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特許法第三七条

(同前)
第三七条
二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願することができる。
(改正、昭六二法律二七、平一五法律四七)

旧法との関係 七条
趣旨
本条は平成一五年の一部改正により、改正前野三七条と入れ替えられたのである。
 技術的には所定の関係を有する複数の発明は、別々に出願するよりも、一つにまとめて出願する方が、出願人にとって出願手続が簡易になる。また、第三者にとっては、関連する発明の情報が効率的に入手可能となり、特許情報の利用や権利の取引が容易となる。さらに、特許庁によっては、関連する発明をまとめて効率的に審査することができるという利点がある。こうした観点を踏まえ、特許協力条約(PCT)や多くの主要国の特許法では、一つの出願に複数の発明を包含することを許容する一方、その範囲として、発明の単一性の要件を規則等に規定している。
 一つの出願に含めることができる発明の数について、昭和三四年制定時の三八条では「特許出願は、発明ごとにしなければならない」という一発明一出願の原則が規定され、複数の発明を一の出願で行うという併合出願を極めて例外的に認めていた。また、昭和六二年の一部改正においては、欧米において複数発明を一つの出願に含めることが広く認められていることを踏まえ、国際的に事業展開を行う企業による円滑な権利取得を促進する観点から、昭和三四年制定時の三八条に相当する規定を三七条に新設し、二以上の発明、すなわち、技術的思想として別の発明については、これらの発明を、それぞれ請求項に一定の表現で具体的に書き表した場合に、そのうちどれら一つの請求項に記載された発明(特定発明)に対し、他のすべての請求項に記載された発明が同条に列挙された各号のいずれかに掲げる関係を有する場合には、これらの請求項に記載された発明を一の願書で特許出願をすることができることとしていた。しかしながら、このような規定ぶりに対しては、以下の(1)から(4)に揚げる具体的問題点が指摘されていた。
(1) 柔軟な対応の困難性
 発明の単一性の要件については、技術革新に伴う出願内容の多様化をはじめとした出願動向等の変化に応じ、当該要件を満たす発明の範囲を弾力的に改正することが求められる。また、工業所有権制度の国際調和の動向に迅速に対応することも求められる。
 しかしながら、昭和六二年一部改正時の三七条では、発明の単一性の具体的要件を政省令といった下位法令ではなく法律で規定しており、柔軟な対応が困難な規定様式となっていた。
 これに対し、PCTでは、発明の単一性の具体的要件については、特許協力条約に基づく規則(PCT規則)で規定しており、柔軟な対応を可能とする規定様式となっている。
(2)「特定発明」との関係で判断することによる問題
 昭和六二年一部改正の三七条では、任意の一の請求項に記載される発明を「特定発明」とし、その「特定発明」に対し他の各請求項に記載される発明が発明の単一性の要件を満たすか否かを一対一の関係で判断するように規定されていた。そのため、特定発明との関係においては所定の関係を有するものの、特定発明以外のそれぞれの発明の間には所定の関係を有さないような場合であっても、発明の単一性の要件を満たすと判断されるおそれがあった。
 また昭和六二年一部改正の三七条の規定に従えば、全ての請求項をそれぞれ順番に特定発明とし、他の請求項との関係で発明の単一性の要求を判断していく必要があった。しかしこのような判断手法を用いた場合には、請求項数の増加に伴い発明の単一性の要件の判断に要する負担も増加する。このような状況は、例えば出願人が一つの出願に含めることのできる発明の範囲を把握することが困難になる等の事態を招くものと予想され、複数の発明を一つの願書で特許出願とすることを認めている目的を阻害するものとなるおそれがある。
 これに対し、PCTでは、PCT規則に発明の単一性の要件の有無を、一つの出願に含まれる各請求項に記載される発明の全てに共通する関係の有無により判断するよう規定されているので、我が国のような問題は生じない。
(3)先行技術との関係の不明確さの問題
 昭和六二年一部改正時の第三七条は、発明の単一性の要件として、請求項に記載される発明の産業上の利用分野が同一であって、かつ「解決しようとする課題」又は「主要部」が同一であることを挙げていた。
 「解決しようとする課題」とは出願時まで先行技術によっては未解決であった技術上の課題を意味する。また、「主要部」とはその課題に対応した新規な事項を意味する。しかしながら、条文上は、これら「解決しようとする課題」や「主要部」が先行技術との関係で新規なものであることが明確に記載されているわけではなく、統一した運用の徹底が困難であった。
 これに対し、PCTでは、PCT規則で各発明に共通する技術的特徴が先行技術を超えるものではなくてはならないことが明確に規定されている。
(4)単一の請求内での単一性違反規定の不在の問題
 我が国においては、ある発明が別個の請求項に記載すると発明の単一性の要件を満たさないような場合であっても、これを一の請求項に択一的に記載した場合には発明の単一性の要件違反とならないという問題があった。
 これに対し、PCTでは、上述のような場合には発明の単一性の要件の判断は、別個の請求項に記載されているか、一の請求項に記載されているかに関係なく行う旨がPCT規定で規定されている。
 これらの指摘を踏まえ、平成一五年の一部改正においては、発明の単一性の規定をPCTの規定ぶりと調和したものとするため、発明の単一性の要件を満たす条件として、特許法においては二以上の発明が「技術的関係」を有することが求められることのみを規定するとともに、具体的要件についてはPCT規定と調和した規定を省令に置いている。(青本第17版)
最終更新:2009年10月17日 17:34
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