(侵害の罪)(見出し改正、平成一八法律五五)
第一九六条
特許権又は専用実施権を損害した者(第百一条の規定に依特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の懲罰に処し、又はこれを併科する。
(改正、平五年法律二六、平一〇法律五一、平一八法律五五)
旧法との関係 一二九条
趣旨
本条は特許権又は専用実施権を侵害した者に対する罰則を定めたものである。特許権又は専用実施権を侵害した者とは、なんらの権限なくして特許発明を侵害した者及び一〇一条の規定により侵害とみなされた行為をした者を意味する。平成一八年の一部改正前の旧一九六条では、特許発明を実施した者及び一〇一条の規定により侵害とみなされる行為をした者に対して、同じ罰則が定められていたが、平成一八年の一部改正において、特許権又は専用実施権を侵害した者から、一〇一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為を行った者が除外された(この点については次条[趣旨]を参照)。なお、発明の実施については、二条の定義を参照されたい(旧法一二九条一項二号及び四号に相当する規定がないのは、実施の概念に輸入が含まれることとしたためである)。
懲役刑の上限は、旧法下から五年とされていたが、平成一八年の一部改正において、侵害行為に対する抑止効果や他の財産犯にかかる法定刑との均衡などを勘案し、一〇年に改正された。
罰金額の上限は、旧法では五万円であったところ、昭和三四年法では経済犯に関するほかの法律例を参照して五〇万円と改められ、平成五年の一部改正では、物価水準の上昇等の経済状況の変化に鑑みて五〇〇万円に改正され、さらに、平成一八年の一部改正においては、侵害行為に対する抑止効果等を勘案し、一〇〇〇万円に改正された。
また、旧法下から、特許権又は専用実施権の侵害者に対しては、懲役刑か罰金刑のいずれかが課せられていたが、抑止効果を高める観点から、平成一八年の一部改正において、懲役刑と罰金刑の併科が導入された。
なお、平成一〇年の一部改正前の旧二項は、特許権等は、概ね、①私益であること、②人格権的な要素が含まれること等を理由として親告罪とされていたが、現在では、私益ではあっても、研究開発費が増大している中、侵害によって権利者が被る被害は甚大になっていること、出願人の割合は法人が主となっており、人格権の保護という色彩は薄まっていること、また、刑事訴訟法(二三五条)上の告訴期間の制約(犯人を知った日から六月以内)の問題等から、平成一〇年の一部改正において、旧二項は削除され、特許権等は専用実施権の侵害罪は非親告罪となった。(青本第17版)
最終更新:2010年02月19日 23:29