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 人々が宇宙へと進出し、大地を忘れ鉄の上の土を大地と思い込み、もう百年は経つ。
宇宙に散らばったプランター、人口重力の居住区はすでに銀河系を離れ、様々な宇宙の大地として人々を住まわせた。
 人は土地という言葉を、今では地球、つまり私たちの母星の肌のことである、そういう自覚、知識を持つ人間は数少ない。
言葉ではなく真に理解をしているのは、未だに地球に住む人を除けば、私のような、知識人と呼ばれる人々しかいない。
 知識人と呼ばれる人間は少ない。地球を苗床としていた時よりも。
人々は子を産み、子はすぐに兵隊となって、命を散らすか、生き残って時間を食いつぶすしか無くなる。
そしてたとえ生き残ったとしても、彼らはまた戦場へ出ていくだろう。
 地球を去ってからも、人間は思想の相違や人種の差への嫌悪感を捨てきれなかった。
地球での戦略図はそのまま宇宙地図に散りばめられ、宇宙は見えない赤いラインで覆われている。
蜘蛛の巣のように。
 兵役を終えた兵士が戦場へ戻ると先ほど記した。
それは今の戦いを止めぬ人間の姿を見る限り、魂そのものにこびりついた、一種のくせ、そう表現できないか。
 そうでなくとも、変わらずにある事実は一つ。人間は愚かである、と。

 私は女性だが、一般層のような生活を送ったことはない。
父が当時では相当力のある人物で、大変理解があった。
彼は後に私の知らないところでアリュンフスト戦線で死んだのだが、詳しくはわかっていない。
 そういうこともあって私の二十代は実に不思議なものだった。
今でこそ軍備要請項で女性の志願雇用は認められているが、当時は後のハルマスン要塞の攻略作戦で軍は騒がしかった。
それでも私は女性に対して排他的な軍に、ハルマスンの一カ月前、在籍していた。
しかし私は兵ではない、当時はだが。私は技術屋として軍に買われたのだ。


 ハルマスンの攻略の鍵を握っていたのは、今では有名だが、ステゥムアウトシステムだ。
すでに幾つかの戦場でステゥムアウトは使われていたが、このハルマスンに使われたのはまだ実用化がされていなかった偵察型だった。
私はハルマスンの一カ月、足りない技術屋の召集に自ら飛び込んだのだ。
元々、男性社会に対して強い反発があったので、これはいい機会だと思ったのだ。
女の自分がどこまでできるのか、それを確かめたかったのだ。
 結果的には、私のこの行動は成功だといえる。
恥ずかしながら初の女性戦士として後にマスコミに取り上げられ、今では女性の将来像はまさに無数に増えた。
しかし、戦士としては私は成功だろうか。
 女であり技術屋である私が、戦士であることに今ひどく固執している。
それは、ある一人の兵士が、強烈なビジョンとして脳裏にこびり付いているからだ。
それも、機械を作るような精密な脳ではなく、獣のような彼らと同じ動物的な本能の中に。
 私はそれを、そのビジョンをこれを読む人々の脳裏に、断片だけでも写し取りたい。
それを感じることで、読んだ方がなにを感じるのかは、それぞれの動物的本能にお任せする。

アリッサ=シドノトフ
『戦士の真実』より抜粋


0.アレフ=ガンドロジー

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最終更新:2009年12月05日 15:53