趣旨
本条は、分割出願等の審査における審査官の通知について規定したものである。平成一八年の一部改正において、分割出願制度の濫用抑止を目的として新設された。
他の特許出願の審査において通知済みの拒絶理由を再度通知する場合には、本条の規定による通知がされ、最後の拒絶理由通知がされた場合と同様の補正制限が課される(一七条の二第五項)。これにより、出願人による拒絶理由通知書の精査を促し、不要な分割出願を抑止することを目的としている。
本条中の「他の特許出願」は、「当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に
特許法四十四条二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなっているもの」に限られる。「当該特許出願」を「甲」、「他の特許出願」を「乙」とすると、次の(1)~(3)がこれに該当する。
(1)甲が乙の分割出願である場合(甲が四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)
(2)乙が甲の分割出願である場合(乙に四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)
(3)甲、乙が同じ出願に基づく分割出願(分割出願をさらに分割した出願であって、大もとの出願が同一であるものを含む)
ある場合(甲、乙の両方に四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)
本条中の「他の特許出願についての通知」には、審査において通知された拒絶理由通知だけでなく、前置審査や拒絶査定不服審判において通知された拒絶理由通知も含まれる。
本条中の「当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかった」とは、例えば次のような場合である。
(1)「他の特許出願」についての拒絶理由の通知が、「当該特許出願」についての出願審査の請求よりも後だった場合。
(2)出願後の権利継承のために「当該特許出願」と「他の特許出願」の出願人が異なっており、かつ「当該特許出願」についての出願審査の請求のときに「他の特許出願」が出願公開前であったために、拒絶理由通知の閲覧等ができなかった場合。(青本第17版)