(特許要件の特例)
第一八四条の一三
第二十九条の二[特許の要件]に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は
実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第二十九条の二の規定の適用については、同条中「他の特許出願又は実用新案登録出願であつて」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願(第一八四条の四第三項又は実用新案法第四十八条の四第三項[翻訳文末提出による取下げ]の規定により取下げられたものとみなされた第百八十四条の四第一項の外国語出願又は同胞第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願を除く。)であつて」と、「出願公開又は」とあるのは「出願公開」と、「発行が」とあるのは「発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開が」と、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
(本条追加、平六法律一一六、改正、平一四法律二四)
趣旨
本条は、第二九条の二に規定する他の出願がPCTに基づく国際特許出願又は国際実用新案登録出願である場合の特例について規定したものである。
本条は、昭和五三年の一部改正で追加され、昭和六〇年の一部改正で修正された二九条の二第二項を平成六年の一部改正において改正し条文移動したものであるが、その趣旨は次のとおりである。
(1) 特許協力条約に基づく国際出願は、国際出願日が認められると、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有するものとなり、国際出願日は各指定国における実際の出願日とみなされること(PCT一一条(3)及び国際出願日から一年六月を経過した後速やかに国際公開されること(PCT二一条)から国際公開をもって出願公開に代えることとし、出願公開の対象とはしないこととしたこと(一八四条の九第三項)から、我が国を指定国に含む指定国に含む国際出願であって国際公開がされたものについては、その国際出願日以降の後願を拒絶することを認めることとしたものである。
(2) ただし、従来の規定では、外国語特許出願については、出願翻訳文に記載されていない事項については国際出願当初から記載されていなかったものとみなしていた(旧一八四条の四第四項)ことから、外国語特許出願が二九条の二に規定する他の出願(先願)である場合に、後願を排除できる範囲は、その外国語特許出願の国際出願日における明細書、請求の範囲若しくは図面(図面の中の説明に限る。)に記載された発明であって、これらの書類の出願翻訳文に記載された発明又は国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)に記載された発明とされ、外国語実用新案登録出願についても同様の取扱いとされていた。しかし、平成六年の一部改正において、外国語書面出願については外国語書面に記載された発明について後願を排除できるとしたため、外国語特許出願及び外国語実用新案出願についてもも、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明又は考案について後願を排除できることとした。
なお、第二九条の二において規定する他の出願(先願)として取り扱われるのは、外国語特許出願又は外国語実用新案登録出願のうち我が国に明細書及び請求の範囲の翻訳文が提出されたものに限られ、これらの翻訳文を提出せず、一八四条の四第三項又は実用新案法四八条の四第三項の規定により取下げられたものとみなされた出願は、次の理由により二九条の二の規定の適用からは除外することとした。
(1) PCTに基づき我が国を指定国とする国際出願は、正規の国内出願としての効果を有することになるが、その効果を我が国において維持することが手続き的に確定されるのは、翻訳文提出及び手数料の納付等の所定の手続をした時点であること。
(2) 二九条の二は、三九条の規定により先願が後願を排除できる範囲を拡大させる効果を与える規定でもあるが、我が国に対し翻訳文を提出しない外国語特許出願は、三六条二項に規定する願書に添付した明細書等が存在しないため、三九条の先願としての地位を有しておらず、こうした出願に対してまで拡大した先願の地位を与えることは適当でないと考えられること。
また、旧二九条の二第二項においては、外国語特許出願だけでなく、旧一八四条の一六条第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願等についての特例についても規定していたが、このみなし国際出願の特例については一八四条の二〇において規定することとし、本条からは削除した。
さらに、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。(青本第17版)
最終更新:2010年01月31日 01:19