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北山にある洋館。
クロウ・エリュシオンの訪問以降、依然としてその扉は閉ざされたままだった。
風の吹く音、雪の降る音のみが内部に木霊し、それ以外に音を立てる者も無い。
一人を除いて。
黒いスーツを着た長身の、金色の長髪を後ろに撫でつけた、銀縁の眼鏡をかけた男――バアルは、一人廊下を進んでいた。
その表情に感情の色は無く。
しかしその足取りは、何かを決意しているかのように揺るぎない。
やがてその足が階段に辿り着くと、彼はゆっくりそこを下りる。
そして、踊り場で止まった。
正面から、外へと続く扉が見下ろせる。
そこで、彼は待った。

やがて、ゆっくりとその扉は開く。

入ってきた人物は、まずバアルの姿を認めると、視線のみを周囲に配る。
その様を見てバアルは少し笑みを浮かべ、言った。
「安心したまえ。私以外、誰もいない」
それを聞き、訪問者は再度視線をバアルへと向ける。
「ようこそ、旅人よ。歓迎しよう」
そう言いながら、バアルは慇懃に頭を下げる。

「一つ聞く。プリズナで起こった事件の首謀者は、貴方か」

訪問者は、バアルを真っ直ぐ見つめ、そう言った。
バアルは指先を顎に当て、少し考えると、やがて答える。
「あぁ、そうだね。首謀者というなら、この私になるだろう」
その言葉に、訪問者はゆっくり頷いた。
「さて、そろそろ…君の用件を聞こう」

訪問者――クリストファー・セレナードはフードを下ろして、バアルを睨んだ。

「貴方を、討ちに来た」


最終更新:2018年10月02日 22:29