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実用新案法第六条の二

(補正命令)
第六条の二
特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その実用新案登録出願に係る考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その実用新案登録出願が第五条第六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。(改正、平六法律一一六)
四 その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。
(本条追加、平五法律二六、改正、平一四法律二四)

旧法との関係 該当条文なし
趣旨
 本条は、平成五年の一部改正により新設されたものであり、登録にあたっての基礎的要件を欠く出願は特許庁長官による補正命令の対象となる旨を規定したものである。
 平成五年の一部改正においては、早期権利保護の観点から実体的要件についての審査が行わずに登録を行うこととしたものであるが、他方、著作権等とは異なり、登録公示を権利付与の要件とする方式(登録)主義を採用しているため、登録を受けるに足る基礎的要件については、これを満たしている必要がある。
 このため、二条の二第三項各号で規定する方式要件に加え、本条各号に想定する基礎的要件についても、これを満たさないものは特許庁長官による補正命令の対象として、瑕疵が是正されない限り登録しないこととした。さらに当該補正命令に対する指定期間内にその補正をしないときは、特許庁長官による出願却下処分の対象(二条の三)となる。
 この補正命令の対象となるのは、考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでない、例えば方法の考案である場合(一号)、公序良俗に反する考案である場合(二号)、単一性を満たさない場合(三号)、明細書又は図面の記載が著しく不明瞭な場合(四号)である。なお、明細書又は図面の記載が著しく不明瞭な場合(四号)とは、方式に違反しないものであっても、実質的に出願書類としての体をなしていない場合、例えば実用新案登録請求の範囲に技術的事項が記載されてない場合(例えば、実用新案登録請求の範囲に「関東全域」と記載されているような場合)である。
 このように基礎的要件を満たさない出願を、審査官による拒絶理由通知の対象ではなく、特許庁長官による補正命令の対象としたのは、
(1) 基礎的要件の判断に際しては、技術的な専門知識が必要とされるものの、新規性、進歩性といった登録性の判断に比べ裁量が働く余地は少なく、基礎的要件はいわば、方式審査に準ずるものと考えられるもの、
(2) 基礎的要件を満たさない出願について、審査官による拒絶理由を通知した場合には、通常の方式審査の不備に対しては特許庁長官による補正命令、基礎的要件の不備に対しては審査官による拒絶理由通知というように一つの出願に対して、特許庁から命令又は通知が別々に行われる事態も生じるため、手続が複雑化、錯綜すること
との理由に基づくものである。
 なお、特許庁長官による出願却下処分については、行政不服審査法による異議申立ての対象となり、さらにその結果に対しては、行政事件訴訟法による取消訴訟の対象となる(四八条の二、特許法一八四条の二)。
 この結果、従来の実用新案法において拒絶査定不服審判及び審決取消訴訟において争われていた一号から四号までに規定する要件については、平成五年の一部改正後においては行政不服審査法及び行政事件訴訟法に定める異議申立て及び取消訴訟において争われることとなるが、出願人にとってみれば、行政庁の処分に対する不服申立ての途が開かれていることに変わりはない。
 また、平成一四年の一部改正において、特許法三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。(青本17版)
最終更新:2010年02月25日 04:39
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