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新台場第一区画。
政府の計画書でそう呼ばれるそこは、15年前より始まった大規模都市計画によって誕生した、埋め立て地である。
すでに多くの国民が居住地として移住し、都市としての機能を持ってはいるが、拡張計画は未だ進行中である。
 この都市の北、新台場近代公園の先。
白い建物、重々しい空気が包む。
パトカーから発せられた赤い光は、否応なしにその場の異様な雰囲気を、道行く人々に伝えた。
日は落ち、辺りが暗くなるにつれ、そういった危険な空気は一層、その存在感を増す。
赤々と照らされた白い建物、都市の中枢である『新台場市庁舎』は、今や全国放送でその様子を確認できた。
スポットライトが照らす先には、数機の作業用工業二足車両、いわば“ロボット”が居た。
ことの始まりは、本日午後五時に遡る。
市庁舎へ集まった三人の議員を人質に、七山鉄工の作業員三名が、市庁舎を立てこもり、閉鎖。市庁舎は外部との連絡手段を絶たれ、さらにある重要な会議が行われる予定であったため、他所からの連絡や来客を予め遠慮してもらっていた。
そのため、警察庁への事件発覚が大幅に遅れ、警察が駆け込んだのは午後六時。

犯人は違法改造をしたロボットを所有しており、警察部隊の突入は困難であった。
警察所有のロボットで対抗するも、二機を破損、撤退している。
犯人からの犯行声明的な行動は無く、現在は状況は沈黙を保っている。
ここまでの情報を聞き、政府のバンに集まった“彼ら”は落ち着いていた。
「ここまでで質問は?」
「はいッス」
どこぞやの安いTシャツを着た、この場にそぐわない格好の男が、見せつけるように勢い良く手を挙げた。
彼だけではなく、ここに集まった人物は皆、現状の雰囲気とは違うように見える。
「なに、結城君?」
「犯人の詳細もですけど、ここで行われる予定だった重要な計画ってのは何ッスか?」
「犯人の犯行声明が無いことに、関係がありそうだな」
Tシャツ姿の男、結城昇の質問に続けて、がたいの良い男が続いた。格好は、作業着のようだ。
「大体の予想はついてると思うけど、都市結合計画……それのことね」
「やはり、か」
都市結合計画は、大規模都市計画の最終段階を指す。
それは、一種の大規模な“大陸移動”を行う計画である。

「反結合者の模倣犯といったところか」
「多分ね。敵は違法改造のアルテア製工業二足車両を四機保有。警察のやられ方を見ると、なかなか危険かもね」
「上に二機、地下に二機か……警察も、大変なのを相手にしたな」
最近の反政策運動の拡大は、決して目をつぶってはいられない状態であった。
こういった事態が起こり得ることはわかってはいたが、ある事件を境にその行動は加速していった。
その事件の解決と共に、政策を急かしたことも問題ではあったかもしれない。
「今回は、総理の直々の頼みで、あれを使うそうです」
「……大丈夫か」
作業着の男、加木丑松が険しい表情を曇らせる。
バンの外で待機する、二足車両運搬車を一瞥すると、スーツ姿の男が荷台のロボットのコックピットに入る姿があった。


警察としても、ただで引き下がりたくはなかった。のだが、権限には逆らえない。
そして、彼らの戦力は評価せざるを得ないのだ。
この事件は、内閣が直々に解決を決定したのだ。
この建物の周囲に恐らく停車してるであろう、公安警察の車両の中に居るのは、間違いない現職の政治家であり、内閣のメンバー、大臣である。
彼らは一号部隊と呼ばれ、まさに決定的な力を持った軍事組織なのだ。
ロボットの普及に伴い、その中心に居た政府が必然的にロボットの力を頼った組織へと変貌したのは、時代の変化としか言いようがない。
国のトップである総理までもが戦場に立つというのが、もはや当たり前なのだ。
カバーが降りる。
スポットライトに照らされ、蒼き巨体が路面に立つ。

――聖界機兵セイカイオー。


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最終更新:2009年11月24日 06:53