「オレンジジュースぅ?」 あたしは思わず声を上げた。訝しげなあたしの顔を、アンコウの端正な顔が覗き込む。 「何だよ、悪いかよ、さい。」 「でもさあ、なんだかオレンジジュースってアンコウに合わないよ。すっごい濃いブラックとか飲んでそうなのに。」 彼の服装が黒いからだろうか。それとも天気が暗いからだろうか。それともアンコウに、何か暗いものを感じているから? そういえば、アンコウは何歳なのだろう。見た目は25歳くらいに見えるけれど、もっと幼いといっても通じるし、逆に36歳なんです、って言われても納得してしまいそうだ。 「俺はブラック嫌いなの。すっごい苦いし、現実以外にそんなに濃いもの要らないしさ。」 ――アンコウ、あなたの現実って何?それはブラックコーヒーよりも苦くて、そして濃いものなの? [[前へ>http://www30.atwiki.jp/bluesky-dreamer/pages/102.html]] [[次へ>第十二話]]