アットウィキロゴ

特許法第六七条

(存続期間)
第六七条
特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。(改正、平六法律一一六)
2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。(本項追加、昭六二法律二七、改正、平五法律二六、平一一法律四一)

旧法との関係 四三条
趣旨
本条一項は、概括的にいえば、特許権の存続期間を定めたものであるといえるが、より正確にいうならば、特許権の存続期間の終期を定めたものである。すなわち、特許権が発生するのは前条一項に規定するように特許権の設定の登録のあった時であり、その特許権の存続期間は本項の規定により出願日から起算して二〇年をもって終了するのである。
 本項は、平成六年の一部改正において、TRIPS協定三三条の「保護期間は、出願日から計算して二〇年の期間が経過する前に終了してはならない」旨の規定を受けて改正されたものであり、従来は、「特許権の存続期間は、出願広告の日から十五年をもつて終了する。ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない」と規定されていた。この規定中本文は旧法と変わりないが、ただし書は現行法制定時に、次のような旧法下における弊害を除こうとして設けられたものである。
(1)たとえば、ある特許出願について出願公告前に拒絶査定がされ、さらに不服で審判を請求しさらに訴訟に持ち込んで最終段階において原査定が取り消されその後ようやく出願公告がされるようなことがあると、特許出願がされてから五年以上も経過していることがある。それからさらに一五年の存続期間を認めるということになると社会一般の蒙る迷惑は少なくない。すなわち、特許出願後二〇年以上も経過し社会の技術水準からみてさほど高くもなくなった発明についてなお引き続き独占権が行使されることになり、本来社会の技術進歩のための制度であるべき特許制度が技術進歩の障害となりかねないこと。
(2)また、旧法の下においては、出願人が存続期間の終了時期をなるべく将来にのばすために出願公告の時期を遅らしめようとして審査の促進に協力しようとしない場合も生じたこと。
 平成六年の一部改正のいては、TRIPS協定の規定に従うことに加え、こうした旧法下における問題点や制度の国際的調和の観点を考慮し、現在のような規定に改正されている。
 二項は、昭和六二年の一部改正により新設された規定であり、一定の要件を満たす場合には、一項の規定にかかわらず特許権の存続期間を延長することができる旨を規定するものである。
 特許制度は、発明に係る技術の公開の代償として一定期間その権利の専有を認め、これによって発明を保護しつつ、一般の利用に供し、もって産業の発展を図ることを目的としているが、一部の分野では、安全性の確保等のための政府の法規制に基づく許認可を得るに当たり所用の実験によるデータの収集及びその審査に相当の長期間を要するため、その間はたとえ特許権が存続していても権利の専有による利益を享受しえず、その期間に相当する分だけいわば特許期間が侵食されているという問題が生じた。このような法規制そのものは、その趣旨からして必要欠くべからざるものであるが、その結果として、当該規制対象分野全体として、かつ、不可避的に、本来享受できるはずの特許期間がその規制に係る期間の分だけ享受し得ないこととなっている。しかも、これらの規制審査期間の短縮にも、安全性の確保等の観点からおのずから限界がある。こうした事態は、特許制度の基本にかかわる問題であるため、昭和六二年の一部改正において、特許権の存続期間の延長制度が創設された、延長対象を、特許発明に限ったのは、次の二つの理由による。第一には、本制度は、「特許権の存続期間の延長制度」であり、特許法上、特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日に始まると規定されているためである(六六条一項)。第二には、他の分野の発明との公平性の問題である。すなわち、仮に、出願公開の日又は出願公告の日から起算することとすると、本延長制度の対象として政令指定された分野については、特許の審査・審理に要した期間(特許権の設定の登録前の期間)についても部分的に存続期間の延長の対象とされることとなり、一般の政令指定されない分野については特許の審査・審理に長期間かかれば特許権の存続期間は短くなるにもかかわらず期間延長の対象とはならないのと比べ、公平性を失することとなるためである。
 延長制度の対象分野である政令で定める処分は、特許法施行令第三条において、薬事法の承認及び農薬取締法の登録が規定されている。
 なお、本条には従来、追加の特許権が独立の特許権になった場合の存続期間の規定(昭和六〇年の一部改正で削除)や明細書又は図面の補正が要旨変更であると認定されて特許出願の時点が繰り下げられた場合の存続期間の規定(平成五年の一部改正で削除)が設けられていたが、いずれも削除されている。
[字句の解釈]
1 <安全性の確保等を目的とする>「安全性の確保等を目的とする」という字句は、「法律」の具体的イメージを表現するために、例示したにすぎないものであり、「等」の内容は「安全性の確保」により限定されるものでないから、法律の目的の内容いかんによって、政令指定されるか否かが変わることはない。
2 <的確に行うには相当の期間を要するもの>「当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして」と規定したのは、その処分の目的をきちんと達成するためには、どんなに早く手続を運んでいっても、やむを得ず、相当の期間を要してしまうものに限って対象とするという趣旨を明らかにしたものである。
3 <特許発明の実施をすることができない期間があったとき>特許期間は、排他的実施権たる特許権に時間的制限を設けることにより、発明の保護と利用の調和点を見出すものである。昭和六二年の一部改正により導入された措置は、安全性の確保等の法規制の処分を受けるに当たり、所要の実験・審査等に長期間を有することにより特許発明の実施ができない分野について延長を行うものであるが、その目的は、このような要件に該当する分野については、発明の保護に著しく欠ける現状となっており、あまりにもこれを利用する側の立場が有利となっていることに鑑み、発明の保護を手厚くすることによって、その利用との均衡を図ろうとするものである。制度導入当時は、延長登録出願の極端な増加は重要な発明の審査遅延をもたらすこと、政府規制をクリアにするためには、通常であれば二年間程度はかかることに鑑み、実施をすることができなかった期間が二年以上のものに限り延長を認めるとしていた。しかしながら、存続期間の延長制度を採用する欧米と比較すると、二年未満の延長を認めない点は我が国固有のものであり、このような制限を設けていない欧米と比べ、特許権者を充分保護しているとは言い難いこと、及び本制度導入から一〇年以上経過したが、その間、延長登録出願の件数も一定に維持させており、極端な増加のおそれはなくなったことから、平成一一年の一部改正において特許発明を実施することができなかった期間があるときは、特許権の存続期間を延長をすることができることとした。
4 <五年を限度として>昭和六二年の一部改正により導入された特許期間の延長制度は、一項の例外、制度導入当時でいえば、平成六年の一部改正前の一項ただし書の「ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない。」の例外を形成することとなるものである。この従来のただし書の規定は、出願公告が遅れたために特許権の終期が咲きに不当に延びることによる弊害を除くために設けられたものである。よって、本延長制度を創設するに当たっても、特許権の存続期間の満了日は特許出願の日から無制限に長くなることのないよう手当てしなければならないため、五年を上限とした。現在の一項の規定においても、従来の一項ただし書の規定の趣旨は踏襲されているので、この点に変わりはない。なお、アメリカ、欧州及び韓国の期間延長制度も五年の上限を設けている。(青本第17版)
最終更新:2009年11月04日 06:50
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。