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特許法第一八四条の九

(国内公表等)
第一八四条の九
特許庁長官は、第百八十四条の四第一項[外国語特許出願の翻訳文提出]の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第二十一条[国際公開]に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては、出願審査の請求の後)、遅滞なく、国内公表にしなければならない。(改正、昭六〇法律四一、昭六二法律一一六、平一一法律四一、平一四法律二四)
2 国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許出願の番号
三 国際出願日
四 発明者の氏名及び住所又は居所
五 第百八十四条の第一項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第二項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第四項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)(改正、昭六〇法律四一、平二法律三〇、平六法律一一六)
六 国内公表の番号及び年月日
七 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 第六十四条第三項[出願公開]の規定は、前項の規定により同項第五号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。(本項追加、平二法律三〇、改正、平六法律一一六)
4 第六十四条[出願公開]の規定は、国際特許出願には、適用しない。(改正、平二法律三〇、平六法律一一六)
5 国際特許出願については、第四十八条の五第一項[出願審査の請求の特許公報への掲載]、第四十八条の六[優先審査]、第六十六条第三項ただし書[特許公報への掲載]、第百二十八条[訂正の審判]、第百八十六条第一項第一号及び第二号[証明等の請求]並びに第百九十三条第二項第一号、第二号、第六号及び第九号[特許公報]中「出願公開」とあるのは、日本語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項[外国語特許出願の国内発表]の国際公開」と、外国語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国内公表」とする。(改正、平二法律三〇、平六法律一一六、平一〇法律五一)
6 外国語特許出願に係る証明等の請求については、第百八十六条第一項第一号[証明等の請求]中「又は第六十七条の二第二項の資料」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第三条(2)[国際出願]に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。(改正、昭六二法律二七、平二法律三〇、平六法律一一六、平一〇法律五一)実
7 国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、第百九十三条第二項第三号[特許公報]中「出願公開後における」とあるのは、[国際公開がされた国際特許出願に係る]とする。(改正、平二法律三〇、平五法律二六、平六法律一一六)
(本条追加、昭五三法律三〇)

趣旨
 本条は、外国語特許出願の翻訳文の国内公表の時期及びその方法、国際特許出願についての出願公開の不適用等について規定している。
 国際出願は、当該国際出願の指定国のすべてかがPCT六四条(3)(b)の宣言を行っている場合(出願人から公開の請求があった場合を除く)を除き、優先日から一年六月を経過した後(出願人から早期公開の請求があったときはその請求の後)速やかにジュネーブで国際公開されることになっている(PCT二一条)。国際公開は、日本語、英語,フランス語、ドイツ語、中国語、中国語、スペイン語、又はロシア語で作成された国際出願についてはそれらの言語で、それらの言語以外の言語で作成された国際出願については、国際調査機関の責任で作成された英語の翻訳文を公開することとなっている(PCT規則48.3)。したがって、日本語以外の言語で国際公開された国際出願については、その内容について日本語で日本国民に広く知らしめる必要がある。このため外国語特許出願について提出された翻訳文を、特許掲載公報の発行した外国語特許出願に係わるものを除き、国内公表することとしたものである。
 国内公表をする時期については、指定官庁は、出願人の明示の請求がある場合を除き、国内書面出願期間内は、国際出願の処理又は審査を行ってはならないこととなっており(PCT二三条、四〇条)、また国内官庁等は、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合を除き、所定の機関までは国際出願について秘密を保持する義務があること(PCT三〇条)から、原則として国内書面提出機関を経過した後に行うこととした。それ以前に出願人の早期公開の請求による国際公開、明示の請求等があることにより翻訳文の国内公表が可能となる場合については、出願公開が優先日から一年六月を経過した後に行われることとの均衡から、一年六月を経過した後に行うこととしていたが、平成一一年の一部改正により、出願公開が優先日から一年六月以内でも行われることがあることとなったから、このような場合にも国内公表を行うこととした。なお、我が国はこれまでPCT六四条(2)(a)(ⅱ)の宣言を行ってきたが、昭和六二年の一部改正でこれを撤回した。その理由は、一八四条の四の[趣旨]で述べてPCT六四条(2)(a)(ⅰ)の宣言を撤回した理由と同じである。これに伴い、国内公表をする時期は、原則として国内書面提出機関経過後となった(国内書面提出期間については一八四条の四の[趣旨]を参照されたい)。
 なお、平成一四年の一部改正において、一八四条の四第一項に翻訳文提出特例期間が設けられた事に伴い、一八四条の四第一項ただし書の外国語特許出願については、国内公表を行う基準となる出願人からの出願審査の請求時期について「国内書面提出期間」を「翻訳文提出特例期間」と読み替えることとした。
 二項は、国内公表の場合の特許公報の掲載事項を規定している。国内公表は、国際公表を補完するという性格とともに、国内出願についての出願公開(六四条)と同様の性格をも有しているものであることから、出願公開の場合の掲載事項に対応する事項を掲載することとした。出願公開の場合は、補正後の明細書及び図面が掲載されるのに対し、国内公表の場合は、原則として最初に提出された国際出願の明細書、請求の範囲及び図面の中の説明の翻訳文並びに国際出願日における図面(図面の中の説明を除く)並びに要約の翻訳文が国内公表の対象となる。なお、平成六年の一部改正前は、PCT一九条mに基づいてされる補正の翻訳文は国内公表の対象には含めず、一九三条二項の公報掲載事項の中に含めることとし、そのための一九四条二項についての所用の読替えを七項において行っていた。しかしながら、平成六年の一部改正においては、外国語特許出願の場合、国際出願日にいおける請求の範囲の翻訳文に代えて、一九条補正後の請求の範囲の翻訳文を提出できることとしたため、当該翻訳文についても国内公表の対象とするよう改正を行った。
 三項は、平成二年の一部改正で追加された規定で、外国語特許出願の要約の翻訳文に記載した事項に不備がある場合について出願公開の場合の規定(六四条三項)を準用している。
 四項は、日本語特許出願については、日本語により国際公開が行われ、外国語特許出願については一項の国内公表が行われるため、出願公開の規定(六四条)は適用しないこととしたものである。
 五項は、国際特許出願については四八条の五第一項(出願審査の請求があった旨の特許公報への掲載の時期)、四八条の六(優先審査)、六六条三項ただし書(特許掲載公報の発行の際の要約書に記載した事項の不掲載)、一二八条(訂正の審判による訂正後における明細書又は図面の効果)、一八六条一項一号及び二号(証明等の請求)並びに百九十三条二項一号、二号、六号及び九号(特許公報への掲載事項)の規定の適用に当たっては、これらの規定において特許公開とあるのは、日本語特許出願にあっては国際公開と、外国語特許出願にあっては国内公表と読み替えることとしたものである。
 六項は、一八四条の六第一項及び二項の規定より、日本語特許出願の場合は国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面及び要約を、外国語特許出願の場合は国際出願の願書、図面(図面の中の説明を除く)と、明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約の日本語による翻訳文をそれぞれ国内法上の願書、明細書、図面及び要約書とみなしたことに伴い、一八六条の適用については外国語特許出願に係る国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面、要約(これらは外国語で作成されている)の取扱いを明確にするために設けられた規定である。これらの書類は国際公開の対象となるものであることから、国際公開がされるまでは、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは証明書の請求をすることができないこととした。
 なお、外国語特許出願の願書及び図面の翻訳文の取扱いに関する昭和六〇年の一部改正並びに請求の範囲の翻訳文の取扱いに関する平成六年の一部改正については一八四条の四の[趣旨]を参照されたい。
[字句の解釈]
<二項七号の必要な事項>特許分類、優先権の主張を伴う場合における第一国の出願年月日等。(青本第17版)
最終更新:2010年01月29日 01:54
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