第2話「ディプロス探偵事務所開局!」
次の朝、先生は写真代が見つかったことだけ話し、事件は打ち切りとなった。いや、僕が日直のうっかりという事に
したんだから事件も何もないんだ。そういえば日直だった大泉がちょっと気の毒かも。本当は誰かが盗んだんだもんね。
「あの、小林君。」
「え、ああ、花咲さん。何?」
「写真代、小林君が見つけてくれたって……どこにあったの?」
「うん……男子トイレの、蛇口の上の、明かりの所。まったく大泉の奴ったら、そんな所に置き忘れるんだから困っちゃうよね。」
「……ありがとね。見つけてくれて。私、助かっちゃった。」
「ううん、僕は偶然見つけただけだから。」
「そう……。」
花咲さんは何か言いたそうにも見えたけど、他の女子の所に行ってしまった。
「なるほど、あれが花咲さんか。美しい少女だ。」
「わっ!いきなりしゃべるなよディプロス。誰かに聞かれたらどうするのさ?」
「だから小声でしゃべっている。」
「おい翔太!」
「わわっ!やあ、井上か、何?」
「何慌ててんだお前?それよりお前聞いたか、昨日のロボット騒ぎ?」
「ああ、あれね、うん、僕その場にいたから。」
「何!?すっげえ、いいなあ!」
「そんな……待ってれば、また出るんじゃない?」
「そうか。そうだな、お前いいこと言うよ!」
井上はまた別の友達の所に行って同じ話を始めた。
「井上というのは、翔太の友達か?」
「うん。でも、それほど仲がいいわけじゃ……あいつ、誰とでも話すから。」
「それは、いいことだ。探偵の素質がある。」
「そうだね。僕もそうなれたら……あっ、一時間目始まる。ディプロス、黙っててね。」
「わかっている。学業は大切なものだからな。」
いきなりだけど、放課後。
「でもさ、探偵事務所って、そんな簡単に開けるものなの?」
「この星のこの国には、探偵に資格はいらないのだ。そこまでは調べてきたのだが、さて、どうやって事務所を借りるか。」
「お金も無いし……依頼を受けるのだって、小学生としゃべる車じゃあね。」
「小学生でも、二人もいれば何とか……そうだ。」
「……なんか、やな予感がするんだけど。」
「ねえ、花咲さん。」
「……何?」
「ちょっと、話が……一緒に帰らない?」
「そう……仕方ないね。」
仕方ない?仕方ないって何だ?ディプロスの奴、彼女を誘えだなんて無茶なんだよ!「僕の頼みなら必ず聞く
から」なんて言ってさ!ああ、僕の顔、真っ赤になってたろうな。
「それで?話って……。」
「翔太、ありがとう。後は私に任せろ。」
「?今の声、どこから?」
僕は腕時計を見せた。
「私は宇宙探偵ディプロス。本体は離れた所にあるが、この時計を通じて君に話している。」
「ええと、宇宙探偵さんは私に小林君を手伝えって、言ってるのよね?……でも、何で私なの?私と小林君て、何も……。」
「君は翔太の大切な友達だろう?それに残念ながら翔太には他に特別親しい友人がいないようなので。」
「えっ?」
「ワワワッ、ごめん、何かディプロス勘違いしてるみたいで……もういいよ、ごめんね。」
「少なくとも、君は翔太の頼みを断れないはずだ。違うか?」
「……ひどいわ、小林君。確かに悪かったのは私だけど、こんな風に……!」
花咲さんは急に涙ぐんで、走っていってしまった。
「え?ちょっと、花咲さん!?ディプロス、これどういうことだよ?」
「……悪いが、その話はあとだ。また何か出てきた!」
「何かって……。」
ズズーン。ズズーン。ドカーン!
ブロンズ像みたいな巨大ロボットが暴れている!
「あれも、宇宙怪盗のロボットなの!?」
「いや、あんなものは見た事がない。奴かもしれんが、違うのかも……とにかく、放ってはおけん!」
ディプロスは変形し、走っていって跳び蹴りをかけた。でも……効かない!?遠くからだったからわからなかった
けどあのブロンズ、前の偵察ロボより断然大きいんだ!
「ならば、フィ―――ルドッ、マグナァム!」
懐から銃を取り出して撃つ!でも、これも……。
「馬鹿な……ぐうわっ!」
「ディプロス!」
「フッ、慌てるな、翔太。優れた探偵は、いろいろと用意をしているものだ……ラァ―――ンドッ、テクタ―――ッ!」
「な、何?」
ディプロスの叫びに答えるように、空から大きなメカが降ってきた!?
「私がこの星まで乗ってきた体、ランドテクターだ。この星では大きすぎるので宇宙に置いてきたのだがね。とう!」
みるみる人型に変形していくランドテクターに、車型に戻ったディプロスが飛び込んで……!
「合ッッ体!勇者探偵、ディィプロッ、テクタァ――――ッ!!」
ドォ――ンッ!!
「ディプロテクター?」
鋭い眼差し、シックな背広を着たような姿。そして何より、大きい!ディプロスの数倍の大きさだ。
ブロンズの巨大ロボが目から発射する光線をヒラリヒラリとかわしながら、脚からビームを撃つ!
「フィ――――ルドッ、ランチャ―――ッ!!」
ボガン、ボガァン!
「大・発・剣!」
ディプロテクターは剣を抜き、そして、跳んだ!
「イッパァァァァツ、カイ、トォォォォォッッ!!」
ドッッカァ――――ン!!
一発解答?いや、快刀だ!ブロンズのロボットは、真っ二つ!
「おのれ謎のロボットめ!ワシのブロンズサタンを壊しよってからに!」
今回のロボット事件の犯人、日曜発明家の旗面博士である。
「旗面さん、郵便でーす。」
「ん、ああどうもご苦労さん。誰じゃワシに手紙など……宇宙怪盗ガンフリート?アメリカ人に知り合いなどおらんがの?」
手紙にはこうあった。「貴方の技術、お借りしたい。無論それなりの謝礼の用意あり。」
「謝礼じゃと!そりゃ嬉しいわい……しかしこう一方的に言われてものう……誰なんじゃ?」
その時、旗面邸の前には大きなトラックが止まっていた。何を隠そう、このトラックこそ宇宙怪盗の変装であった。
次の日、花咲さんが僕の所に来て言った。
「あの、昨日は、ごめんね。私、探偵さんの仕事、手伝うから……。うち、アパートの大家やってるから、それで
よければ事務所も何とかなると思う。」
「は……あ、そう。そりゃどうも、ありがとう?」
それだけ言うと花咲さんは行ってしまった。
「……どうなってんの?」
「わからないならわからなくていい。それより、すまん翔太。どうやら私は君たちの関係を誤解していたようだ。」
「……やっと、気付いたの。でも、いいんじゃない?結果オーライだよ。」
「うむ。そう言うと思ったから今素直に非を認めたのだ。」
……コイツ。
次回予告
「ディプロス探偵事務所開局だね!」
「しかし、客がこないな。よし、こんな時はパトロールだ。次回勇者探偵ディプロテクター『最高速の宝』!」
「もっとも速い宇宙探偵が登場するぞ!」
「えっ、きみ誰?」
最終更新:2009年12月11日 08:55