旧法との関係 該当条文なし
趣旨
本条は、要約書について補正ができる時期について規定したものである。
要約書は、出願日から一年六月経過後に行われる出願公開の際に併せてその内容を公開することにより、特許情報へアクセスを容易にすることを目的として提出を義務付けたものであり、権利関係には何ら影響を与えるものではない。このため、平成二年の一部改正により、要約書の補助ができる時期は出願の日から一年三月以内とされていた(旧一七条一項ただし書)。
平成六年の一部改正においては、明細書又は図面の補正については出願日から一年三月という補正の時期的な制限は廃止されたが、こうした要約書の目的に変更はないため、要約書については、従来と同様に出願公開の準備に入る出願の日から一年三月以内に限ってその補正を認めることとし、補正の時期的制限の緩和の対象とはしなかった。なお、平成六年の一部改正において明細書又は図面の補正の時期的制限が緩和されたことに伴い、明細書又は図面の補正と要約書の補正とではその時期的制限が異なることとなったため、要約書の補正については、一七条の二とは別に、本条で新たに規定した。
また、平成一一年の一部改正においては、出願日から一年三月以前においても出願公開の請求がなされてた場合には出願公開が行われることとなり、出願公開の請求があった出願については出願公開の準備に入ることから、出願公開の請求があった後は、出願日から一年三月以内であっても要約書の補正は認めないこととした。
さらに、
特許法において、いわゆる「優先日」を基準とした期間の算定方法(我が国に第一国出願した場合には、我が国の出願日を基準とし、パリ優先権を伴って我が国に第二国出願が行われた場合には、第一国出願日を基準として算定する方法)は、要約書の補正可能期間の起算日(本条)及び出願公開の基準部(六四条一項)で採用されており、本条はその定義を行っている。
平成一八年の一部改正においては、三六条の二を改正し、外国語書面出願の翻訳文提出期間についても、「優先日」を基準とした期間の算定方法に変更されたこおとに伴い、本条における基準日の定義規定を三六条の二の本文にも適用することとした。
[参考]
<パリ条約> 条約の正式の名称はカッコの中に書いてあるとおりである。加盟国は一七二ヵ国(平成一九年一二月二七日現在)におよんでいる。この条約の内容は、工業所有権の保護についての種々の問題を規定しているわけであるが、その主なるものとしては、同盟国の国民に対する内国民優遇(二条)、同盟国の一国に出願した後他の同盟国に出願する場合の優先権(四条)、各国における特許の独立(四条の二)等である。
なお、パリ条約の最新の改正は、一九六七年七月一四日にストックホルムで行われ、我が国もこれを批准したことに伴い、昭和五〇年の改正では、この条約の名称を「リスボンで改正されたパリ条約」から「ストックホルムで改正されたパリ条約」へと改めた。
このストックホルム改正により、ソ連社会主義国(当時)の発明者証出願を基準として優先権主張することが認められることとなった。(青本第17版)