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第三話「限界vs鉄拳!炎のダブルパンチ!」




スーパーの煎餅・あられコーナー。

ヤブル「へへ、サラダ味サラダ味……っと」

道着の男「そういえば煎餅切らしてたな……。」

二人が並んで袋に手を伸ばす。ヤブルはサラダ、道着の男は草加せんべい。思わず互いに選んだものを見る。

道着の男「サラダ……フッ」

ヤブル「なっ……なんだてめえ!サラダをバカにしやがったなあ!?」

道着の男「バカになどしてねえ!ただ、女子供の喰うもんだと思っただけだ」

ヤブル「てめぇ……俺もじっちゃんもせんべいっつったらこいつなんだよおおおおっ!!」

道着の男「騒がしい奴だな。闘るなら……表へ出ようぜ。ここじゃ迷惑だ」

ヤブル「望むところだあああああっ!!」



空き地。ヤブルと道着の男が殴りあって……はいなかった。ヤブルが一方的に殴りかかり、道着の男はただ、それをことごとくかわしている。

ヤブル「ゼェ、ゼェ……てめぇ!なんで攻撃してこねぇ!?」

道着の男「お前、素人だろう。なんの武道もやってねえ。そんな奴を殴るわけにはいかねえんだ。俺の拳はそんな事のためにあるんじゃないからな」

ヤブル「何をえらそーに!ブドウだがマスカットだか知らねえが、俺は!限界を超え続けてきた男だああああああああああ!!」

ヤブルのパンチが道着の男をかすめた!

道着の男「!?」

道着の男が構えた!

ヤブル「へっ!やっとやる気になったかよ!」

道着の男「面白え……相手になってやるぜ!」

ヤブル「うおおおおおおおおおおおっ!!」

道着の男「はぁぁぁぁっ……!」

しかしその後の展開は一方的なものだった。ヤブルのパンチはすべて空を切り、道着の男は確実に強烈な打撃を加えていく。

道着の男(こいつ、まだ倒れないのか……!?)

ヤブル「ハァ、ハァ……ヘッ、ヘヘッフッハハハハハ!!強えなお前!面白えぇぇぇえ!!!」

道着の男「っ!?」(俺が、気圧されただと!?)

バシッ!!
ヤブルのパンチが、道着の男の左頬を捉えた!不敵に笑うヤブル!だが。

道着の男「……セイッ!!!」

グゥワッシャァァァァァァァン!!!
次の瞬間、ヤブルの体は軽く10メートルほど飛んでいた。

道着の男「恐ろしい男だったぜ。まさか素人に本気にさせられるとは……ン?本気!?」

ヤブル「ヘヘ……またひとつ……限界を……超えた、ぜ」
ガクッ。

道着の男「おい、お前!大丈夫か!?しっかりしろ!」



ヤブルが目を覚ますと、見知らぬ少女がヤブルの顔をのぞきこんでいた。

乙女「気が付かれましたか?」

ヤブル「ん……あんたは……?俺は、道着の奴とやり合って、それから……」

乙女「まったく、素人さん相手に本気を出すなんて!虹帯が泣くわよ!?」

少女が叱りつけている相手。あいつだ。

ヤブル「お前……」

テッケン「しょうがねえだろ。……手強かったんだから」

乙女「え?」

ヤブル「……ワリィ、何がどうなってんだ?」

乙女「あら、申し訳ございません。私は披露院乙女と申します。ここは私の家ですの。この拳児くんがあなたにひどい怪我をさせてしまったので、運びこんで手当てさせて頂いたのです」

ヤブル(お嬢様か?調子狂うぜ……)

乙女「しばらく安静にしていた方がよろしいですわ。ごゆっくりなさってください」

だが、その時。遠くに響く重低音とともに地面が揺れた!ヤブルの携帯が鳴る。

じいちゃん『ヤブル!お前せんべい買いにどこまで行っとるんじゃ。ウツノイドじゃ。すぐ戻れ!』

ヤブル「何だって!? よし、すぐ行くかんな、待っててくれよじいちゃん!」

テッケン「?お前まさか……ゲンカイザーの?」

ヤブル「そのまさかって奴だ!こうしちゃいれねえ!乙女さん、世話になったな!」

乙女「いけません!そんな体で!」

テッケン「そうだ。お前はここで休んでいろ」

ヤブル「ふざけんじゃねえ!俺がいかねえで誰が戦うんだよ!?」

テッケン「俺に決まってるだろうが!」

ヤブル「な、てめえケンカが強えくらいで調子に乗んな!ロボットでもなきゃ……?」

テッケン「……フン」

テッケンは走って部屋を出て行った。

ヤブル「あいつ、死ぬ気かよ!?」

乙女「いいえ、大丈夫です。拳児くんにもロボットがございますし、それに拳児くんは……世界に一人しかいない、虹帯の持ち主ですから!」

まもなく、ウツノイドに向け飛び出していく白い巨大ロボットの姿が披露院邸の縁台からも見えた。

ヤブル「あれは……この間敵が二匹出たとき、俺がいない方で闘ってた奴!」

乙女「はい。拳児くんは必ず勝ちます。だからどうか……あなたも彼を信じて」

ヤブル「……ち。わかった、よ」


テッケンオーがウツノイドに立ち向かう!

テッケン「さあ!かかって来やがれ宇宙人野郎!!」

ギバップ「フハハ、来たと思えばゲンカイザーではないのか!地球のロボットなどにやられるのはサタデスの魔闘メカくらいのものよ!やれ、グチリオン!!」

ウツノイドがテッケンオーに迫る。だがテッケンオーは少しも怯まず、打撃を叩き込んでいく!

テッケン「なめんなって言ってんだ!宇宙人がよお!!」

ギバップ「ギ、ギバァァァァッ!?バカな、地球のロボットなどにぃぃぃぃ!?」


乙女「空手百段、柔道百段、合気道百段、その他もろもろ合わせて、黒帯をも超えた帯。それが虹帯です」

ヤブル「道理で、強ぇわけだぜ……」

乙女「本当に、申し訳ございませんでした。拳児くんがひどいことを……」

ヤブル「ま、いいってことよ。おかげでまた一つ限界が見られたからな」

乙女「限界?」

ヤブル「ああ、超えるべき限界さ。男なら、限界目指して当然だからな!」

きょとんとしていた乙女がふふっと笑った。
「実は、初めてなんですよ。拳児くんが『手強かった』なんて言ったのって。打たれても打たれても倒れないあなたに、精神的に追い詰められていたのかもしれませんわね」

ヤブル「へへ……ありゃ、なんだあ?もう一匹出やがった!」

ヤブル「二対一たァきたねえな!俺もいくぜぇ!!じいちゃん!!」

ヤブルが携帯をかけた!

じいちゃん『なんじゃヤブル、遅いから自動操縦でカイザーマシンをそっちへ送ったぞ』

ヤブル「ありがてえ!」

乙女「お待ちなさい!そんな体では無理です!」

ヤブルは頭に巻かれていた包帯をほどくと、自分の拳に巻きつけた。
「……あいつの強さは十分見せてもらった。だから、今度は俺が見せてやるぜ。俺の……限界ィィィィィ!!来いっ!カイィザァァァットッパァァァァァァァァァ!!!」

ビュン!
披露院邸の生垣を越えて、カイザートッパーが飛来した!ヤブルが飛び乗ると、すぐさま上昇していく!そして!

カイザートッパーが胸に!
カイザーハッサンが腕に!
カイザーリンカーが足に!

ヤブル「ゲェェェェェェェンカァァァァァイザァァァァァァァァァァァ!!!」

ゲンカイザーはテッケンオーの背中から魔闘メカを引きはがし、殴り飛ばした。

テッケン「何?出てきたのか!?」

ヤブル「おぉぉぉぅ!俺の意識は限界ギリギリだぜぇぇぇえ!!」



リュウ「乙女さん!食事に行きましょう!」

リュウが突然花束を持って現れた。それ自体は、もはや珍しいことでもないのだが。

乙女「拳児くん達が必死に闘ってるっていうのに……私、人の痛みがわからない人は嫌いですわ!」

リュウ「ハハハ、気が合いますね。私もそういった輩は大嫌いです。どこのどいつですか?私が成敗して……」

乙女「あなた、あれを見て自分も闘わなくてはとか、感じませんの?」

リュウ「そんなもの、やりたい奴にやらせておけばいい。いかがです?夜景の見えるレストランでディナーでも……」

乙女「帰ってください」

リュウ「つれないなあ乙女さん。ロボットに乗って戦うのがそんなにいいんですか?」

乙女「あなたよりは、ずっと!」

リュウ「!」

乙女「あら?わかって頂けましたの?」

リュウ「……まさか、そんな野蛮なタイプがお好みだったとは……だが、そこがまたいい!惚れ直しましたよ乙女さん!
    見ていてください、次会うときは更にあなた好みの男になってきます。では、今日はこれで。ハハハハ!」

リュウが帰っていく。

乙女「わかってなさそう……」


テッケン「そろそろ終わらせるぞ、ゲンカイザー!!」

ヤブル「おうっ!!」

ゲンカイザーがテッケンオーに向け、魔闘メカを殴り飛ばす!

テッケン「せぇやぁぁぁぁぁぁっ!!」

テッケンオーはウツノイドを掴み、ゲンカイザーに向け投げ飛ばす!
空中で衝突するウツノイドと魔闘メカ。そこへ間髪いれず走りこむ二体!

テッケン「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ヤブル「ゲェェェェェンカァァァァァイッ、ケェェェェェェェェェェン!!!」

グシャァァッガァァァァァァン!!

ヤブル「限界……とぉぉっぱっ!!」

ギバップ「ひぃぃぃぃっ!?脱出!」

二つの拳のサンドイッチになり、ウツノイドと魔闘メカはひしゃげ、爆発した。



二体のロボットは、夕陽に照らされて黄金色に輝いていた。

テッケン「まったく、大した奴だぜ。……俺は鉄野拳児。人にはテッケンと呼ばれてる」

テッケンオーが手を差し出した。その手を力強く握り返すゲンカイザー。

ヤブル「俺はヤブル。突破(つき やぶる)だ!」


リュウ「ああいうのがいいのか……もしもし、じいや?欲しい物があるんだけど……うん、腕のいいロボット技師を
    何人か、集めてくれない?……そう、それじゃよろしくね!」

???「ゲンカイザーにテッケンオー……こちらの調整はまだかかるが、これなら余裕綽々、か」


尽「ゲンカイザーとテッケンオーのおかげで、今回も事なきを得た、と」

新村「はい、この分ならこれからも、セイカイオーは使わずに済みそうです」

尽「それは助かりますけど、民間の少年に戦わせるなんて、本当は嫌なんですよね……」

ピピー、ピピー。尽の議員ブレスが鳴る。

尽「もしもし?ああ、宙。どうした?」

宙『実はな……日本に隕石が落ちてくる』


第三話 終


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最終更新:2009年12月13日 17:26