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特許法第四九条

(拒絶の査定)
第四九条
審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。(改正、平一四法律二四)
一 その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項又は第四項に規定する要件を満たしていないとき。(本号追加、平五法律二六、改正、平六法律一一六、平一四法律二四、平一八法律五五)
二 その特許出願に係る発明が第二十五条[外国人の権利の享有]、第二十九条、第二十九条の二[特許の要求]、第三十二条[特許を受けることができない発明]、第三十八条[共同出願]又は第三十九条第一項から第四項まで[先願]の規定により特許をすることができないものであるとき。>(改正、昭四五法律九一、昭六〇法律四一、昭六二法律二七、平五法律二六)
三 その特許出願に係る発明が条約の規定により特許をすることができないものであるとき。(改正、平五法律二六)
四 その特許出願が第三十六条第四項第一号若しくは第六項又は第三十七条[特許出願]に規定する要件を満たしていないとき。(改正、昭五〇法律四六、昭六〇法律四一、昭六二法律二七、平二法律三〇、平五法律二六、平六法律一一六)
五 前条の規定による通知をした場合であつて、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によつてもなお第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たすこととならないとき。(本号追加、平一四法律二四)
六 その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。(本号追加、平六法律一一六、平一四法律二四)
七 その特許出願人が発明者でない場合において、その発明について特許を受ける権利を承継していないとき。(改正、平五法律二六、平一四法律二四)

旧法との関係 該当条文なし
趣旨
 本条は、特許出願について拒絶査定をすべき場合について規定したものである。
 この規定は拒絶査定をすべき場合について制限的に規定したものであって、本条に掲げる理由以外の理由によって特許出願について拒絶査定をすることはできない。また、本号に該当する特許出願について拒絶査定をするか否かの自由裁量権はなく、本条に該当するときは審査官は必ず拒絶査定をしなければならないのである。
 なお、昭和四五年の一部改正において二九条の二の規定を本条二号に追加した。また、昭和五〇年の一部改正において三六条六項の規定を本条二号に追加し、昭和六〇年の一部改正によりにより追加の特許の制度が廃止されたことに伴い、本条二号から三一条を削除し、本条四号における三六条の項番号を改めた。また、昭和六二年の一部改正において、三六条及び三八条が改正されたとことに伴い、二号及び四号が改正され、平成二年の一部改正において、三六条が改正されたことに伴い、四号が改正された。さらに、平成五年の一部改正において、制度の国際化を図る観点から、一七条二項(平成六年の一部改正により一七条の二第三項に改正)の規定を本条一号に追加した。また、平成六号の一部改正において、外国語書面出願が認められることとなったことに伴い、六号を追加するとともに、三六条の改正に伴う所要の改正が行われた。さらに、平成一八年の一部改正において、一七条の二第四項の規定を本条一号に追加した。各号に掲げる理由についてはそれぞれの条文のところで説明したが、簡単にその内容を示すと次のようなものである。
 一号中の一七条の二第三項はいわゆる新規事項を追加する補正をすることができない旨の規定である。また、一七条の二第四項は、拒絶の理由が通知された後に発明の内容を大きく変更する補正をすることができない旨の規定である。
 二号中の二五条は外国人の権利享有能力についての規定、二九条は産業上利用することができる発明及び新規性、進歩性に関する特許要件についての規定、二九条の二は後願の出願後に出願公開された先願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されている発明又は考案と同一発明についての後願は特許を受けることができない旨の規定、三二条は公益的な理由にもとづく不特許事由についての規定、三八条は特許を受ける権利が共有に係る場合の共同出願についての規定、三九条は先願の特許出願のみを特許する旨の規定である。
 四号中の三六条、三七条は特許出願についての規定である。
 五号は、平成一四年の一部改正において新設された規定であり、先行技術文献情報(三六条四項二号)が適切に開示されていないときに、前条の事前通知がされたにも関わらず、特許出願人がこの事前通知に対して適切に応答しない場合には、それを理由として拒絶理由が通知される旨の規定である。
 六号は、外国語書面出願の場合に、願書に添付明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にない場合の規定である。通常の特許出願の場合、明細書、特許請求の範囲又は図面についてする補正は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」とされ、補正により明細書、補正により明細書、特許請求の範囲又は図面に新規事項が追加しているか否かは、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面を基準として判断される(一七条の二第三項)。外国語書面の場合、出願日において発明の内容を開示して提出された出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に相当する書面は外国語書面であるので、外国語書面に記載されていない事項をその後の翻訳文の提出又は補正により追加し、特許を受けることは認められるべきではない。このため本号において、外国語書面出願に関する拒絶理由を新たに規定した。
 なお、外国語書面出願の場合に、外国語書面に記載のない事項を願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載することは認めないことについて、一七条の二第三項のように規定せず本号のような規定としたのは、外国語書面に記載されていない事項の追加は、補正の段階だけでなく翻訳文の提出段階においても行われることがあるからである。
 七号は、いわゆる冒認出願について規定したものである。
 なお、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」
が分離されたこと等に伴い、本条にも修正が加えられた。
[参考]
<外国語書面と翻訳文が一致しない場合の取扱い>平成六年の一部改正では、外国語書面に記載しされていない事項が追加されている場合を拒絶理由としたが(六号)が、こうした取扱いは従来の特許協力条約に基づく外国語特許出願の取扱いとは異なるものである。
 従来、特許協力条約に基づく外国語特許出願については、その出願が国際出願日における明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明以外の発明についてされていることを審査官が発見したとしても直ちに拒絶はせず、異議申し立てを待って拒絶することとしていた(旧一八四条の一四)。これは、①審査官が国際出願日における外国語明細書等と翻訳文の照合を逐一行うことは審査効率上極めて困難であることに加え、②審査官がたまたま気がついた場合に拒絶するのでは審査官の裁量が大きすぎ、審査の公平性に問題が生じること等の理由による(一八四条の一八参照)。
 外国語書面出願制度の導入にあたっては、こうした従来の考え方も踏まえ、外国語書面に記載されていない事項が翻訳文に記載されている場合の取扱いをどうするか(従来の特許協力条約に基づく外国語特許出願についての取扱いと同様異議申立てを待って審理することとするのか、拒絶理由とするのか)について検討がなされた。
 しかしながら、①過去十数年の特許協力条約に基づく外国語特許出願の実態からみても明らかなように、外国語明細書等と翻訳文が一致している蓋然性は極めて高いこと、②外国語明細書等と翻訳文の不一致は、他の記載との整合性や技術常識等に照らして翻訳文を審査すれば、通常はこれを発見することが可能と考えられること等を踏まえると、審査官は常に外国語明細書等との照合を行う必要は必ずしもないものと考えられたことから、平成六年の一部改正で導入された外国語書面出願制度においては、外国語書面と翻訳文の内容は通常一致しているとの前提の下に翻訳文に基礎をおいて審査を行うこととするが、外国語書面に記載されていない事項が追加されているとの疑義が生じた場合に限って、外国語書面と翻訳文の内容を照合し、外国語書面に記載されていない事項が追加されていることを発見した場合には、これを拒絶することとしたものである(平成六年九月 工業所有権審議会答申参照)。(青本第17版)
最終更新:2009年10月30日 15:44
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