「おばけだぞー」 「……」 「おばけだぞー」 「……」 「おばけだぞー」 「……」 ――これまで、何度このやり取りが繰り返されたか。 正直な話相当な数繰り返している。 黙っているほう――コバルトは楽なものだ。 が、声をかけているほう――ルーミアは中々の忍耐力だ。 時刻は既に太陽が空を大きく登っている所だ。 コバルトとルーミア、両者の邂逅は大体こんな感じだ。 その一、コバルトがこの街を探索する。 その二、大分回りきってしまい、適当な民家で休憩する。 その三、ルーミアーガキータヨー。 暫くの間ルーミアは闇を纏った状態でふよふよしていたのだが、不意に闇を解除してへたり込んだ。 疲れたように目を細めながら女の子すわりである。 そうして少しすると現在に至る、というわけだ。 「……お前の行動原理がわからんのだが」 やっとの事でコバルトが口を開く。 ルーミアは暫く恐ろしげに笑い続けていた表情を楽しげなものに変える。 それほど違いは見られないが。 「食べちゃおうかと思ったけど、その前におなかすいちゃった。 食べられるものを所望するわー、あなたとか、お菓子とか」 「おばけと言うのはそう言う意味か……」 “あなた”というのは物騒だが、仕方あるまい。 ちょうどコバルトはいい物を持っている。 「……コレをやる。 正直処分に困っていたところだ」 言って、デイパックから取り出したのはいくつかのビスケット。 どうやらこれが支給品だったらしい。 貴重な食料なのだからとっておくべきかもしれないが、既に店屋で食材を見つけてしまっているので正直要らない。 それをわざわざ得体の知れない少女に与える辺り、コバルトの性格がうかがえるが。 「ありがとうねー。 でもそんなの私もってないわよ」 言って、ルーミアは右手で握っていたデイパックからいろいろと物を取り出す。 出てきたのは武器だ。 無限刃とよばれる刀らしく、コバルトはそれに嫌な感覚を覚えた。 ルーミアは別にそれを気にしていないようだが、気がついてはいないのだろうか。 「随分と偏るな……」 ぼそりと、小さく呟く。 が、どうも効かれていたようで、何が? と問いかけられる。 適当にごまかしておいた。 因みにコバルトの支給品はこのクッキーと-ドライバーである。 もはやどう使えばいいのかまったく持ってわからない。 「それで? お前はこれからどうするんだ?」 「ももたろさんももたろさん♪」 「恩返しか? いいんじゃないか? ……所で、その腕を広げっぱなしのポーズはなんなんだ?」 「聖者は十字架を背負いましたって、見える?」 「月が綺麗ですね、と見えるな」 その少女は、無邪気っぽく笑った。 「そーなのかー」 【場所・時間帯】赤エリア 民家の中 昼前 【名前・出展者】ルーミア@東方project 【状態】疲労中 【装備】無限刃@るろうに剣心 【所持品】武器1点 基本一式 【思考】 基本:とりあえずはコバルトについていく。 1、(特に何も考えていない) 「そういえば、自己紹介がまだだったな。 俺はコバルト、そう呼ばれている」 言いながら考える。 片手間のように思考を転がして、 (まずはライラを探すべきだな。 飛行が可能なようだし、まぁがんばってもらうとしよう) 【場所・時間帯】赤エリア 民家の中 昼前 【名前・出展者】コバルト@星屑の幻想 【状態】健康 【装備】無し 【所持品】ビスケット一箱 -ドライバー 基本一式。 【思考】 基本:まずはライラを探す。 1、なんなんだこの子は。 2、無限刃から嫌な予感。 【無限刃@るろうに剣心】 志々雄真実が所持する、新井赤空作最終型殺人奇剣。 刃には志々雄がこれまで斬った人間の脂が染み込んでおり、摩擦熱を用いなくとも刀身を発火させることが可能 前の話 |033|[[【勘違いから始まるかもしんない】]]| 次の話 |035|[[【少女と嘘と一筋の光】]]|