旧法との関係 該当条文なし
趣旨
本条は、二以上の請求項に係る特許又は特許権についての特則を定めたものである。
三六条及び三七条の規定により、二以上の請求項に記載された発明を一出願ですることができる場合を広く認めることとした関係上、ほかの条文の表現について解釈上の疑問を生じては困るので、本条はその疑問を解決するために規定したものである。すなわち、二以上の請求項に記載された発明について特許がされた場合、特許処分そのものは一つであり、したがって、発生する特許権も一つであるが、本条に掲げた条文を解釈するに際しては、請求項の数に応じた特許処分が行われ、請求項の数だけの特許権が存在するとみなすべきものである(昭和六二年の一部改正により、それまで発明単位で規定していたものが請求項単位で規定されるように改正された)。
具体的に条文に則して説明してみよう。
一二三条一項は無効審判の請求について「二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる」と規定するから、特許の一部について無効審判を請求することができる。A及びBの二請求項を包含する特許権について無効審判が請求され、A請求項に係る部分が無効になった場合を確定してみると、一二五条の「特許」は本条を適用して解釈するとA請求項についての特許処分となり、したがって、A請求項についての特許権(A請求項に係る部分)のみが始めから存在しなかったことになり、B請求項についての特許権(B請求項に係る部分)は依然有効に存在することになる。
こうした結論は一二五条からは当然にはでてこない。本条によって請求項ごとに特許処分が行われ、請求項ごとに特許権が存在するとみなしてはじめて認められる解釈である。
一二五条を例にとって説明したのであるが、本条に規定されているほかの条文についても事情は全く同じである。
また、実用新案法二〇条(無効審判の請求登録前の実施による通常実施権)の「特許」「特許権」については一二五条の場合と同じような問題を生ずるので、
特許法の条文のみならず、実用新案法二〇条についても本条で措置することにしたのである。
なお、昭和四五年の一部改正における本条の改正は五二条三項(仮保護の権利の消滅事由)の規定を出願公開の場合、審査前置の場合、審判及び再審の場合に準用する(審判及び再審についてはこれまでも準用していたが、四五年の一部改正ではそれを明確にしたもの)ことにしたのである。
昭和五三年の一部改正は、六五条の三第四項(この規定は、平成六年の一部改正において六五条四項に条文移動している。)(出願公開の効果等)の規定を国際公開及び国内公表の効果に準用し、一二三条二項(特許権の消滅後の審判請求)の規定を国際特許出願固有の理由に基づく特許の無効の審判に準用することとしたことに伴うものである。
昭和六〇年の一部改正は、七五条(追加の特許権の独立)の削除に伴うものである。
平成五年の一部改正は、訂正無効審判の廃止及び条文の移動によるものである。
また、平成六年の一部改正いおいて、外国語特許出願固有の理由に基づく特許の無効の審判が廃止されたこと、出願公告に伴う仮保護の権利(旧五二条)が廃止されたこと等に供い、該当箇所を削除または改正するとともに、特許異議の申立てについての取消決定が確定した場合の効果の本条の対象に追加した。平成一五年の一部改正において、一二三条二項の一二三条三項に、一二六条五項(一三四条五項)を一二六条六項(一三四条の二第五項)に、一七四条三項を一七四条二項に移動したことに伴い、該当箇所を改正した。また、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。(青本第17版)