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カザカノタタリ

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製作者 VEN、磁石
出場大会 第七回大会
経歴

設定

彼はいつも暗がりにいた。
彼はいつからか暗闇の中にいた。



その記憶が違っていなければ、彼は20代後半か、その辺りの年齢の男だった筈だ。
家族や親戚、或いは配偶者もいない彼は子供の頃からずっと幽霊などの『存在せざる物』の研究をしていた。

幽霊も、怪物も、神も、或いは宇宙人も。
彼はいつだってそんな物は存在しないと信じて疑わず、それを証明する事に心血を注いでいた。

心血を注いだが故に、出会ってしまったのかもしれない。

『闇』に。

都市から離れた郊外の、誰も知らないような教会の廃墟。
その裏側、陽の光の届かぬ墓場に、ソイツはいた。

――昏く、深いソイツの何十もの眼と自らの目が合った。
それが彼の人間としての最後の記憶だ。

その時に何か凍えるほどに冷たい何かが自分の中に入り込んでくる感触を味わった事だけは記憶している。



それからはひたすらに人を避け、光に怯えるのが彼の生活だった。
……彼の事を『生きている』と表現していいのかどうかは分からないが。

総身を包んだ『黒い霧』はあらゆる物を風化させ、生を死に変えてしまう。
体に居座るソイツは光を嫌がる。暴れ出さないようにするためには、ただ光を避け続けるしかない。

人間の生活など望むべくもない。
食事も睡眠も彼は必要としない。

孤独と暗闇……それに、時たま話しかけてくる『霧』だけが彼の友人だった。



何年か、何十年かが流れる。

お気に入りの薄暗いゴミ捨て場に、彼はいた。

その体は相変わらず黒い霧に包まれているものの、人としての輪郭は保たれている。

どんな事象であれ、永い年月は人間に適応をもたらしてくれる。

今の彼には、黒い霧は手足よりも簡単に操作できたし、霧と会話が行えた。

そんな、ある日の事。
霧が話しかけてきた。ノイズを混ぜ合わせたような乱暴な声で。

――オイ、『相棒』。

「何だ?……そろそろ日暮れ時か?」

――突然ダガ、オ前ニ面白イ話ヲシテヤルヨ。
――ケヒッ、ソウ面倒臭ソウナ顔ヲスンナヨ……聞キタクネーノカイ?

――オレガ、オレタチガ何故オ前ニ取リ憑イタノカ。

黙り込んだ彼に向かって、黒い霧は話し始めた。

曰く――『彼ら』は、抑圧されてきた怨念の集合体らしい。
幸福に生きる誰もに目を背けられ、打ち捨てられてきた心の残骸。

生まれも、育ちも、そして死様も……全く違う『彼ら』はたった一つ、同じ目的を持っていた。


表舞台に。
誰もが視線を向けざるを得なくなるような、華々しく輝かしい光の元に。

たった一度だけでも、ほんの一瞬だけでも――存在してみたい。


「……」

――オ前モ既ニ死霊ノ類。知ッテルンダロ?

「ああ……『祭り』の事だろ」

――ヒヒッ……ズット待ッテタンダゼ、コンナ『奇跡』ヲ。

「そんな物に……出る意味は、俺には無い」

彼は、無下に『黒い霧』が暗に示した要求を断った。
しかし、霧は楽しげに笑いながら続けた。

――オイオイ、最後マデ聞ケヨ。
――オレタチガコウシテ『現世』ニイル理由ハソレダケナンダゼ?

――理由ヲ失エバ、オレタチハ自然ト『成仏』スル。
――分カラネーカ?オ前、人間ニ戻レルンダゼ?

「!!」

それだけを言い終えると、霧はそれきり何も喋らなくなった。

彼は一瞬だけ迷った。
一瞬だけだった。

もう夢見る事さえ叶わなくなった人間の生活。
それを、もう一度手に入れる事が出来たのならば――!

「分かったよ、相棒……」
「ただし、人間に戻った瞬間に老衰で死んだりしないんだろうな?」

――ヒヒヒヒッ!ソンナドコゾヤノ『太郎』ミテーナ事ニハナラネーヨ!



――こうして、『彼』と『彼ら』は祭りへの参加を決めた。
それぞれの、目的にして命題の為に。





男

身長:182cm 体重:約15kg(ほぼ人間ではない為)


年齢:数え間違えていなければ163歳


種族:半人半霊


性格:冷静さが服を着て歩いているかのよう。
   人間をやめてからというものの驚いた事は100年以上ない。


目的:人間に戻る事。


風化の祟(カザカノタタリ)

身長:圧縮すれば半径0.1cmの球体、広げれば半径10mにも渡る


体重:基本的に0


種族:怨霊の類


性格:陽気で残酷。暗がりを歩く者がいれば容赦なく引き摺りこんで灰に変える。
   その残酷さは嫉妬心の表れでもある


目的:表舞台に立つ事。
   夜の世界を表舞台と表現していいのかどうか男は聞いたが、霧にとってはそちらが表らしい。


特徴:主に夜、日中の場合は光の届かない所で理由もなく彷徨い歩く半人半霊。
   人間に当てはめるとかなりいい外見をしていたのだが、今はもう見る影もない。

   何十年もの時の間に『黒い霧』を精密に扱えるようになっており、正直な話手足より動かしやすいらしい。

   黒い霧を纏う、飛ばす、凝縮する、拡散させる――とにかく色々な攻撃方法を持つ。
   扱える総量はあるものの、基本的に減衰したり元々の量が減る事は無い。

   黒い霧には強い怨念より生まれる『風化』の効果があり、普通の生物がまともに受けてしまえば灰になってしまう。
   当然だが、男はどれだけ濃い密度で霧を扱おうと痛くも痒くもない。

   光を嫌うという性質を持つ為、太陽の光が有効……ではない。
   むしろ光を浴びると、霧が怒り狂い数十メートルまで力を広げて無関係な物まで全てを黒く焼き尽くしてしまうだろう。

   男は元科学者であったが故に、ゴミ捨て場などでついまだ使えそうな試験管やナイフなどを拾ってしまう癖があった。
   それを武器として活用しようと考えたのも、或いは必然だ。

   刃の先端にだけ風化に力を集め、数十分の間使い続けられる凶悪な刃。
   黒い霧を試験管にダメージを与えないほどになる限界まで圧縮、解放する事で怨霊の大爆発を起こす簡易爆弾。
   霧そのものに加え、この二つが主に彼の武器となる。

技

死纒武(シテンブ):黒い霧を纏った格闘。その技術は素人同然だが、当たれば風化により死は免れない。

祟地朽(スイチキュウ):地面を風化させて足場を不安定にする。
             コンクリートなどの人口の地面にはあまり効果を発揮できない。

崩磐墜(ホウジャクツイ):周りの聳え立つ物体の根本を枯れさせ、倒れさせることで攻撃する。
              集中的に霧を放つ為、15階建てのビル程度なら簡単に倒す。

圧屈灰(アックツハイ):敵の攻撃をボロボロにして無力化する、彼が常に彼を中心として半径1メートルに発動させている球形のオーラ。
      巨大な物や炎などのエネルギーそのもののような攻撃にはオーラの形を変え対応する。

錆仄劒(サビホノツルギ):ナイフに風化の力を伝導、これにより傷つけられた部位から風化が広がり、どんな生物も殺す致命傷となる。
              投げる事も出来る、しかし20メートルも飛ばない。
              "元"白衣の裏地に沢山隠しておりまず使い切る事は無い。


硝筒散(ショウトウサン):試験管に凝縮された霧を解放、試験管が落下した地点から半径5メートルを死の霧が包む。
              試験管は15本ほど持っている。(一試合五本まで使うらしい)

溢黒玉(イツコクギョク):凝縮された半径3メートル程の球状の風化の塊を放つ。玉は50メートル程飛び、ブーメランのように戻ってくる。
              玉が戻ってくるまでの数秒間無防備になるため、相手が隙を見せたり弱った際に使用する決め技。

命渇尽(メイカツジン):溜まった風化のオーラを周囲に放出する。
             その密度は、重厚な金属であろうとも一瞬で風化させる程の物。
             使用後数秒ほど無防備になる、圧屈灰を抜けてくる攻撃や敵に対する最終手段ともいえる攻撃。

怨霧憑(エンムヒョウ):男が戦闘不能に陥った時の最終手段。
             霧が相手に飛び掛かり、無理矢理消し去ろうとする。
             男がやられた時点で霧にはもう力はあまり残っておらず、ある程度の精神力や体力があれば撥ね退けられる。
             しかし、男を倒す過程で力を使い切ってしまえば……霧に飲み込まれてしまうだろう。

補足

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最終更新:2014年10月21日 10:15