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4話

紫蓮は、石造りの道を歩いていた。

道沿いには、石造りの家が並んでいる。

紫蓮の家は、住宅街よりもやや離れた坂の上にある。

家の大きさは一般的な神界の家よりも1つ部屋が多いだけという、役人の中ではフラットベルに次いで質素な家の造りだ。

  「ただいま~。」

紫蓮は木製の扉を開ける。

すると中からパタパタと足音が響く。

  「おかえり~、お疲れさまネ。」

  「お茶と食事とどちらにシマス?」

出迎えたのは、青白い皮膚に紫の目をした二人の給仕だ。

彼女たちは「緋鈴(フェイリン)」と「香飛(シャンフェイ)」。

神界での人造ファミリアの実験体として作られたが、能力が予想値よりも大幅に下回ったため廃棄される所を紫蓮に引き取られた。

今では、紫蓮の給仕として共に暮らしている。

  「まだやる事があるからお茶でいいかな。それとセイン様にいただいた絨毯はどこにあるかわかるかな?」

  「ちゃんとしまってありマスヨ。」

  「傷まないようにキッチリと保管したヨ!」

自信たっぷりな様子で言う二人。

  「明日に使うことになったから出しておいてもらえるかな?」

  「わかったヨ。」

  「ところで、お茶は書斎にお持ちすればいいデスカ?」

  「うん、頼むよ。」

絨毯の件を二人に頼むと、紫蓮は書斎へ向かった。

迎えに行くと行っても紫蓮自身で大した用意はする必要はない。

服装もいつもの法衣で十分なので、明日の昼前まではゆっくりできる。

紫蓮のは書斎は、本はあちらこちらに散らばっていた。

そして窓の傍には大きめの木製の机とイスが置かれている。

紫蓮は本を避けながらイスにつくと、机に持ち帰った地図を広げた。

実はプロフェスシティに行くルートを決めかねていたのだ。

地図にプロフェスシティまでの道のりを指でなぞっていく紫蓮。

最短ルートを使えばわずかの時間で着くのだが、いくつかの障害があった。

1つはロッキーバウンダーと呼ばれる山脈。

その名が示す通り、空高くに岩が飛んでくるのだ。

これは間欠泉が関係しており、そのせいで岩が物凄い力で押し上げられる。

しかもどの場所から岩が飛んでくるかわからない危険な場所だ。

ここのすぐ脇を通ればさほど距離の差は出ない。

しかし、ロッキーバウンダーの隣にはストームバレーと呼ばれる危険地帯が存在するのだ。

突如吹き付ける突風に絨毯は持たないだろう。

紫蓮はこのルートを避け、なおかつ距離の短い場所を探す。

それらの2つの危険地帯を避けて通るとなると、大きな大きな湖を越えることになる。

その湖は「フロステアル湖」と呼ばれている。

通る時間帯を間違えれば何物でも氷漬けにしてしまうブリザードに見舞われるのだ。

しかし、それは真夜中に限ってのこと。

紫蓮たちがここを通る時間帯は昼間。

昼間のフロステアル湖は幻想的な美しさを誇る名所なのだ。

フロステアル湖は障害物もなく、突風が起こるような場所でもない。

まずここを通ることにする。

次の難関は町である。

ここを通った場合には3の町の上を通ることになる。

1つ目はファスペアルシティ、2つ目はディーベルタウン、3つ目はポッカラヴィレッジ。

ファスペアルシティは魔法医学の町だ。

下手をすれば怪我人の搬送を邪魔しかねない。

ディーベルタウンは、魔界人達が暮らす町であるため無許可で通ることは不可能だ。

申請しても今日中には許可が下りないだろう。

残すはポッカラヴィレッジだ。

ここは畑しかない平穏な場所だ。

通るならここ以外にないだろう。

ここを超えてしまえば障害になりそうな場所はない。

  「よし、このルートなら時間的にも安全的にも問題ないな」

紫蓮は地図に印をつけ、ルートを決定する。

ちょうど香飛が紅茶を持ってきた。

  「お茶をお持ちしまシタヨ~」

紫蓮の机に紅茶を持ってくる香飛。

  「ありがとう」

紫蓮の礼に応えるように香飛は軽く会釈をして部屋を出て行く。

香飛が持ってきた紅茶を飲みながら他のルートも調べている紫蓮。

地図を指でなぞりつつ、より安全なルートを探していく。

だが他にいいルートは見当たらない。

先程に決めた案が最良のものと見て良いだろう。

ルートを決め終え、一段落したところに香飛の声が響く。

  「もう少しで御夕食の用意ができマスヨ」

香飛の言葉を聞き、時計を見ればかなりの時間が過ぎていた。

  「お、そんな時間か」

紫蓮は夕食を取ると、明日のことを考えて早めに床に着くことにした。
最終更新:2011年05月13日 02:44
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