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平「何だありゃあ・・・・・・」

平恒夫(たいらつねお)は国会議事堂を真っ二つに割って現れた白い巨大ロボットを見上げながら呟いた。

静「国会から・・・・・・国のものなのかしら?」

寺門「国の・・・・・・そうか、あれは・・・・・・クソッ何つったか!」

静「チーフ何か知ってるんですか?」

寺門「ああ。お前らの歳じゃ知らんかも知れんが・・・・・・おいヒラ!お前本社戻って資料探して来い。」

平「へ?何のッスか?」

寺門「国機だ。日本国機・・・・・・名前が思い出せんが。」

平「コッキ?日の丸ッスか?あのでかいのが?」

寺門「そうじゃねえ、国に機械の機!俺の歳だってそう覚えてる奴なんかいねぇんだ、他が思い出す前にさっさと行け!特ダネ逃すぞ!」

平「特ダネッスか!うい、行ってきます!」

平がバイクで走り去る。

静「何なんですか?国機って。」

寺門「俺もよく覚えてねえ。ヒラの資料待ちだ。だが国機なら確か、動かせるのは・・・・・・」





明らかにうろたえたと見えたのも束の間、敵ロボットは征界巨人に向け猛然と殴りかかってきた。

尽「うわぁっ!って、全然平気なのか?それなら!」

征界巨人は手を広げ、敵ロボットを突き飛ばす。敵ロボットはよろめき、後ずさるものの、再び征界巨人を攻撃する。その攻撃を今度は腕を前に出して防御した。

尽「わかってきた・・・・・・全く、ロボット操縦なんて中学の授業以来だよ!」

征界巨人がパンチを繰り出す。敵ロボットは破片を散らせ、頭部をひしゃげさせた。


片原「ふむ、総理、征界巨人の長所をうまく使っておられますな。」

宙「何ですか、長所って?」

衛「厚い装甲と聖域バリアシステム。つまり破格の頑丈さだ。」

片原「相手の攻撃に構わず、その頑強な腕で打撃を加える。征界巨人にとっては理想の戦法です。」

さくら(それって、他に戦いようがないだけなんじゃ・・・・・・?)

互いに攻撃を避けることなく殴りあう二機の巨大ロボット。その巨体にも関わらずその光景はどこか子供のケンカを思わせた。

さくら「ねえ、民荷君・・・・・・総理って、どういう人なの・・・・・・ですか?」

衛「え、垂木お前・・・・・・」

さくら「あんまり、話した事とか、無くて・・・・・・。」
唇を噛みしめる。10年以上一緒に育ったのに。

宙「・・・・・・お前にはどんな奴に見えた?」

さくら「・・・・・・そう、いつも皆にかこまれて、ただにこにこ笑ってた・・・・・・かな?」

宙「何だ、わかってんじゃん。そういう奴だよ、あいつは。」

さくら「え?それじゃまるで・・・・・・」

衛「ただのバカ、か?」

さくら「いえ、そんな・・・・・・」

衛「確かにあいつはバカだよ。だが、ただのバカじゃない。」

さくら「それが、彼を総理に推薦した理由ですか?」

衛「こんな時代じゃ、ああいう奴が織田信長なのかも、ってな。」

さくら「・・・・・・」




五分の殴り合いかに見えた二機の戦いだが、すぐに国機が優勢である事がわかってきた。互いの攻撃を受け続けていても、国機はまったく傷ついているように見えない。寺門の携帯が鳴った。

寺門「俺だ。」

平「平です。資料見つかりました。送ります。」

寺門「ん、ご苦労。早かったな。」

話しながら機材の詰まったワゴンに戻る。国機の資料が電送され始めていた。

平「いや、俺ぜんぜん知らなかったっスけど、すごい話題になったんスねぇ。結構簡単に集まりましたよ。」

寺門「そうか。お前そっちでもう少し探してみろ。じゃあな。」

平「うぃーす。」

電話を切った。送られてきた資料の中から写真を見つける。間違いない、今戦ってるヤツだ。名前は――

寺門「征界巨人。これだ。まったく印象に残らん名前だ。」

ワゴンを出、適当な実況をしている静に紙に書いて見せる。
「資料がきた。解説しろ」


リポーター『ただいま情報が入りました。国会議事堂から現れたロボットは日本国機、征界巨人である事がわかりました。ではここで征界巨人について説明したいと思います。
征界巨人は今から三十数年前、ときの内閣総理大臣英部総士郎氏の発案で建造された「国家を象徴するロボット」であり・・・・・・』

片原「や、もう思い出した方がいらっしゃいましたか。もう少しかかると踏んでおりましたが。総理、聞こえますか。
マスコミが征界巨人の正体を報道し始めました。総理自ら戦闘を行っているとわかれば支持率に影響します。お早めに決着をお付けください。」

尽『支持率とか、気にしてる場合じゃ・・・・・・このォーッ!』

片原「征界巨人の出力は支持率に制限されておりますから、このまま長引けば不利になるのです。・・・・・・ああ、それからとどめには何か必殺技的な名前を叫んでください。」

尽『・・・・・・何です?必殺技って?』

片原「スレ的に人気が出ないことにはこの世界自体が終わってしまいますからな。」

尽『?よくわかりませんが、それは重大ですね。・・・・・・征界巨人ッ、パァァァアアアンチッ!!・・・・・・こうですか?』

その一撃で相手ロボットは破壊され、倒れた。

片原「お見事です、総理。」





翌朝各紙のトップを飾ったのは当然、国機出動の話題だった。が、国機を「国機」と呼ぶ社と「謎の巨大ロボット」と呼ぶ社は半々。この違いがしばらくの間発行部数に大きな違いをもたらすのだろう。
内閣もマスコミや党内、国会への釈明に追われ、多忙を極めた一日の後、首相官邸閣議室。

尽「公康、何かわかったか?」

公康「まずパイロット。こっちは駄目だ。健忘剤を使ってしまっている。もはやどんな手段を使っても情報は引き出せん。次にロボットの方だが、一応一般の重機ロボットをベースにしているようだが、
複数の企業の機種をちゃんぽんにした上にいずれも殆ど原形をとどめていない。オリジナルで一機組み立てたようなものだ。」

尽「それなりの技術、それに規模のある組織ってことか。・・・・・・今回巨大ロボットを使用してテロが行われた事をどう考える?」

公康「まずこれまで巨大ロボットを使ったテロの前例がないのはなぜか?だな。通常テロとは『いかに安く行うか』が重要だからだ。高価な巨大ロボットを使うメリットはない。つまり・・・・・・」

尽「今回の犯人グループは単なるテロリストではない。何か・・・・・・恐らくは信条的な理由がある。」

財津原「信条とは何だ?」

尽「例えば、挑戦。」

公康「む?」

尽「前総理は巨大ロボット産業でこの国を建て直した。そのロボットが国家を脅かすなら、それは前総理の功績の否定。内閣への挑戦だ。そしてそれは同じく前総理の残したもの、僕らチルドレンへの挑戦でもある。」

公康「可能性はあるが、な。」

尽「何にしても確たる目的があるのは間違いない。なのに今回の一件、犯人側の意思表示が全くなかった。と、いう事は」

良「このテロは続く、ってことか。」

稔「そんなぁ~。」

公康「残念ながら、その可能性は高いな。」

さくら「・・・・・・」

尽「どうしたの、垂木さん?」

さくら「え?いえ、何でもありません。」

片原「総理、少し休憩いたしましょう。皆様寝ておられないようですし。」

尽「そうですね。では、10分休憩。解散。」

さくら(・・・・・・意外にまともな事を言うので驚いていた、なんて言えないわよね)


第二話 『前代未聞 永田町巨大ロボットテロ』 完



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最終更新:2009年11月24日 07:47