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その日、見る者が見れば微かに感じるほどの“揺れ”が起こった。 
人々の心に眠るそれが、心臓のように一斉に鼓動を始めた。 

(――王が眠る、その場所がついにわかった) 

(――傷が疼くぞ! 赤き者に切り捨てられた同胞達の痛みだ!) 

(――我らは成さねばならん、心の『大義』を!!) 


影が跳んだ。 
曖昧な表現だが、そう記すしかないのだ。 


『第二話 拳の限界!? 決めろFA限界拳!!』



謎の女性に連れられて、風華達は海士都邸地下へとやって来た。 
そこは――地下基地だ。 

風華「……家の地下に、こんなものが…」 

麗「………」 

自らの父親の秘密に立ち会っている、そのある種の恐怖に焦りを感じる風華。 
それは麗も同じであった。 

???「さあ、ついたわよ」 

エレベーターが開く、と 

???「風華ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 

風華「うおっ、オヤジ――ぎゃあああああっ!!!」 

押し倒される風華! 
そう、彼こそ風華の嫌いなオヤジ、『海士都甘輔』である! 

甘輔「おおおお父さんは心配したぞぉぉ!! ぶ、無事か、風華ぁぁ!!」 

風華「う、うざってえんだよクソオヤジがぁぁぁぁぁ!! でぇぇぇぇぇぇあ!!!」 

甘輔「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」 

娘に関節技を決められ悶え――否、喜ぶ甘輔。 

甘輔「あぁ……これも娘の愛か……!」 

風華「死んでろ」 

???「……こほん、それじゃ最初に紹介するわ。私は赤井しのぶ、この基地の職員よ」 

麗「……赤井、しのぶ」 


風華「漢字ではどう書くんですか?」 

しのぶ「う、そ、それは……」 

???「漢字では『仁』と書く、『ジン』と間違えないように。私がこの基地を預かる特鳴京――がふっ!?」 

しのぶ「京さん……私が男みたいな名前なの気にしてるって……言ったでしょうがぁぁぁ!!」 


風華「うわっ……」 

しのぶの拳の威力を知っているだけあって、風華は笑うに笑えない。 
壁に叩きつけられ死んだかのように見えた京だが、痙攣と高笑いの中起き上がる。 

京「――あっはっはっは! しのぶ君の拳で傷つくようなやわな脳ではない! 私は、世界で、一番、特許を持つ男なのだからァーっ!!」 

風華(頭打って馬鹿になったんじゃ……) 

しのぶ「……と、ともかく、あなた達にはちゃんと説明しておかないとね。私達の組織の成り立ちと……敵を」 

麗「待て……最初に聞くことがある。始乃先輩は無事なのか?」 

しのぶ「ええ、もちろん。彼女はネガティブの本体にされただけで、外傷はないわ。ただ……」 

京「……君だ!」 

びっ、と指を指す京。 
その姿は白衣に眼鏡、マッドな人に見えなくはない。 

風華「……あ、あたし?」 

京「そう、君の拳が彼女の心を変化させた可能性はあるのだ!」 

麗「心の変化だと……!?」 



しのぶ「ネガティブが心の中から生まれる、という一般に知られている情報は確かに正しい。しかし、本来のネガティブは人の心に寄生する生命体なのよ」 


京「例えばだ、人の感情は一種のガスだとする。とあるきっかけでネガティブという火が灯る……通常ならば数日でふっと消えてしまう。しかしだ……」 

ディスプレイに先ほどのネガティブが映し出される。 

京「ガスが一気に噴出すれば、このように爆発を起こすわけだ……これを発見したのは私だ、私はこれを専門に特許を250種類とっている」 

風華「じゃあ、あたしがやったのは、そのガスに焚き付けたようなものじゃ……」 

しのぶ「いいえ、あなたは正しいことをやったのよ、海士都風華」 

京「一部のネガティブは……心のガスを燃やし尽くし、人を廃人にしてしまうのだよ」 

麗「廃人に、だと……!」 

しのぶ「……彼らを救うには、逆に心を燃え上がらせて、奴らを誘き出すしかない」 

京「そして、それを叩くために、ゲンカイザーは作られたのだ」 

風華「……そこにオヤジも荷担してたってわけね」 

京「そう、基地を作るには絶好の場所だったのだ。さあ、役者は揃った、今こそゲンカイザーを君に――」 


風華「断るわ……!」 

麗「何……!?」 

風華らしからぬ意外な返答に、麗も驚く。 

風華「……人を救うってのはご立派な考えだわ。でも、あたしはオヤジの偽善活動に協力する気はない」 

麗「……風華」 

風華「そういうわけだから、麗にでも譲るわ。始乃先輩はどこ?」 

しのぶ「……医療室よ、廊下を出ればわかるわ」 

風華「ありがと、じゃあね」 

司令室を出ていく風華。 

甘輔「……ははは、すまんなぁ、強情な娘で。麗君、すまんが付いていってくれ」 

麗「あ、ああ、わかっています……では」 

医療室を出た風華は、始乃先輩の無事に安堵した。 
窓の向こう、整備されたゲンカイザーの姿がそこにあった。 

風華(あたしには、確かに聞こえた……ゲンカイザーの声が……あれは幻だったの?) 

静かに佇むゲンカイザー。 

風華「……ゲンカイザー」 

京「いや、あれはゲンカイザー“レオ”さ、風華君」 

風華「……レオ?」 

京「そうだ、彼はゲンカイザーの意志を受け継いだ者なのだよ」 

京は語った。 
かつて、ゲンカイザーが地球を救った戦いを。 
歴史の中に埋もれ、政府によって隠された事実を。 

風華「宇宙人だって……!?」 

京「そう、ゲンカイザーは戦った、宇宙人たちとな。私は……子供のころにそれを見た、忘れようがない」 

風華「でも、そいつは……みんなに存在を消されたじゃない、なぜ?」 

京「政府がゲンカイザーの力を恐れたからだ。彼の戦いとテクノロジーにより地球は大幅に発展を遂げたが、その力を恐れた政府はなかったことにしたのさ」 

風華「地球を守った英雄が、そんな……」 

京「フフ、彼はそんな男ではないぞ、風華君」 

京は拳を前に突き出す。 


京「彼が守ったのは、言わばこの拳の届く範囲の……彼にとっては大事な家族、仲間、街だけさ。だが……」 

拳を下ろし、再びゲンカイザーレオを見つめる京。 

京「彼の拳は、自分が思っているそれ以上の力で世界を救った。しかし、決してちゃちな英雄視を望んだわけでも、崇高な使命を胸に抱いたわけではない。……彼自身の意志だけだ、自らの拳の届く範囲でね」 

風華「自身の意志、だけ……」 

そのとき、警報が鳴った! 

しのぶ『京司令、ネガティブの出現を確認しました!』 

京「うむ、了解した。……私は君を知らん、知らん者の意志を計ることはこの天才にも出来ん」 

風華「……そうね、だったら…」 

風華が突きを放つ! 

風華「……気が向い! ゲンカイザーに乗るわ。あたしはあたしの意志で、今、乗ることにする。オヤジは無視、始乃先輩のような人を増やしたくない……!」 


市街地に出現したネガティブは、街中に攻撃を仕掛ける! 

そこに現れる影――カイザーGトッパー!! 

風華「あのネガティブ……どうなってんの!?」 

しのぶ『足元を見て、海士都風華!』 

ネガティブの足元、そこにはとぼとぼと歩く学生がいた! 

学生「模試が……このままじゃ希望の大学に受からないじゃないか!!」 

麗『……テストの点数が原因なのか?』 

しのぶ『心のきっかけは人それぞれなのよ、大小関わらずね。やりなさい、海士都風華!』 

風華「よっし! ――カイザァァァァレォォオオオオオオオオオ!!」 

大地を駆け、カイザーレオが現れる! 
カイザーGトッパーが変形して―― 


風華「ゲェェェェェェェェェェェェンカァァァァァァァァイザァァァレォォォォォォオ!!!」 


大地を踏みしめ、一匹の獅子が立つ! 



学生「ど、道路に立つな! じゃまだろ!!」 

ネガティブがゲンカイザーレオに反応し動き出す! 
怪光線に阻まれ、風華は近づけない! 

風華「く、くそっ、どうすれば!?」 

京『ついでに言っておくと、ゲンカイザーレオの修理は完璧ではない。君の拳は耐えられないだろう』 

風華「そんな状態で……!? ならどうするの!?」 

しのぶ『海士都風華、ファクターアーツαを使うのよ!!』 

風華「ファクターアーツα!?」 

しのぶ『パイロットの感情を、ある種の方向に強制的に向ける武器よ、FAゴングを叩いて使いなさい!!』 

コックピットを観察する、金色のゴングにFAの文字! 

風華「これかぁぁぁぁあ!!」 

ゴングを叩く風華! 
右肩から展開した獅子の顔が、その鬣が、怪光線を防ぐバリアとなる! 
そのままバリアごと敵へと拳を放つ風華! 

学生「な、なんだ、これは!?」 

――GENKAITOPPA! 

風華「げぇぇぇえええんかぁあああああああいけえぇぇぇぇええええええん!!!」 

獅子の牙がネガティブを捕らえる!! 
燃え上がるエネルギー――浮かび上がる『勝利』の文字!! 

学生「ま、また僕は負けるのか!? 負け犬なのか!?」 

風華「――勝つまでは、負けじゃない!! 負けを数えるのは、勝ってからよ!! おぉぉぉぉりゃあああああああああああ!!!」 


ネガティブが空中へ吹き飛ぶ!! 

風華「――限界、突破!!」 

――爆発!! 


京「……やはり、血は争えんな」 

甘輔「ふふ、そうですな……」 

しのぶ「これで、すべてを敵に回したわね……ネガティブも、日本政府も」 


勝利の味を叩きつけろ! 
戦え風華! 
限界突破だ、ゲンカイザーレオ! 



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最終更新:2009年12月12日 21:38