(訴訟との関係)意商
第五四条
審査において必要があると認めるときは、審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。(改正、平五法律二六、平一五法律四七)
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。(改正、平五法律二六)
(改正、平六法律一一六)
旧法との関係 八三条、八〇条
趣旨
本条は、審判又は訴訟手続との関係で審査を中止する場合及び審査との関係で訴訟手続を中止する場合に関し規定したものであり、平成六年の一部改正により旧六五条が条文移動したものである。
一項の規定が適用される事例としては、たとえば、代理権の欠缺を理由として特許庁に対する代理人の行為の無効が訴訟において争われている場合や、特許を受ける権利の譲渡の無効が訴訟において争われている場合である。
また、二項の規定が適用される例としては、甲がある物質の製造方法について特許を受けたものである場合において、乙がその物質についての別の製造方法を発明したと称して特許出願をし、その査定を待たずして製造行為をしたとき、甲は乙の製造方法は自己の製造方法と同一であるとして侵害訴訟を提起したとする。この場合の争点の中心は、甲の製造方法と乙の製造方法が同一であるかどうかということになるが、裁判所としてはその判断の資料として乙の特許出願についての査定を待つことが便宜な場合が考えられる。なお、二項において査定が確定するというのは、特許査定にあっては査定の謄本の送達と同時に確定し、拒絶査定にあっては査定の謄本の送達後審判を請求することなくその後三〇日を経過したときに確定する。
なお、二項は、従来「訴訟において」と規定されていたが、平成五年の一部改正において、訴訟に仮差押命令及び仮処分命令が含まれることをより明確に規定した。
また、平成六年の一部改正において、特許後の異議申立制度が導入されたことに伴い、一項に、特許異議の申立てについての決定を追加したが、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。
[字句の解釈]
1 <仮差押命令の申立て> 仮差押命令を求める手続きをいう。仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行することが出来なくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができ、債権が条件付又は期限付である場合においても発することができる(民事保全法二〇条)。また、仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取り消しを得るために債権者が供託すべき金銭の額を定めなければならないとされている(同法二二条)。
2 <仮処分命令の申立て> 仮処分命令を求める裁判の手続をいう。係争物に関する仮処分命令は、現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができ、仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要とするときに発することができる(民事保全法二三条一項及び二項)。なお、後者の場合、仮処分命令は、口頭弁論又は債権者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ発することができないが、期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することが出来ない事情がある場合は、この限りではないとされている(同条四項)。(青本第17版)
最終更新:2009年10月31日 21:19