アットウィキロゴ
ホテルの前に停まる大型の車両の助手席。そこに、レオン・トラヴァースが座っていた。
表情は明るくなく、時折背後の小窓から車両の後部内を睨む。
窓の無い後部の空間には、二つの座席に二人の人物が座っていた。

ジャンゴ・ザネッティと、ベルカナ・フォン・ロワイアル。

二人ともアーマー姿だが武装解除されており、メットも無く素顔を見せている。
室内は沈黙が下りており、どちらも一言も発さない。これから先どんな拷問を受けようとも口を割る気はない、とでも言うかのように。
しかし小窓から内部を睨みつけるレオンに、ジャンゴは不敵な笑みを返した。無言のまま。
「いつでも逃げ出せるってか。甘く見られたもんだ」
彼はそう呟き、今度は窓の外へと視線を向ける。
スーツ姿の男女が、プリズナの町のホテルから備品を運び出していた。レオンが乗っている車両の前後にも大型の車両が数台停まっており、その中へと運び込んでいる。
「あと数分で出発だそうだ。何人かは残るらしいが……この町とはおさらばだな」
今度はフロントガラスから外を眺め、行き交う人々を眺める。
「ここでの仕事は終わった。俺は後ろの二人を護送するつもりだ」
そこまで言うと、運転席へと視線を向けた。

レベッカ・ミラーへと。

「アンタはどうするつもりだ?」
「さぁね」
素っ気ない言葉。言外に『話しかけるな』という雰囲気が濃く出ている。
彼女の頬は赤く、両目から泣き腫らした跡が見えた。
「さぁだと?行く当てがないのか?じゃあ一緒に来るか?俺の行き先は後ろの二人を送り届ける刑務所だが」
「黙ってて」
有無を言わさぬ口調でピシャリと言葉を断ち切られる。しかしレオンは、そんなレベッカの顔を見つめた。
今度は声を低めて、彼は言う。
「このまま負け犬で終わるつもりか?」
「っ……!!アンタに何が分かるの!!?」

米神に青筋を立て、レベッカはレオンに叫んだ。吠えるように。

「いきなり誰かに気絶させられて!!気が付いたらレイラが死んでて!!スティーブは行方不明!!私が負け犬にすらなれなかったのよ!!」

そこまで言って、彼女は肩で息をする。レオンはレベッカの絶叫に、しばし黙っていた。
やがて彼女の眼を見て、静かに言う。

「なら尚更だ。俺はアンタをよく知らないが、これで終わる女には見えない」

レベッカはその表情に更なる憤りを漲らせるが、しかし言い返しはしなかった。
座り直して、視線をフロントガラスの向こうの景色へと移す。

「当たり前でしょ。スティーブの奴、絶対見つけてやる……!!」

彼女の言葉に、レオンは満足そうに笑い声を上げた。

「ハッハッハッハ!!そりゃあいい!!あの探偵を見つけたら、思いきりぶん殴ってやれ!!」


こうして、賞金稼ぎのレオン・トラヴァース、ジャーナリストのレベッカ・ミラーの二人は、プリズナの町を後にした。


最終更新:2023年01月09日 21:21