4月1日、人型ロボット産業で日本を建て直した立役者、英部総士郎首相が何者かに狙撃された。SPがすぐに狙撃地点に駆けつけたものの、犯人は既に自害していた。
総士郎「ぐっ・・・・・・ぅ」
秘書「先生!」
総士郎「ゴホッ・・・・・・落ち着け。これでは、もう・・・・・・」
秘書「頑張って下さい!すぐに救急車がきます!」
総士郎「悪いが、党の皆に伝えてくれ・・・・・・次期総裁は、次期総理は、チルドレン・・・・・・民荷、民荷尽に、どうか・・・・・・」
秘書「先生?先生・・・・・・センセェェ――――ッ!」
尽「先生が?僕に?どうして?」
秘書「理由を聞く事はできなかった。ただ先生は、確かに君を総裁にと、最期にそう仰っていた。総裁選に出ろ。我々が必ず当選させる。それが先生の遺志だ。」
尽「そんな・・・・・・」
片原「お受けなさい、民荷様。」
尽「官房長官・・・・・・でも、僕が先生の後を継ぐなんて・・・・・・」
片原「・・・・・・恐らくそれは違いますよ、民荷様。こう言ってはなんですが、総理の後を継ぐのなら、相応しい人間はもっと他におります。総理の望んだものはきっと、あなたにできる、あなたにしかできない何かです。」
尽「僕にしか、できない・・・・・・?」
良「まあ、そういうことだろうな。安心しろ、尽。俺も推してやる。」
稔「俺も、投票はできませんけど、協力させてください、先パイ!」
諭子「民荷君の作る未来か・・・・・・面白そう、あたしも乗った!」
衛「へっ、これじゃ対抗しても勝ち目ねえや。しょうがねえな。」
公康「フン、素直じゃない奴だ。ま、我々チルドレンからこれほど早く総裁が出るというのなら、お前を推してみるのも悪くない。」
衛「素直じゃねえのはどっちだ!」
尽「・・・・・・みんな、ありがとう。官房長官、僕、やってみます。」
稔「そうこなくっちゃ!」
さくら「・・・・・・」
一週間後、民荷尽は見事に総裁の座を勝ち取った。
片原「さて、次は人事ですな。」
尽「ええ、一応考えてはありますが・・・・・・あ、片原さんには官房長官をお願いしたいんですが。」
片原「かしこまりました。やはり、私にはこのポジションが性に合っておりましてな。」
尽「あの、垂木さんには、僕の秘書官をお願いしたいんだ。」
さくら「大臣ではなく?・・・・・・私が、議員ではないからですか?」
尽「ち、違うよ!垂木さんには役不足だってこともわかってる。でも、僕には自信が無いから・・・・・・優秀な人に、秘書官になって欲しいんだ。」
さくら「下手なおだてですね。」
尽が頭を抱える。
さくら「勘違いなさらないで下さい。総理の決めた人事なら、私は従います。秘書官、務めさせて頂きます。」
尽「え・・・・・・あ、そうなの?ああ、良かった!助かった!じゃあ、よろしくお願いします!」
さくら「はい・・・・・・。」
(こんな人が、総理?)
任官式も終わり、正式に民荷内閣が始動した日。
国会議事堂地下200メートル。そこには秘密のロボット格納庫があった。そこに降り立ったのは尽、さくら、片原、それに防衛庁長官の衛、宇宙開発技術庁長官の宙。
片原「わが国のもう一つの象徴、あらゆる性能において国内最高を誇る人型ロボット、征界巨人です。」
尽「征界巨人・・・・・・修学旅行で一度見たきりだ・・・・・・。」
片原「そしてこれが、征界巨人の起動キーです。」
尽「あ、そうか。征界巨人を動かせるのは・・・・・・」
片原「総理大臣だけ。このキーは総理がお持ちください。」
尽がキーを受け取った瞬間、けたたましい警報が鳴り響いた。
尽「何ですか!?」
作業員「はあ。それが・・・・・・謎の巨大ロボットがこちらに、向かってきてるんです。」
宙「はあ?」
作業員2「映像つながりました。見てください。」
一行の脇にあったモニターに、警察の車両を蹴散らしながら国会を目指すロボットの姿が映る。
衛「武装らしいものは無いが、このでかさならその気になれば国会でも簡単に・・・・・・」
宙「て、テロってことか?しかしロボットを使ったテロなんて聞いた事ないぞ?」
衛「俺だってねえよ!でもこの状況じゃ、そうとしか考えられん!」
尽「・・・・・・自衛隊はすぐに出動できるか?」
衛「それをできるようにするのが今後の俺の仕事よ。」
宙「できねぇならはっきりそう言えよ。」
衛「うるせえな!」
尽「警察じゃ歯が立たない。自衛隊も駄目なら・・・・・・」
尽が顔を上げる。その視線の先にあるものは。
尽「征界巨人って、すぐ動かせるんですか?」
エンジニア「ふん、そりゃもう何十年も動いたことなんざ無いがな、いつでも動かせるようにしとくのが俺たちの仕事よぉ・・・・・・ってあんた、まさか?」
尽「その、まさかです。」
エンジニア「駄ぁ目だ駄目だ!征界巨人は兵器じゃないぞ!」
尽「それでも、戦うだけの力はある・・・・・・官房長官?」
片原「非常に嫌な予感がしますが・・・・・・この際、仕方ありますまい。」
尽「よし、征界巨人、出します。準備をお願いします!」
エンジニア「ああ・・・・・・俺の巨人がぁ・・・・・・」
さくら「ちなみに、あなたの物ではありません。」(何なのよ・・・・・・この展開は?)
エンジニア「征界エンジン正常に稼動、出力42.0パーセント。発進準備よろし!」
作業員「ハッチ開け。」
幾重にもなった天井が開き、最後には頭上に青空が覗く。
宙「空だ・・・・・・あれ?議事堂はどうなってんだ?」
作業員「征界巨人、発進!」
征界巨人を載せた土台が地上に向けて上っていく。やがて征界巨人は尽を乗せ、左右真っ二つになった国会議事堂の間から姿をあらわした。その眼前には、件の巨大ロボットがある。その姿は、明らかにうろたえて見えた。
尽「国会はやらせない!」
征界巨人が今、戦いへの一歩を踏み出した。
第一話 『新内閣発足 総理史上最年少』 完
最終更新:2009年11月24日 07:44