(特許を受ける権利)
第三三条
特許を受ける権利は移転することができる。
2 特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。
3 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。
旧法との関係 一二条一項及び二項
趣旨
本条は、特許を受ける権利について規定したものである。この特許を受ける権利は発明をすることにより生じるものであるが、このことに着目して特許を受ける権利のことを権利権と称する学者もいる。しかして、この特許を受ける権利の性質についての学説は必ずしも一致しないが、一応次のようなものであるということができる。すなわち、特許を受ける権利は国家に対して特許を請求する権利であるから公権であるとともに請求権であり、かつ、財産権の一種であるともいうことができる。
一項は、この特許を受ける権利は移転することができる旨を規定したものである。特許を受ける権利が財産権であることを考えれば別段の禁止事項がない限り移転することができるのは当然のことともいえるが、特許を受ける権利が公権であり請求権であることを考えるとなんら規定のないときは移転することができないのではないかという疑いも生じてくるおそれがあるので、注意的に規定したものである。
二項、特許を受ける権利は質権の目的とすることができない旨を規定するが、抵当権の目的とすることもできないことはいうまでもない(抵当権の目的とするためには、抵当権の目的とすることができるという規定が積極的になければならない)。ただ、譲渡担保についてはこれを禁じる趣旨でないことは旧法の解釈と同じである。
三項は、特許を受ける権利が共有に係る場合の持分譲渡の制限について規定したものであるが、その趣旨は、特許権が共有に係る場合にその持分の譲渡について制限した(七三条一項)ことと同じ趣旨である。すなわち、有体物の場合にあっては同時に同一物を複数人が利用することは不可能であるか、又は相当の制約が伴うが発明は数多くの人が同時に利用する場合でもなんら制約が伴わず、それぞれの者が完全に実施することができる。しかも、発明の実施はその実施に投下する資本と、関与する技術者如何によっては著しく違った結果を生み出すものであるので、特許を受ける権利の持分の移転を全く自由にするときは、持分の譲渡がされて共有者が変わることにより他の共有者の持分の価値も著しく違ってくる場合があるのである。このような結果の生じることを防ぐため、持分の譲渡には他の共有者の同意を要するものとしたのである。(青本第17版)
最終更新:2009年10月13日 03:36