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 休憩中。各大臣がそれぞれの用事で席を立ち、閣議室に残ったのは二人。垂木さくらと外村良。

さくら「なんだか、久しぶりですね。こうして二人でいるのって。外務大臣?」

良「……昔話の時くらい、外村でいいんじゃないか?垂木。」

二人の間に何があったわけでもない。ただ学生時代、暗くなるまで居残って勉強を続けていた二人。

さくら「そう……外村君、ずっと私のライバルだった。」

良「よせやい。俺はただの一度もお前には勝てなかった。」

さくら「それは結果よ。私、あなたに追いつかれないようにって頑張っていたんだもの。……今思えば、何の意味もない努力だったけど。」

良「そう言うな。誰だって過去があって、今があるんだからな。」

さくら「その今が……」

良「満足してないんだ?」

さくら「そりゃあ……!私、わからないのよ。あの時、先生の遺言を聞いたあの時、どうして誰も反対しなかったのか。いくら先生の望みだからって、私達みんな、総理になるために育てられてきたのよ?それを……」

良「確かに先輩の爺様達は、先生の言葉に従っただけのようだがな。だが、俺達はそうじゃない。……あいつだからだ。」

さくら「民荷君を……?そういえば、不思議だった。どうして外村君、いつも民荷君と親しかったのか。民荷君って、その……。」

良「落ちこぼれ、だからか?俺が優等生で。……なんでだろうな。馬が合った、っていうより、俺があいつを、好きだったのかな?」

さくら「えっ、好きって……」

良「なっ、違っ、ちげーよ!変な意味じゃなくて――いい奴だからな、あいつ。」

そんな風に言える彼もまた、「いい奴」なのだろう。そしてそう思っても口に出すことの出来ない自分は……。自分と同類だと思っていた外村が急に遠く感じられた時、環境大臣が戻ってきた。

良「おっと、そろそろか。」



尽「では、今度は防衛相の方から……」

そのとき尽の腕時計が鳴った。バッジに代わって議員の証明となった、通信機を兼ねたものである。秘書官の一人新村からであった。

新村『総理、大変です!また出ました、巨大ロボット!』

尽「何ですって!?……衛、またテロだ。自衛隊は出せるか?」

衛「ハァ……。昨日の今日で何が変えられるもんかよ。無理だ。」

尽「やっぱりな……官房長官。」

財津原「ちょ、ちょっと待て!またやるつもりか?昨日の問題が騒がれてる最中だというのに!?」

良「しかし、自衛隊は出せない。そしてそこに手段が残っている事を、国民は既に知っている。」

諭子「やらなきゃやらないで、何で来ないんだ、って訳ね。」

法月「行っても行かなくても叩かれる……難儀なこと。」

尽「どっちでも同じなら!」

片原「まあ、そういうことですな。征界巨人出動、承認致しましょう。……ああもしもし、国機格納庫ですかな?」

内海「あぁ――そもそも昨日ぉ――っ!」

稔「それ言うの反則っスよ。」

片原「総理、征界巨人は2分ほどでこちらに到着します。」

尽「緊急閣議懇談会は中止です!皆さん当初の業務に戻ってください!」

尽を含む各大臣がぞろぞろと首相官邸を後にする。それに少し遅れてさくらが外に出ると、尽を乗せた征界巨人が現場に向け飛んでいくところだった。良は一人、それをじっと見つめていた。

さくら「外務大臣?」

良「……見えるな、ここから。」

さくら「見るんですか?」

良「そんな暇あったら仕事しろ、ってもんだよな。……だが。」


尽「着いた!さあ、いくぞ!」

敵巨大ロボットは昨日とほぼ同じ機体。だが左腕が巨大なドリルになっている点で大きく印象が変わっていた。

尽「穴を開けるロボットなのか?何に?」

お前ダァッ!といわんばかりにロボットは振りかぶり、ドリルの刃を征界巨人に突き立てた。
ギュィィッ!

尽「武器なのかよそれ……びっくりしたけど、効かないんだよ、征界巨人には!パァーンチ!」

その攻撃をロボットは上手くかわし、再びドリルを征界巨人に突きつけた。そのドリルを手づかみで受け止める征界巨人。

尽「これでどうだよ……!何っ?」

ガリッ、ガリガリッ!

片原「いけません、このままでは手に穴が開きますぞ。」


さくら「総理って、もっと大人しい人なんだと思っていました。意外と好戦的な方なんですね。」

良「そりゃ違うぜ。あいつは見た目どおりの奴さ。あいつが戦うのは多分、誰よりも戦いが嫌いだから。」

さくら「え?」

良「他の誰も、戦わなくていいようにさ。」

さくら「そんな事って……」

良「それが民荷尽なんだよ。あいつはすべての人を、愛してる。そして、だから愛される。誤解もされるけどな。」

さくら「……まるで私と正反対みたい。誰も愛さず、誰からも……」

良「違う。尽が愛してる。」

さくらはそこで初めて少し笑った。
「フフ、そうか……あら、見て!苦戦しているみたい。外村君、通信機を貸して!」

良「お、おう!」

片原『……支持率が、既に30を割っています。それで聖域が弱まっているのですよ。』

尽『なるほど、なんだか動きも鈍くなってきたような気がします!』

さくら「武器は?何か支持率低下を補えるような武器は無いんですか?」

片原『おや、垂木様。武器は……ございません。国機は兵器ではありませんので。』

良「……?本当に無いんですか?」

片原『はい。間違いなく。』

良「……そうですか。それじゃ、何か手を……」

尽『破れかぶれだァァァァァッ!!』

良「何っ?」

征界巨人がロボットに突進していく。

尽『征界巨人!おーふくビンタァァァッ!!』

バコーン!バコーン!バコーン!バコーン!……

尽『とどめだ!征界巨人!パァァァァンチッ!!』

ガゴォ―――ン!

唖然。

良「あ、勝った……。」




片原「支持率24.7パーセント。下がる一方ですな。」

尽「前回の戦い、野蛮すぎましたかね?」

良「気にするな。戦って下がる支持率なら、仕事で上げてやればいい。そうだろ?」

内海「簡単に言う……!」

さくら「簡単だろうが難しかろうが、やるしかないんですよ。ね、総理?」

尽「え?あ、うん。そういう事です。皆さんには迷惑をかけますが、よろしくお願いします!」
 (笑ってるとこ初めて見た……ドキドキ。)


第二話 『またも巨大ロボットテロ 征界巨人再び出動』 完



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最終更新:2009年11月24日 07:50