第1話「もっとも勇敢な宇宙探偵!」
「少年、悩みがあるなら私を雇ってみないか?」
下校途中の僕、小林翔太に誰かが声を掛けた。すぐ横に止まっているクラッシックカーに乗っている人かと思ったけど、誰も
乗っていない。
「誰?」
「君の目の前にいる、私だ。」
「だって誰もいないじゃ……?」
声がする時だけ車のヘッドライトが点滅する。誰も乗っていないのに!
「この星での協力者が欲しいのだ。代わりに君の悩みを解決してみせるから。」
「それってもしかして、宇宙人……?」
「そういう事になるかな。この体はこの星で拾ったものだがね。」
「道理で……あのね、ナンバープレート付けないと道は走れないんだよ。」
「何だそれは?」
「ほら、走ってる車の前後に付いてる数字の書いた板。」
「ふ~む、それは下調べが足りなかったな。では。」
するとバンパーの下がうにょーんと変形し、ナンバープレートができた。
「これでいいんだな?」
「……偽造じゃん。」
「なるほど、キャンプの写真代が無くなって、君が盗んだと思われているわけだ。」
「言ってる事、わかるの?あと、疑われてるのは僕じゃないよ。花咲さん。」
「探偵として、現地の風習を頭に入れてくるくらいは当然の事だ。ところで、その花咲さんとは?君の恋人か?」
「こここ、恋人って!僕まだ小学生だよ!花咲さんは、その……友達だよ。で、え、探偵、なの?」
「そう、もっとも勇敢な宇宙探偵、ディプロスだ。」
「……うさんくさー。」
「とにかく、現場へ行くぞ!」
「え、今から!?」
「当たり前だ。家に帰って事件が解決できるか?」
ドライバーのいない車は僕を乗せて、小学校へと走り出した。
学校に着いた。
「写真代は日直が集めて先生に持っていく物だったんだ。だけどそいつが急にもよおしちゃって、お金を置きっぱなしに……。日直が
戻ったらお金が無くなっていて、そこにいたのは花咲さんだけだった。それで彼女が疑われたんだ。まったく濡れ衣もいい所だよ。悪い
のは日直の大泉じゃないか!」
「そんなに怒るという事は、花咲さんは君の大切な友達なんだな。」
「え……まあ、大切といえない事も、ない……かな?」
「まあ、それはいい。とりあえず君の教室に行って、目立つ所から探してみろ。」
「なんで?教室なんてもう探されてるよ?」
「フフ、まあいいから行ってみろ。……そうだ。」
サイドボードが開いて腕時計が飛び出してきた。
「これを着けていくのだ。私の目、耳、口とつながっている。」
教室に行ってみると、教卓の上に封筒があった。
「……写真代だ。なんで?」
「簡単な事だ。お金を取った誰かが、恐くなってこっそり戻した。」
「誰かって、誰?」
「そんな事はどうでもよかろう。そのお金を先生に届ければ、事件は解決だ。この際、うんと探して意外な所から見つけたことに
しておくといい。日直の人の置き忘れ。そして君は名探偵だ。」
「どうでもよくないと思うけど……。」
職員室にお金を届けて事件は解決した。先生には誉められたけど……なんだかすっきりしないのは、犯人がわからないからだ。僕は
ディプロスに乗って見返りについて話していた。
「さて、約束は果たした。今度は私に協力してもらうぞ。」
「……できることならね。」
「エルキーダタとは何か、わかるか?」
「は?ううん、聞いた事ない。」
「そうか。やはりな……。」
「どういうこと?」
「私がこの星にきたのは、宇宙怪盗から犯行予告が来たからだ。地球からエルキーダタを頂く、とな。」
「宇宙怪盗なんているんだ……でも、なんだかわからないんじゃ……。」
「そうなのだ。アイツはいつも、目当ての品に 勝 手 に 名 前 を つ け る から……!」
「それじゃ予告になってない。」
「それどころか、予告状を出してから獲物を決めたとしか思えないような時も……!」
「ひどいな……。」
「今度こそ奴を捕らえたい。そのために張り込みと、情報収集をしたいのだ。」
「犯行予告は、いつ?」
「今日から1年後。」
「まだ、余裕はあるんだ。」
「うむ……!?危ない!」
ディプロスは突然、急カーブを切った。シートベルトしてて良かった!
「何すんだよ!」
「ガンフリート……宇宙怪盗の偵察ロボだ。」
目を前に向けると、いかにも悪そうな巨大ロボットが二機、大通りを歩いてる!
「少年、降りろ。私はあれを倒す!」
「倒すって、こんなボロ車で……。」
「チェ―――――ンジッ!ディプロォ――――スッ!」
ディプロスが、敵と同じくらいの人型ロボットになった!?
「もっとも勇敢な宇宙探偵、ディプロス!」
「ツォア―――ッ!」
ディプロスは走っていって一気に跳び蹴りをかけた!そのまま転がる敵にのしかかって寝技に持ち込む!
「マシン剛術・逆・関・節・固めぇ――っ!」
メキメキメキ、ボン。敵はバラバラになった!
「あっ、もう一機が逃げるよ!」
「逃がさん!フィ―――ルドッ、マグナァム!」
ディプロスは懐から拳銃を取り出すと、続けて二発撃った。その弾は見事命中し、敵のロボットは爆発した……。
「ディプロス、強いんだね。」
「鍛えているからな。――しかし、偵察ロボットが出たということは、ガンフリートの狙いはこの近辺にあるのかもしれないな。」
「エルキータダ、だっけ。」
「ああ。そういうわけで私はこの町に事務所を構えたいのだが、手伝ってもらえるだろうか?」
……それは、無理じゃないかな。(つづく)
次回予告
「車のかっこした宇宙人と小学生で探偵事務所なんて、できるわけないよぉ!……次回、勇者探偵ディプロテクター
『ディプロス探偵事務所開局!』」
「次回は推理合体だ!」
最終更新:2009年12月11日 08:56