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 「あくまで可能性にすぎない話ではあります…。」 
 報告者はクーガの解答に補足する。
 「うーん、というか十中八九確定かな、ディスプレイを見てみて…。」
 ミナはそう言って、ディスプレイの方を指した。
 「これは明後日の妖魔達の各地で分布を表したものだったよね?」
 ミナの問いを報告者は肯定した。
 そのままミナは続ける。
 「となると北東部の大体…そう、大体この辺りかな、ここに一つの集まりができてるよね?『名無し』があるのは北部。まあ、皆、知っての通り妖魔達は馬鹿じゃない、そもそも妖魔達がクロロスペッツゥナから出てくる理由を作ったのはあたし達なんだし、あたし達の戦力を過小か過大かは知らないけれど、最低でも、自分達と対等に戦える程度には強いと評価して考えられている筈…だから、あたし達に煮え湯を飲まされてきたんで確実にあたし達を仕留めようと戦力を結集させている…数にして20前半の個体数といったところじゃないかな?」
 会議室の人間全員が押し黙る。 
 誰もがミナの発言に異論は無かった。
 だが、だからといってどうするのか?各人の思考はそこへ行く。
 そして、その沈黙を最初に破ったのはクーガだった。
 「ならば、いますぐにでも『名無し』に向かわないといけないんじゃないか?」
 クーガは右腕を左手で強く握りしめていた。
 すぐにでもこの会議室を出て、あの集落に向かいたい。
 あの娘との約束を守らなければならない。
 だが、鋼機も無いお前に何ができる?
 今このままあの集落へ行ったところで妖魔に踏み潰されるがオチなのは明白だ。
 だからと言って、見捨てる事など、諦める事など出来るものか・・・。
 そんな思いが渦巻く自身に痛みを与える事で感情が暴走するのを必死に押さえつけているのだ。
 そう、まだだ、今はまだ感情に身を任せる時じゃあない。
 クーガの後ろから席を立った音が鳴る。
 席を立ったのは一人の男だった。
 室内の人間の視線がその男に集まる。
 男はコホンと咳払いをしてから発言を始めた。
 「今回の件に関しては見逃すという方向にするのを提案します、そもそも『名無し』は我が王国に保護を約束されているモノではありません。つまりは、これを守る義務は私たちには無いのです。そもそも私たちの目的は妖魔の陽動です。つまりは彼らがいい的になってくれるのであれば我々の任務遂行において良い方向に進むのは間違いないでしょう。彼らは検討違いの場所に攻め込もうとしているのですから、わざわざ我らが救出に向かって戦力を削ぐ必要がどこにありますか?むしろ、その後の事を我々は考えるべきだ。やる必要の無いことをやろうとしている、クーガ・ラグナグ名誉騎士、あなたの提案はまったくを持ってナンセンスだ。」
 その男の発言にクーガの中の何かが暴れだしそうになる。 
 クーガはそれを必死に理性という名の鎖で縛り付けた。
 彼の発言はこの国では正しいのだ。
 彼はこの国で振りかざされている正論を主張している。
 だが、クーガはあの集落を見捨てようなどという思考は1ミクロンも無い。
 「まあ、このままならばお前の提案は受け入れられないな。」
 セイムはそう静かに言った。
 当然だろうとクーガは思う。
 ならば、考えろ。
 何かこの会議室の人間達を説得するにたるモノを!
 この時、クーガの脳裏に思い浮かんだのは一つだった。 


 ―正論ってのはな―


 クーガの中で一人の男が笑って言っている。 
 それにクーガは無性に腹が立った。
 なんで、なんでお前が俺の中にいる!
 なんで思い出の中から消えてくれない。
 お前がいなければ…お前さえいなければ…。
 「おい、クーガ、おい。」
 セイムがクーガを呼びかける。
 その言葉でクーガははっと我に返った。
 「クーガ・ラグナグ、何か反論でも?」 
 クーガは自分が席を立っている事に気づく、いつのまにか視線は自分に集まっていた。
 あの男といた時期を思い出していた為か、周りが見えなくなっていたようだ…。
 息を吸う。
 ここが正念場だ。
 自分1人ではあの集落を救う事は出来ない。
 そうだ、シャドウミラージュ、彼らを動かさなければならない
 さあ、はじめよう。
 「では、いくつか気になった点があるので、たしかにその『名無し』は国の保護対象外ではあります、ですが、ここにいる会議室の皆さんがご存知の通り、私は先日、名誉騎士の特別権限により数名の鋼騎士を出動とその『名無し』の保護を要請しました、これはつまりは我が国の貴重な戦力をそこに送り込んだという事になります。これを見捨てるという事は国の重要な資産を失うという事では無いでしょうか?これを見捨てる事は出来ないのではないでしょうか?」
 クーガは私などという自分らしくも無い一人称を使っているのを柄じゃない事やってるなと心の中で軽く自嘲した。
 一人の男が手をあげる。
 さきほど、集落を見捨てろと言った男だ。
 「何かご意見があるのならば、どうぞ、えーと―――」
 男は席から立ち上がって言った。
 「レイズだ、担当は情報の統括とそれに類する雑務全般をやっている。」
 レイズはそう静かに自己紹介した。
 「失礼、で、何か?」
 クーガは冷たく言い放つ。
 セイムやミナは中立の体勢をとっているようだ。
 カタリナもそれに同じく、ホークアイに関しては何を考えているのか理解は出来ない…。
 ただ今、見捨てようといっている一派はこのレイズという男を中心としているのは明白だった。
 「クーガ・ラグナグ名誉騎士、あなたも面白い事を言うものだ、あなたが権限で勝手に送り込んだ騎士達を救え?何を馬鹿なことを言っている、それはあなたの責任だ。」
 冷嘲しつつ名誉騎士と呼ぶ時の声に棘がある。
 そもそも名誉騎士というのは上級騎士に匹敵する程の位であるにも関わらず、正式な手順で得られる位ではない。
 無論、なんらかの武勲や名誉を立てた際に賞賛と賛美の証として贈られる事もある位なのだが、クーガの場合はこれを悪名高き王名と共に授かっている。
 つまりはこの名誉騎士としての称号も王名と同じ疑いをかけられている。
 ゆえにクーガ・ラグナグへの世間一般での風当たりはあまりよくない。
 「私が言ってるのは責任の所在の話ではない、救える可能性があるのにそれを見捨てるというのか?国の重要な戦力なんだろう!」
 クーガは臆せず言った。
 レイズは苦笑して、
 「見捨てる他ないだろう?あなたの命でどのような鋼騎士が送られたにせよ、我々は我々の目的を優先すべきだ、心痛いが小事より大事、こんな事もわからないのか?」
 とクーガを侮蔑した。
 クーガは己を必死に抑える。
 ああ、わかっている。
 わかっているんだ。
 この男の言っていることは、正しい。
 だから――そう、正論に勝つには正義を示す。
 「なるほど、ならば、もし、私がそれよりも得策を提案をした場合はどうします?」
 クーガはにレイズ静かに問う。
 「提案?」
 レイズはふん、と笑った。
 「そうです、提案です、良い案を出してみせましょう。」
 「はは、何を馬鹿なことを考える余地もなくこれが最善だろう?一体何をどうしてどうすれば、これより最善がありえる!」
 レイズが大声をあげる。
 「レイズ、少し黙れ。」
 ホークアイはレイズに静かにそう告げる。
 レイズは何か言い返そうとしたが、ホークアイの鋭い眼光に睨み付けられ萎縮し押し黙った。
 そうしてホークアイは顎の白髭をいじりながら言った。
 「さて、クーガ・ラグナグ名誉騎士、君は言ったな?ここにいるレイズより良い案を出すと?」
 さきほどとは違う安穏とした雰囲気でホークアイは問う。
 「ええ、そうです、その通りです。」
 「ふむ、なるほど、では君はその発言にどれほどの覚悟があるのかね?」
 「覚悟?」
 ホークアイは静かに笑う。
 「なぁに、戯れだよ、ここにいる人間の全部とはいわないが過半数は納得させるような案を出さなければ君の案は通る事は無い。悲しいかな、レイズの言っている事はいわゆる正論だ。お前はこれを覆すという…お前の発言通りならば、その顔を見ている限りそれなりの自信もあるのだろう。だがな、我々が行っているのは、ここにいる人間全員の命の使い方の話だ。つまりは君は我々にこれから命を賭してそれを行えと発案するわけだ。だから、我輩は君の案を聞く前に聞いておきたいのだよ、どれほどの覚悟を持ってそれをしようとするのかを…我輩はお前の事をよく知らんからな、お前がどういう人間なのかも知っておきたいというわけだ。」
 「それが戯れというわけですか…。」
 この老人は試しているのだ。
 自分がどのような人間であるかと――
 ならば、解答はこうするべきだろう。
 「そうですね、では俺はこの発言に俺という存在の22年の人生の意義を賭けます。」
 死を賭すという考えもあったが、ここで求められているのはそんな短絡的なものではないのだろう。
 ホークアイはクーガのその解答に対して特別な反応を見せず、
 「いいだろう。」
 と静かに応えた。
 視線がクーガに集まる。
 会議場の人間全員がクーガが何をどう提案するのか待っているのだ。
 さあ、本番だ。
 示すのは正義。
 ならばこういう所から始めよう。
 「さて、私が提案する案ですが、それ自体は簡単な案です、それはつまり・・・・・・『名無し』を見捨てるという事です。」 





 会議室がどよめく。
 それもその筈だろうレイズの『名無し』を見捨てるという事に対して、それを上回る最善の案を出すといっていた人間が言い出したのが、その『名無し』を見捨てるというレイズ同じ事を言い出したのだ。
 それは我が身可愛さにレイズと同じ意見にしたと取られかねないようなものだ。
 「おいおい、クーガ、それは一体どういう意味だ?」
 最初にクーガにそう尋ねたのはセイムだった。
 「どうもこうもないさ、セイム。確かに今からあの集落を守るというのは無理な話だろう。頑張って考えてはみたがやっぱり現状からするとあの集落は見捨てるほか無いさ。」
 クーガは淡々と言う。
 それに対してレイズは声をあげた。
 「貴様、ふざけているのか?」
 「別にふざけてなんかいませんよ。」
 「なんだ…と…。」
 何かを言おうとするレイズを無視してクーガは言う。
 「ところでカタリナさん、この街、イアナーラは現状だとどれぐらいの人間が収容できますか?」
 クーガのその発言にふーんとカタリナが頷いた後、答えた。
 「だいたい、壊れた施設や使い物になってない家屋も多いが元々はここは貿易都市だった街だったからな、ある程度、修復してやれば軽々と200は収容できる街として再生できるだろうな。何より発電施設が生きているのは大きい。無論、意欲的な改修等は必要だろうが―――」
 「――――くははははは。」
 レイズが笑い声をあげた。
 「ま、まさかな、そんなくだらない事を提案しようとしているとは、貴様は馬鹿か?」
 「馬鹿なのは否定しないが、俺が何をしようとしているのかあんたにはわかっているのか?」
 その発言をしたあとクーガはまずったな…と内心思った。
 せっかく取り繕ってきた言動をつい崩してしまったからだ。
 「何って?明白じゃないか、貴様は『名無し』の人間をこのイアナーラに移住させようとしているんだろう?なるほど、確かにそうすれば『名無し』は見捨てても、そこにいる人間を生きながらえさせる事は出来るかもしれない。だが、それは妖魔の迫る街に我々が赴くという事だ、妖魔との戦闘の可能性もあるだろう。確かにお前の言っていることをやれば『名無し』の人間を救えるかもしれん、だが、結局のところそれが我々が行っている作戦になんの影響がある。無駄な戦力の消費では無いのか?論外だ。」
 レイズは嘲笑した。
 それに対しクーガはため息を付く。
 「なんだ、その態度は!」
 レイズの前にクーガは指でVサインを作った。
 「2割正解といったところです、その推論じゃあ駄目ですよ、確かについでとしてイアナーラに『名無し』の人間を移住させますが、大事なのはそこじゃあない。」
 「何…。」
 レイズの顔が引きつる。
 「ちょっと、整理しておきますか、今、我々シャドウミラージュに課せられているのはクロロスペッツゥナにいる妖魔に対し我々が各地で攻撃を仕掛けることでクロロスペッツゥナから妖魔達をおびきだす事です。これに関しては報告にあったとおり概ね成功しているといえます。つまりは妖魔達は今我々がどこにいるか、躍起になって探していたというわけです。」
 ホークアイはクーガが何を言おうとしているか納得したように頷いた。
 クーガは続ける。
 「そして先日、私がその地域一帯を統括していた妖魔グラスを殺した事で、その近辺にあり、妖魔グラスの支配下にあった『名無し』に我々がいるのではないかという疑いを持ったという事は戦力を集めだしているという報告からしても明白なのでしょう。となると、一つ不思議な事があります。」
 「不思議なこと?」
 ミナが不思議気にクーガに聞いてきた。
 「そうさ、ミナ。分布表を見てもらえばわかると思うが確かに妖魔は『名無し』への襲撃に向けて集まりだしている、だが多くみても30程度だ。この分布を見るに少なくともこのイアナーラ地帯全体には200以上の妖魔が我々を探しにクロロスペッツゥナから出てきている。そもそも妖魔達がこんなに森から出てきているのは俺たちを殺そうとしている為だ、ならば何故森から出てきた奴らが総勢で確実に殺しに来ないのか…これが何を意味するかわかりますよね?」
 ミナは少し考えた風な仕草を取った後、ちょっと自身なさげに言った。
 「つまりはー、妖魔は一つ『名無し』にあたし達『シャドウ・ミラージュ』がいると当たりを付けた、けれどそれをまだ疑っている段階だって事?」
 「ああ、そういう事になる。」
 そのクーガとミナのやりとりを不満そうにな顔をして見ながら、
 「だから何が言いたいんだ?」
 とレイズは棘のあるような声で言った。 
 それに対してクーガはニヤリと笑い、言い放つ。
 「何を言いたいか……ですか、それは凄くシンプルなもので先ほどあなたも言っていたじゃないですか、『名無し』は囮として利用価値があると、だから自分はそれを最大限有効活用しようと提案しているんですよ。」
 「最大限?」
 「ええ、そうです、確かに今、妖魔達は我々『シャドウミラージュ』が『名無し』にいる可能性が大きいと踏んでいます。ですが、さきほど述べたようにまだ、それを彼らは疑っている状態だ、とするならばまだ、この『名無し』という餌に妖魔達はまだ完全に喰いついていない。その為、『名無し』は囮としては不完全、ならばどうすればこの囮を完全なものにすることが出来るのか?簡単な事です、奴らに疑いではなく確信を与えてやればいいんですよ。」
 「なるほどね。」
 そう発言したのはセイムだった。
 「つまり、こう言いたいわけだ、現状では『名無し』を囮として扱うには役不足だと?そして、お前は持っている、それを完全に囮とさせるような策を・・・。」
 クーガはそれに頷く。
 「ええ、その通りです。」
 語尾が強まる、そう答える声には強い決意のようなものがあった。
 「ではそれは何かな?」
 ホークアイは無表情に聞く、それに対してクーガは笑って言った。
 「別に特別難しい話ではありません、非常にシンプルな話です。これからさっさとその『名無し』に向けて集結している妖魔20数体を我々シャドウミラージュが総力をあげて叩き潰せばいいんです。」 





 「おいおい、お前は今、何を言っているのかわかっているのか?」
 セイムがクーガにそう聞いた。
 会議室にいる人間の誰もがクーガの言ったことが何を意味するのか理解している。
 だが、それは常識的な範疇で考えるならば狂気の沙汰だ。
 「ああ、わかっているさ、セイム。でも出来るならばこれが最善だろう?な妖魔20数体を倒してしまえば奴らはあの集落、つまりは『名無し』に俺たちの本拠地があると確信を持って攻めてくる。20以上の同胞がやられたんだ、警戒してさらに戦力を増強してくるだろう・・・クロロスペッツゥナからさらに多くの妖魔をおびき出すことに成功するかもしれない、これは・・・だ、つまりシャドウミラージュの目的として最も良い結果を得られるんじゃないか?」
 基本的な見解でいえば鋼機1機につき、妖魔1体を倒せる程度の能力、つまりは1:1の戦力であるとされている。
 名うての鋼騎士が乗ったところで1機で3体倒すことが出来れば奇跡というレベルだろう。
 現在、このイアナーラにいるシャドウミラージュのメンバーの中で鋼機を扱えるのはクーガ、ミナ、セイム、そしてホークアイの四人である。
 この事はクーガも前もって渡されていた資料によって承知している。
 そしてクーガの持つ鋼機、D―42 スラッシュゲイルは三日前の戦いで中破しており、現在急ピッチで修復作業に入っている。
 それはこの戦いにクーガは参加できないという事を意味していることに他ならない。
 つまりはクーガは20以上の妖魔を3人で倒せという無茶を言っているのだ。
 「確かにただの鋼機ならば、その戦況を勝利するという事は不可能だろう・・・だが、しかし、このシャドウミラージュに配属されている鋼騎士の鋼機は全てDなんだろう?」
 そうカタリナに向けてクーガは言った。
 そう問われたカタリナは吸っていたタバコを灰皿に置き、新しいタバコのケースの開封を始めた。
 クーガは、まだ吸うのかよ!と突っ込みたくなったが、その思いをぐっと堪えることにした。
 カタリナはそのままタバコに火をつけて一息吸ってから、答えた。
 「その通りだ、というのがいいのかな。シャドウミラージュはD型鋼機ばかりのまあ、王立鋼騎士団の団長どもからすれば気が狂わんばかりの贅沢部隊だからな、現在、五機のD型がこの部隊に存在している。君の『D-42 スラッシュゲイル』、ミナの『D-40 グレリーナ』、セイムの『D-34C シュナイザー』、グロウズ副部隊長の『D-25C2 グレイスター』、そしてグレイル・レイスター部隊長の『D-30C アシュラ』以上の五機がこの部隊には存在している。だが、この部隊長は現在本国に戻っているため『アシュラ』は使えない。君の機体の状況に関しても急ピッチでやってはいるがあと4日はかかるだろう。つまりは3機しか、今、シャドウミラージュには戦力なるD型はいないという事だ。」
 そのカタリナの発言に付け加えるようにホークアイが言った。
 「もしもの為にこちらに最低でも一機は防衛用に必要だ。だから、正確には使えるのは二機だ。」
 クーガはそれに頷く。
 「十分でしょう、D型鋼機は通常の鋼機8機分の能力があると言われています。襲ってくる妖魔は約20だというのならば、ちょっと頑張ってもらうだけで十二分にこれをこなす事が出来る筈です、それに8機分の戦力なんて例え話に過ぎないでしょう?Dを預けられてこんな所にいるような変人共がそれぐ らいの戦力差を苦にするのですか?」
 挑発するようにクーガは言った。
 クーガの発言を受けて会議室の人間が騒ぎ始めた。
 「かかか、こんな所か、いってくれるじゃないか、ガキ・・・。」
 「いやいや、むしろここってそんな所じゃない?」
 「まあ、変人ばっかってのは間違ってないなー、俺様は例外だが他の奴はみ~~んな変人だし…。」
 「ちょっち待ち、セイム、今あたしを変人のカテゴリに入れたでしょ、ふざけんな!いちいち自分に様を付けて喋るようなお馬鹿さんに変人呼ばわりされたら私の家族が皆、泣くわ。」
 「私は所詮、変人だよな、うん、そうだ、そうだ、所詮変人だ・・・・・・変人だ・・・変人なんだ・・・。」
 「あーー、すまんが、タバコ切らしたんで部屋に取りにいっていいかー。」
 こうなること自体はクーガも予想していなくは無かったのだが…「そんな不可能な事を言うな!」苦言や罵声で五月蝿くなると思っていた為にこの展開はいささか予想外だった。
 というかこいつらシリアス出来ない性質なんじゃないか・・・というか本当に変人軍団なのかもしれない・・・。
 そんな考えが頭をよぎって何故かクーガは酷くいたたまれない気持ちになった。
 だが、これならば思っていたよりもずっと簡単にいけるかもしれない。
 「え~と、それで、ちょっと皆に問いたいんだけれど、20の妖魔を二機のD型鋼機でやれますよね?」
 返ってきた解答はこうだった。
 「余裕だ。」





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最終更新:2009年12月09日 08:14