どんなスーパーヒーローであっても、その立場には逆らえない。
それが、現役高校生ならなおさらだ。
ヤブル「ただいまー……」
じいちゃん「おおヤブル、どうじゃった試験は?」
ヤブル「……」
じいちゃん「そ、そうか……」
ダン「気にするなヤブル!男はな、最終的に熱ければいい。そう、ただ熱ければいいんだ!」
ヤブル「……そう、そうだよな!熱けりゃいいんだ!ワハハハハ!!」
ダン「そうだ!笑えヤブル!ワハハハハ!!」
ヤブル「ワハハハ!五教科赤点がなんだ!留年のピンチがなんだ!!」
ダン「ゥグッ……」
益子「……本当に笑ってていいんですか?」
ダン「……いいっ!いいんだっ!笑えヤブル、今だけでも!!」
じいちゃん「ま、明日からの補習、がんばるんじゃな」
第8話「立つのは誰だ?俺もお前も補習漬け!」
翌日、ヤブルが血ヘドを吐きながら補習に明け暮れているその頃、同じく宿命に翻弄される戦士がいた!
教師「よーし鉄野。赤点はお前一人だからな、早く合格してくれよ……何だ、披露院。どうした?」
テッケン「お前なんでいるんだよ!?赤点とってねえだろ!」
乙女「拳児くん一人にしたら、先生を殴り倒して逃げちゃうからよ!」
教師(なに?)
テッケン「ぐっ……しょうがねえ、先生よ、ちゃっちゃと頼むぜ」
教師(図星だったのかよ!)
サタデス『前回のウツノイドは見事なものだったのぉ、リ・タイヤ?』
ギバップ「く……黙れ!少し油断して不意を突かれただけだ!」
リ・タイヤ「下がれギバップ。これ以上恥を塗り重ねたいか?」
ギバップ「ハ、ハハァッ!」
サタデス『フフフ、まあ、それは後でやるがいい。今日は俺の方から出す。
貴様は黙って見ていろ。用はそれだけだ』
リ・タイヤ「ククク、せいぜい健闘を祈るぞ……?」
抜人はある町に来ていた。治水市から姿を消したバンパイオーが、この町の山中に降り立ったのである。
抜人「クラクラする……スタミナのつくもの食べなくちゃ」
ふらふらと町を徘徊していた抜人が、食堂のありそうな商店街に入り込んだ時。
魔闘メカ「シャァァァギョォォォオォン!!」
「ワァァァァッ!!」
「きゃぁぁぁぁっ!!」
抜人「宇宙人のロボット!?」
抜人はほとんど反射的に、頭の中にあの声が響いてくることを覚悟した。
しかし、しばらく経ってもバンパイオーの声は聞こえてこない。
抜人は小走りで逃げながら魔闘メカを見て、気付く。
(ガイコツやフランケンみたいなロボットじゃ、ない?)
足を止めて振り返り、さらに凝視する。
(そうか……宇宙人は一種類じゃなくて、あれは『バンパイオーの敵』じゃないんだ。
なら、俺は戦わなくていい。ただ、逃げるだけで……)
ドォン!ドガァ!メキメキッ!!
そうしている間も魔闘メカは破壊の限りを尽くす!抜人の胸に不安が宿る。
(ゲンカイザー、何で来てくれないんだ?)
あの時、自分を助けてくれたゲンカイザーのパイロット。顔は見ていないが、声は若かった。
自分と何歳も違わないかもしれない彼が、命をかけて戦う理由は何だ?
(……知るかよ。戦いたい奴が戦えばいい。俺は嫌だ!)
人が次々に自分を追い越し逃げていく。
(この人達だって、自分が立ち向かおうなんて思いもせずに逃げていくじゃないか)
魔闘メカが暴れ、ビルが崩れる。信号機が倒れる。抜人の中に生まれて来る衝動。
(だが、俺にはできる。他の誰も、したくてもできないことが)
悲鳴と轟音が渦巻く中、抜人は声に出して叫ぶ。
「本当は行きたくなんか無い……だけど!」
そしてバンパイオーの在処に向けて走り出した。
ヤブル「爆発!?敵じゃねえのか!?」
秀一「落ち着けヤブル。戦士はお前一人じゃないんだ。補習を受ける余裕くらい持ってもいいんじゃないか?」
涼茂秀一はヤブルのクラスメートである。
そして、ギリギリ遊園地の経営を支える涼茂財閥の一人息子でもあった!
ヤブル「お前にはわかんねえよ……なんか、すげえヤな予感がするんだ。
こんなときに限って、テッケンも出られねえような……」
秀一「自分を追い込みすぎだ。……第一ここを抜け出すには、あれを突破しなければならん」
秀一が親指で差した先には。
教師「突ィィィィィィッ!お前自分の立場わかっとんのかぁぁぁぁっ!!」
屈強な教師が立ちはだかっていた!
バンパイオーに辿り着き、乗り込む抜人!シートに座るとアームが伸び、針が首筋に食い込む。
抜人「痛ぇ……でも良かったぜ、お前にやる気が無くても、動かすことはできるみたいだな!」
マントの擬態を解き、バンパイオーを立ち上がらせる。
抜人「まったく勝手なロボットだ。自分の敵以外は知らん顔ってかよ!」
翼を広げ、バンパイオーが飛翔する。魔闘メカと戦うため――。
ドカァァァン!
テッケン「何だ!敵か!?」
乙女「駄目よ!今回はヤブルさんに任せて、真面目に補習を受けなさい!」
テッケン「くっ!……」
教師を睨むテッケンの視線には殺気が宿っている。
教師(母さん……おっかねえよう)「こ、こうして陰極から陽極へ電子が移動して、電流となるわけです」
抜人「ここから、出て行けぇ――っ!」
飛来したバンパイオーは手に持った剣で魔闘メカに攻撃をかける。
しかしその蝙蝠の如き禍々しい姿を見て、天の助けと思う者はない。
ただここに一人、その姿に別の意味で歓喜する男がいた!
リュウ「クックック……魔闘メカに謎のロボット。そしてテッケンは補習中。
奴が出られない今こそ、私の力を見せつける時!……もしもし、じいや?例のものの発進を頼むよ」
じいや『かしこまりました、坊ちゃま』
リュウ「よし、出でよっ!テェン・サイダ―――ッ!!」
リュウが天に手をかざして叫ぶ!
ボゴォン!
地面を割り、テンサイダーが姿を現す!総うるし塗りのボディは文字通り漆黒。
テッケンオーと同等の能力に、ビームとミサイルで武装した非常に高価なスーパーロボット!
リュウ「覚えておくがいい異星人ども!我こそは雷場竜。愛のために戦う薔薇の騎士!」
バシーン!
言いたい事を言うと、テンサイダーはポーズを決めた。
目の前に立ちふさがる教師に向け、ヤブルが訴える!
「ちくしょう、先生、何でわかってくれないんだ?地球の未来と補習と、どっちが大事なんだよ?」
教師「……突。地球の未来なんてもんは自衛隊とか、国連とかに任せとけばいいんだ。
世の中にはそれぞれの役割ってものがある。お前は学生だ。学生の役割は戦う
ことじゃない。勉強することだ。それが未来のためにもなるってものだ」
ヤブル「……そうかも知れねえ。でも、俺は嫌なんだ!そんなもんに、自分の限界を決められたくねえ。
もっと、見たことも無え世界まで……俺は、アリさんじゃねえんだ!!」
教師「そこまで言うのなら、この俺を倒していけ!」
教師が上着を脱いだ!
ヤブル「よぉし、やってやるぜ!うおおおぉぉぉおおお!!……ぐわあああぁぁぁ!!」
秀一「どうせ授業になってないのだから行かせてやればいいものを……ん?
よかったなヤブル。誰か出てきたようだぞ……聞こえてないか」
ヤブル「まだまだぁぁぁっ!」
教師「十年早いわぁっ!」
最終更新:2009年12月16日 07:33