「フレイア達が無事でよかったよ。俺はディー。よろしく、ソラコ」
「よろしくヨー」

フレイアがそらこに色々と説明をし終えた後に自爆したD(以下ディーと表記)が起き上がり、そらことディーはそれぞれ自己紹介をした。(と言っても、普通に名乗りあっただけだが)。
ディーが「なんか頭が痛いような」とか言うのを、フレイアはどこで身につけたのか小一時間問い詰めたくなるようなスルースキルで華麗にスルーした。

「じゃ、ディーも起きたしそろそろルイスを探そうかな。ソラコ、歩ける?」
「大丈夫ヨー。多分きっと大丈夫ヨー」

いやいや、多分きっとって。本当に大丈夫なのか? なんてツッコミを入れることの出来る人物は誰1人としてここにはいない。何故ならヴぁ、この場にいる奴等は全員ボケ役だったからなのであった。ぶるぁ。

   *   *   *

○がつ×にち(ほんとはなんがつなんにちかはわからない) はれ
へんなゴキブリとうさぎにころしあいをしろっていわれた。おねえちゃんがしんでた。ぜんぶくろかみのおんなのせいだからぜんぶこわしちゃうことにした。でもあのおんな、けっこうてごわい。みてろ、ぜったいにこわしてやる。

それからすうじゅっぷんご はれ
グミとスペルカードっていうのがしきゅうされた。これでぜったいにあのくろかみのおんなをこわしてやる。

それからすうじかんご はれ
おんなをひとりころした。ぜんぶぜんぶぜーんぶ、こわれちゃえばいいんだ。あははははははははは。

すうじかんご はれ
ほうそうをきいた。おねえちゃんのなまえがよばれた。ほかにもなんにんかしんでた。

わかんない はれ
まちについた。なんにんかみつけた。あいつらみんなこわしてやる。


――とある少女の脳内日記より、抜粋

   *   *   *

そらこはレイスのみらくる☆ぱわあ(仮)が移る前から、聴力が優れている方だった。おそらくそれは、とあるニート剣士の下で修行した両面的に真っ黒な剣士やまな板盗賊よりも上だろう。……ドジっ娘神子には劣るだろうが。
――つまりは、すぐ近くで突然聞こえるかどうか怪しいようなわずかな物音が聞こえたとしたら、真っ先に気づくのは彼女なわけで。

「フレイア、誰かい――」

……ただし、それを伝えるのよりも相手が出てくるほうが早ければあまり意味がないわけで。
建物の影から飛び出した少女は、カードのようなものを持っていた。その表情を一言で表すとするならば、“狂気”。

「禁忌――【クランベリートラップ】」

少女がそう“宣言”した瞬間、鮮やかな青色とピンク色をした光の弾がフレイア達の周囲に現れる。それらはまるで何かを描くかのように舞い、フレイア達に襲い掛かる。
ディーは驚いてそれを避けようとするが、数が多すぎる。ピンク色の光弾が腕に掠って、白黒の服が少し破けた。フレイアは暫く適当に避けてその光の弾をじっと見ている。腕や足に掠ったりはするが、掠った程度ならダメージはそんなに大きくは無い。
そしてフレイアはそらことディーの腕を掴むと、走った。

「ちょ、フレイア! 無茶だって!」
「妹様のスペカは難易度高すぎるヨー!」

そらことディーが悲鳴にも似た(というかほぼ悲鳴な)声を上げる。けれどもフレイアは、その光の弾を走りながら避けていった。……そらことディーを引っ張ったまま。一番驚いたのは、その弾幕を見たことのあるそらこだった。

「嘘っ!? フランのスペカを初見で避けるとかどんだけアルヨー」
「何言ってんの? 一定のパターンがあるから、それが分かれば簡単に避けられるじゃん」

全国の妹様を倒せない方々がフレイアの台詞を聞いたら大泣きするだろう。パターンが分からないから苦労するんだよ畜生。げふんげふん、失礼。
しかし避けられるからといって、弾幕の雨はそう簡単には止まない。フレイアはディーに魔術の詠唱を促す。あの少女を直接攻撃すれば、この弾幕の雨も止むだろうという考えだ。

「ぐっ……!」

黒こげ……とまではいかなかったが、少女が一瞬呻き声を上げる。そして、あざやかな弾幕は消え去った。どうやら大分術の威力が落とされているらしく、ライトニングが直撃したというのに少女は平然としていた。

「いきなり襲われるとは思わなかったよ、さっき襲撃されたばっかだってのに」
「……れ……え……」

あまりに小さな声。ディーが「え?」と聞き返すと、次の瞬間少女は目を大きく開いて叫んだ。

「……壊レちャえ!!」

少女がフレイアに向かって刀で斬りかかる。ディーとそらこの叫び声が聞こえた。フレイアは刀をバックステップでかわすと、急いでミニ八卦炉を取り出す。少女が再び刀で斬りかかると、それをミニ八卦炉で受け止めた。結構丈夫なようだ。
フレイアはそのまま押し出して少女のバランスを崩し、蹴り上げて少女を僅かに浮かす。

「――飛燕連脚!」

フレイアは浮いた少女に回し蹴りを繰り出した。
1回、少女の体にフレイアの足が物凄い勢いでぶつかる。
2回、吹っ飛ぶ間もなく、もう片方の足が少女のわき腹に命中する。
3回目、トドメと言わんばかりに容赦のない蹴りで地面に叩きつけられる。まるでサッカーのシュートのようだ。そして、

「鷹爪襲撃!!」

空中から地上への急降下攻撃。これできっと目の前の少女は動かなくなる。いや、飛燕連脚の3度目の蹴りで既に動けなくなっているかもしれない。――フレイアはそう思っていた。
少女はフレイアの“鷹爪襲撃”を、刀で防いでいた。フレイアはそれに驚きながらも、押し返される前に後方に跳んで着地する。

「ウィンドカッター!」

ディーが魔術を唱える。風の刃が、少女の肌を切り裂く。――と言っても、僅かな切り傷を所々につけただけであった。これでは怯ませる程度にしか使えない。

「――まずい。ボクもうあんまり術出せないかも。一旦退こう」
「どーすんの?」
「ボクの作戦通りに動いて。……この台詞はあんまりボクっぽくないね」

その作戦はとても簡単なものだった。フレイアの作戦を聞くと、ディーとそらこは黙ったまま頷いた。
少女が突進してくる。ディーは直ぐに魔術の詠唱を行う。

「ウィンドカッター!」

風の刃が少女の体に僅かな切り傷をつける。すかさずそらこが、波導弾を撃ち出す。それは勢いよく飛び出し、怯んだ少女に直撃する。少女が吹き飛んだのを確認すると、フレイア達は一気に走った。
少女は動かなかった。否、動けなかった。死んでいるからではない。――気絶していた。


【D3 街内部・夕方】

【名前・出展者】レニーファ@ハーフ
【状態】足に痛み(動かすと痛みが走る程度。本人はあまり気になっていない様子)、異常な狂気、中程度の疲労、僅かな切り傷、打撲、気絶
【装備】妖刀@暁、フランドールのスペルカード(1~?枚)@東方Project
【所持品】基本支給品一式 グミセット(アップルグミ残り8、オレンジグミ残り10)@テイルズオブシリーズ、フランドールのスペルカード(?枚)@東方Project
【思考】
基本:全部ぶち壊してあげる
1:…………(気絶)
2:黒髪の女(レイス)をスペルカードで壊す
※レニーファがどのスペルを持ち、どのスペルをデイパックに仕舞ったのかはお任せします
~所持スペルカード残り~
禁忌「レーヴァテイン」
禁忌「フォーオブアカインド」
禁忌「カゴメカゴメ」
禁忌「恋の迷路」
禁弾「スターボウブレイク」
禁弾「カタディオプトリック」
禁弾「過去を刻む時計」
秘弾「そして誰もいなくなるか?」
QED「495年の波紋」
禁忌「フォービドゥンフルーツ」
禁忌「禁じられた遊び 」


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最終更新:2008年12月16日 17:06