第五話
エイテルフォースが襲われようとしているこの緊急事態に、思わぬきっかけで始まった同士討ち。
エイテルバズーカにエイテルミサイル、あおばのエイテルオン二号はあらゆる武器を使ってひゅうがの
一号を攻撃するが、一号のエイテルバリアには、いかなる攻撃も通用しない。とうとう、二機の戦いは
体と体のぶつかり合いとなった。
「私がここまで本気を出すのは、これが初めてだわ!」……二号のパワーは、一号のそれとまったくの
互角であった。が、ひゅうがのエイテルオンパンチが決まり手となり、あおばのエイテルオン二号は
ついに大地に倒れ伏した。
ひゅうがは仇敵に勝った。いままで自分のことを、ずっと弱虫だと思っていたのに。もう、彼に
勝てる者など、世界の何処にもいやしないだろう。しかし…ひゅうがは、ちっとも嬉しくはなかった。
無理に笑おうと思っても、涙がこぼれるばかり。どうして、こんなことになってしまったのか…。
「さよなら……いぶき」……ひゅうがはエイテルフォースに背を向け、エイテルオン一号に乗ったまま
何処へともなく去っていってしまった。この一部始終を見ていた高美は、戦意を喪失して退却。
いぶきの乗ったエイテルオン三号は、事の顛末をただ呆然と見ていただけであった。
ひゅうがを追いかけようとする者は、誰ひとりとしていなかった。皆、返り討ちにあうのを恐れた
からだ。だが、一号を失ったからといって、これですべてが終わったわけではない。高美の再来に
備え、榊は恐るべき計画を練っていた。
それは、「二号は修理に専念させ、三号のみが敵と戦う」というものだった。現状を考えれば
それしか手段が無いのは事実だが、のり子はこの案に猛反対した。実力の劣る三号が、一機だけで
戦っても勝てるはずが無い。これでは、ただの「公開処刑」だ。のり子は、今まで榊の信念を信じる
つもりでいたが、いよいよもって、彼のやり方に不信感を抱き始めた。
「何も出来ない役立たずなど死んでしまえ」……それが、榊の真の思惑に違いない。しかし、事態は
もう後戻りできないところまで来ていた。高美の乗る敵ロボットが、すぐそこまで来ていたからだ。
「もうあなたと話し合いをしようなどとは思わない。この基地を徹底的に破壊する!」……高美は
堂々と宣言し、攻撃にかかった。それに立ち向う、いぶきのエイテルオン三号。
「栄え輝け福音よ、永遠に輝け陽の光。逆転の戦士……エイテルオン!」……ひゅうがの口上を
不器用に真似て、いぶきはこの絶望的な戦いへと、今まさに飛び込んだ。
いぶきは、じつに良く戦った。彼女は、あの日から確実に成長していたのだ。しかし、やはり実力の
差は明らかで、次第に追い詰められてゆく。彼女を助けてくれる者は誰もいない。そう、自分にとって
いちばん大切な、あの少年でさえも……
「いや……助けて…助けて!ひゅうが君ーっ!!」……その時、三号の真の力が覚醒した!
つづく
最終更新:2010年01月15日 07:34