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数か月後。

もう雪が解け、春になろうとしている。
焼け落ちた教会は、町で募られた寄付金により再建が進んでいる。その一方、騒動による死者はその傍にある墓地に葬られた。

ジョン・クラフトもその一人として、妻と娘の居る墓に。

その墓の前に、クロウ・エリュシオンは立っていた。

身体に蓄積したダメージが祟ったのか、ゼゼに救出されてから数日間意識を失っていた。
その間、ジャックは学校に戻り、ゼゼはマザー達の下を去ってプリズナの町に滞在を決めたという。
クロウを逮捕しようと動いていた筈の警察は、彼が目覚めた時には姿を現さなかった。どうやら、マザー達が圧力をかけて手を引かせたらしい。
彼らの手を煩わせたこと、それにある種不当な手段で罪を免れたことが、クロウにとっては複雑な気分だった。

ジョンの墓の前で、彼はずっと考えている。
何故あの時、突如として自分の前に彼が立ちはだかったのか。
ビートルジュースの差し金であることは明らかだったが、ジョンが彼の前で語った事実からすると、何の誤解も無く、彼はクロウを殺しに来たのだ。
ヘブン。古代文明。それらこの世界の構造。その被害者であったジョン・クラフト。
クロウにとって重要なのは、この世にはジョンのような人間が数多くいるのだということだった。
無くした左腕。その傷口に触れながら、クロウはジョンの墓を見る。

「分かってる。忘れはしない」

そう言い残して、彼は墓地を去る。

もう戦うことのできない自分には、まだ人生の道筋も見出せない。
けれど、ジョンのような人間を救う方法はある筈だ。

クロウ・エリュシオンもまた、別の生き方を探しに、新しい道を歩き出した。




最終更新:2023年01月09日 21:26