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特許法第七〇条

(特許発明の技術的範囲)実
第七〇条
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。(改正、平一四法律二四)
2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。(本項追加、平六法律一一六改正、平一四法律二四)
3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。(本項追加、平二法律三〇、改正、平六法律一一六)

旧法との関係 該当条文なし
趣旨
 本条は、特許発明の技術的範囲の認定について想定したものである。
 旧法のもとにおいては、特許発明の技術的範囲を定めるに当たっては、特許請求の範囲に記載された内容にのみ限定される意見と、発明の詳細な説明の記載を含めた明細書全体から判断すべきであるという意見があった。後者の意見の最も極端なものは、特許請求の範囲は発明の単なるインデックスにすぎないというものである。この点、現行法一項は特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載にもとづいて定められなければならない旨を明確にしたものである。したがって、発明の詳細な説明の欄には記載されているが、特許請求の範囲の欄には記載されていないような発明の内容は、特許発明の技術的範囲に包含されていないのである。
 二項は、平成六年の一部改正により追加された規定であり、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められることを原則とした上で、特許請求の範囲に記載された用語について発明の詳細な説明等にその意味するところや定義が記載されているときは、それらを考慮して特許発明の技術的範囲の認定を行うことを確認的に規定したものである。
 また、本項は、特許請求の範囲に記載された個々の用語の意義の解釈について規定したものであるから、この規定により、①特許発明の技術的範囲を発明の詳細な説明中に記載された実施例に限定して解釈することや、②発明の詳細な説明中には記載されているが特許請求の範囲には記載されていない事項を特許請求の範囲に記載されているものと解釈することが容認されるものではないことはいうまでもない。
 なお、平成一四年の一部解釈において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、一項及び二項にも必要な修正が加えられた。
 三項は、平成二年の一部改正により追加された規定であり、特許発明の技術的範囲を定めるに当たっての願書に添付した要約書の位置付けについて規定したものである。その趣旨は、要約書はもっぱら技術情報として用いることをその目的とするものであるため、特許発明の技術的範囲を定めるに当たって要約書の記載を考慮する必要はなく、仮に考慮するとすれば、要約書の技術情報としての役割との関係でいろいろな問題が生じるおそれがあるため、要約書の記載は、特許発明の技術的範囲を定めるに当たって考慮してはならないこととした。なお、要約書を採用している条約及び諸外国の法令においても、同様の規定が置かれている。
 なお、本項は、平成六年の一部改正により、二項が新設されたことに伴い、一項の場合に加え、二項の場合においても要約書の記載を考慮してはならない旨改正された。
[参考]
<均等論>平成六年の一部改正にあたっては、工業所有権審議会において、クレーム解釈にあたっての均等論の適用のあり方についても審議がなされた。
 同審議会においては、均等論の考え方を明文化することについては、それにより派生的に生ずる問題も少なからずあることも否定できないとされたため、平成六年の一部改正で本条において均等論の考え方を明文上位置づける改正は行われなかった。しかし、同審議会の答申においては、我が国における均等論の適用のあり方に関し、①現行の特許法七〇条の規定は本来均等論の適用を排するものではない、②均等論の適用については、事案に応じて、ケースバイケースで正当な考慮がなされることが適当である、といった考え方の整理を行うことが適当であるとされていた(平成六年九月工業所有権審議会答申参照)。
 その後、平成一〇年二月の最高裁判所判決(ボールスプライン軸受事件)によって、最高裁判所の均等論についての考え方が示され、同時に判断基準が示された。特許請求の範囲と異なる部分があっても、①特許発明の本質的な部分ではなく、②置き換えても特許発明の目的を達成でき、同一の作用効果を有するものであって、③置き換えることにより、当該発明の属する部分の分野における通常の知識を有する者が、対象製品等の製造の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許出願時における公知技術と同一又は当業者が出願時に用意に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして扱うこととされた。(青本第17版)
最終更新:2009年11月07日 18:50
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