(パリ条約の例による優先権主張)実意
第四三条の二
次の表の上欄に掲げる者が同表の下欄に掲げる国において出願に基づく優先権は、パリ条約第四条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。
日本国民又はパリ条約の同盟国の国民(パリ条約第三条の規定により同盟国の国民とみなされるものも含む。次項において同じ。)
→世界貿易機関の加盟国
世界貿易機関の加盟国の国民(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定付属書一C第一条3に規定する加盟国の国民をいう。次項において同じ)
→パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国
2 パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国いずれにも該当しない国(日本国民に対し、日本国と同一の条件により優先権の主張を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。以下この項において「特定国」という。)の国民がその特定国においてした出願に基づく優先権及び日本国民又はパリ条約の同盟国の国民若しくは世界貿易機関の加盟国の国民が特定国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第四条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。商
3 前条の規定は、前二項の規定により優先権を主張する場合に準用する。商
(本条追加、平六法律一一六)
旧法との関係 該当条文なし
趣旨
本条は、平成六年の一部改正により新設された規定で、パリ条約の例による優先権の主張について規定したものである。
従来は、パリ条約四条の規定に基づき、パリ同盟国の国民(パリ条約三条の規定による準同盟国民も含む。以下同じ。)がパリ同盟国のいずれかにおいてした出願に基づく優先権(以下「パリ優先権」という。)が認められていた。
これに対して、TRIPS条約では、二条1において、「加盟国は、パリ条約一条から一二条まで及び一九条の規定を遵守しなければならない」旨を規定するとともに、内国民待遇(三条)及び最恵国待遇(四条)を規定している。このため、一項においては、これらのTRIPS協定の規定等に踏まえ、以下の優先権の主張が可能である旨規定している。
(1)日本国民又は世界貿易機構の加盟国の国民(TRIPS協定一条3に規定する加盟国の国民をいう。以下同じ。)が世界貿易の加盟国においてした出願に基づく優先権
(2)世界貿易機関の加盟国の国民がパリ同盟国においてした出願に基づく優先権
(3)パリ同盟国の国民が世界貿易機関の加盟国においてした出願に基づく優先権
なお、(3)の優先権は、世界貿易機関の加盟国の国民には(2)の優先権の主張が認められることを踏まえ、パリ同盟国の国民に世界貿易機関の加盟国の国民と同等の待遇を認めるためのものである。
また、これらの優先権の主張はパリ条約四条の規定の例によるものであり、その条件及び効果はパリ条約四条に定められているところに従う。
二項は、パリ条約及び世界貿易機関のいずれにも加盟していない国における出願に基づく優先権の主張について規定したもので、日本国民に対し、日本国と同一の条件により優先権の主張を認める国であって、特許庁長官が指定するもの(特定国)の国民がその特定国においてした出願に基づいて優先権を主張することができる旨規定する。この優先権は、あくまで相互主義の観点から認めるものであるので、「日本国民に対し、日本国と同一の条件により優先権の主張を認める国」からの優先権主張であることを条件とし、特許庁長官が個別にかかる条件を満たす国を指定することとsた。
なお、この特定国においてした出願に基づく優先権は、特定国の国民だけでなく、日本国民、パリ同盟国の国民及び世界貿易機関の加盟国の国民も共有できることとした。
三項は、パリ優先権の主張に際し必要な手続について規定した四三条を準用したものである。
[参考]
<世界貿易機関を設立するマラケシュ協定付属書一C>世界貿易機関を設立するマラケシュ協定は、ウルグアイ・ラウンドの成果を実施し、今後の多角的貿易交渉の枠組みとなる新たな国際機関を設立するための協定であり、平成七年一月一日に発効した。本協定には、付属書としてモノ(従来のガットの分野)やサービスに関するもの等種々の協定が添付されているが、これらとならび付属書一Cとして、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」が設けられている。
このTRIPS協定は、加盟国が最低限確保すべき知的財産権の保護水準についての義務等を規定した協定である。第一部では、基本原則として内国民待遇及び最恵国待遇を規定するとともに、工業相有権については、パリ条約の規定(第一条から第一二条まで及び第一九条)の遵守を求め、パリ条約の保護水準を前提としている。さらに第二部においては、著作権、商標、地理的表示、意匠、特許、集積回路の回路配置等個々の知的財産権についてそれぞれ規定する構成となっている。第三部は権利行使に関する民事及行政上の手続や救済措置を、第四部は知的所有権の取得及び維持手続を、第五部は紛争解決手続等を規定するものである。また、第六部及び第七部では、経過措置等が規定されている。
なお、平成一九年七月二七日現在、世界棒家器機関を設立するマラケシュ協定の加盟数は一五一の国又は地域となっている。(青本第17版)
最終更新:2009年10月24日 16:32