一五三条と抵触する性質の規定である。審判においては職権主義の原則から当事者が申し立てない理由についても審理することが出来ることにしているが、再審は確定審決の効力を争う非常の不服申立方法であることにかんがみ、判断の範囲を狭く限定すべきであるという理由で上記民事訴訟法三四八一項を準用し、現行法一五三条を準用しなかった。なお、旧法一二四条は民事訴訟法四二一条、四二二条、四二六条から四二八条までを準用していたが、旧民事訴訟法四二二条は抗告審判制度の廃止により不要となり、旧民事訴訟法四二六条は本条がこの法律の一三一条を準用している関係上、重複することになる。また旧民事訴訟法四二八条は民事訴訟法四二一条(現行民事訴訟法三三九条に相当)は再審の請求に関するものであるため一七一条二項で準用し、旧民事訴訟法四二七条(現民事訴訟法三四八条一項に相当)は本条四項で準用することにしたのである。
また、再審は、確定審決の可否を争うものであって、無効審判の再審中に再度訂正を認めて、確定審決の対象が変更されることは妥当ではないことから、一項において一三四条二項(無効審判中の訂正)は準用しないこととするとともに、一二九条一項(訂正無効審判)が廃止されることに伴い、該当箇所を削除した。
さらに、二項において、従来の一三四条三項が一三四条四項へ移動したこと、従来の一六四条二項、一六五条(請求公告制度)が廃止されるとともに従来の一六四条一項(訂正拒絶理由通知)が一六五条へ移動したことに伴い、該当箇所を改正した。
平成六年の一部改正では、特許異議の申立てにおける取消決定に対する再審を一項に追加したことに伴い、平成五年の一部改正後の一項以下を一項ずつ繰り下げた。
また、平成八年の一部改正においては、審判長による不適法な手続の却下について規定した一三三条の二を新設したことに伴い、一項、二項及び三項において当該規定の準用を追加した。
さらに、四項は平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、準用する民事訴訟法規定の条番号を旧四二七条一項から三四八条一項へ変更したが、新しく準用する三四八条一項の規定中「再審開始の決定が確定した場合には、」の部分については、再審開始の決定の手続は民事訴訟法独自のものであり、
特許法では採用していないため、当該部分については適用がないものとして取り扱う。
なお、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。また、一二一条一項の審判、一二三条一項の審判、一二五条の二第一項の審判及び一二六条一項の審判を、拒絶査定不服審判、特許無効審判、延長登録無効審判及び訂正審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。(青本第17版)