(先の出願の取下げ等)
第四二条
前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から一年三月を経過したときに取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について
実用新案法第十四条第二項[実用新案権の設定の登録]に規定する設定の登録がされている場合又は当該先の出願に基づくすべての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りではない。(改正、平五法律二六、平八法律六八)
2 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から一年三月を経過した後は、その主張を取り下げることができない。
3 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から一年三月以内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。
(本条追加、昭六〇法律四一)
旧法との関係 該当条文なし
趣旨
本条は、特許出願等に基づく優先権を適式に主張したとき、先の出願はその出願の日から一年三月をもって取り下げられたものとみなすこと等を規定したものであり、平成五年の一部改正において、従来の四二条の三を条文移動したものである。
特許出願等に基づく優先権制度は、本来、基本的な発明についての出願から改良発明等を取り込んだ新しい出願へ乗り換えることを可能とすることを狙いとするものであるから、競合出願の排除、重複審査、重複公開の回避の点から、先の出願をみなし取下げとすることにしたのである。みなし取下げの時期を優先権の主張の基礎とされた先の出願の日から一年三月としたのは、出願人が誤って優先権の主張をした場合を考えると、先の出願をその時点でみなし取下げとするのは出願人に酷であると考えられ、出願人に見直しの時期を与える一方、出願公開のための準備に入る時期を考慮したものである。この時までに優先権の主張が取り下げられれば、先の出願はみなし取下げとはならないことはいうまでもない。一項ただし書は、当該先の出願に基づいて二以上の特許出願において優先権が主張されている場合においてすべての優先権の主張が取り下げられている場合には、先の出願はみなし取下げとはならない旨を規定しているので、逆に言えばそのうち例えば一の優先権の主張が取り下げられても他の優先権の主張が残っている場合には当該先の出願はみなし取下げとなるのである。なお、放棄、取下げ若しくは却下又は査定若しくは審決の確定によって特許庁に係属しなくなった先の出願は、当然みなし取下げの対象とはならないが、前条一項三号、四号の規定ぶりとの横並びで確認的に規定したものである。
なお、平成五年の一部改正において、実用新案法において、実用新案登録出願が基礎的要件の審査を行うのみで登録がなされることに改正されることに伴い、先の出願が実用新案登録出願である場合であっても、通常は一年三月以内に登録されることとなるため、そのような場合にはみなし取下げの対象とはしないことが規定された。
また、平成八年の一部改正において「無効」を「却下」に改めたが、これは一八条において「無効」を「却下」に改め、一八条の二に「却下」を新設したことに伴うものである。
二項は、優先権の主張の取下げができる時期を明示したものである。
三項は、先の出願の日から一年三月以内に優先権の主張を伴う特許出願が取り下げられたときは、優先権の主張も取り下げられたものとして、取り下げられたものとして、取り扱う旨を定めたものである。これは優先権の主張の手続は出願とは別個の手続であり、この規定が無いと、優先権の主張を伴う出願を取り下げたとしても、優先権の主張の手続が存続し、先の出願がみなし取り下げとなるため、出願の利便を考慮してこれを防止するために設けられた規定である。(青本第17版)
最終更新:2009年10月24日 16:25