第六話
いぶきの叫びによって解き放たれた三号の真の力は想像を絶するものだった。いぶきは、自分の
心のフィールドを辺り一面にまで押し広げる技・エイテルオンフレアで、高美の乗った敵ロボットを
あっという間に粉砕した。しかし、力を使い果たしたエイテルオン三号はたちまちその場に倒れふし、
二度と立ち上がることは無かった。いぶきは、暴走した自分の心のエネルギーに耐えることが
出来なかったのである。そして、いぶきがその目をゆっくりと閉じた瞬間…
「これだ!私はこの瞬間を待っていたのだ。今に世界は覆るぞ!」……唐突に榊が叫んだ。
それに呼応するかのように、朽ち果てたエイテルオンの内部エンジンが暴走を始め、事態は彼の
言うとおりに進展を始めた……。
一方その頃、ひゅうがはエイテルオン一号に乗ったまま、あてもなく街をさまよい歩いていた。
当然、彼の足元には野次馬が続々と集まり始める。しかし、次の瞬間、さっきまでそこにいたはずの
人々が忽然と姿を消していることにひゅうがは気づいた。
世界の「逆転」が始まったのだ。逆転した世界では、一切の秩序が通用しない。時間も、距離も、
自分と他人の境目も、全てが曖昧になり、激しい勢いで流動を始める。あまりの混沌に、自分自身を
見失いかけるひゅうが。すると、その時…
「負けないで!あなたには、まだやるべきことが残っているわ!」……ひゅうがの前に現れたのは、
なんと亡くなったはずの彼の母、由貴子であった。この混沌の影響で、人の生死の境は無くなって
しまったのである。彼女は、混沌の網をかいくぐり、エイテルフォースへとひゅうがを導き始めた。
この事態を解決するには、エイテルフォースへ引き返し、榊を説得するしかない。
が、世界の逆転は、思わぬ所にまで派生していた。なんと、今まで倒したはずのロボットたちが
一斉に復活し、エイテルフォースを襲い始めたのだ。これに立ち向かうのは、修理を終えたばかりの
エイテルオン二号。しかし、二号の自慢の武器はもはや使いものにならず、あおばの自尊心ももはや
ズタズタだ。危機に直面した彼女の心…それは、この逆転の影響で、ひゅうがを含むあらゆる者の
心に直接伝わった。彼女はその才能を榊に利用され、家族とも引き離されて育った過去を持つ哀れな
被害者だったのだ。このままでは、二号に勝ち目は無い。ひゅうがは、彼女の心に直接声援を送った。
「がんばれ、あおば!お前の強さは、ぼくがよく知ってる。エイテルオンはお前の心にきっと応えて
くれるはずだ。心のままに戦え、そうすればお前は絶対に負けない!」……
ひゅうがの声援がきっかけで、彼女はエイテルオン二号の真の力を目覚めさせた。二号の必殺技…
それは、自分の心のエネルギーをブーメランのように相手にぶつける「エイテルオンカッター」だ。
八面六臂の大活躍で、エイテルオン二号は復活したロボットたちを見事打ち倒した。
しかし、予想だにしない相手が、間髪入れずに姿を現したのだった……!
つづく
最終更新:2010年01月15日 07:34