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第一話「空想の襲来」



現代。何も書くことも無いであろうただの現代。
地球はいつもと同じ時を刻んでいた。退屈感すら漂わせるいつもと同じ時間。
例えばこんなことを言ってみる。

地球は今とてつもない大きなロボットで武装した武装集団に狙われている!

あなたは笑うだろう。そんなこと書店の奥にあるマンガコーナーを覗けばいくらでも書いてある絵空事だ。
それが現実で起こったら・・・?怪物のような巨大なロボットが国会議事堂やら東京タワーを滅ぼしたら・・・?
あなたは・・・?

ガバッ
荘矢「う・・・あ・・・。またこの夢か・・・。二度目だよ・・・。」
汗だくの少年がいま起床した。彼の名は安達荘矢。高校生である。
深夜の2時。多忙な高校生がこの時間に起きるのは不幸としかいいようがない。
荘矢「マンガみたいな夢だな。実際こんなこと起きたらどんなに楽しいだろうか。」
彼は普通の高校生とすこし考えの軸がズレている面があるようだ。彼はひねくれ者である。

朝。荘矢は親にたたき起こされ仕方なく家を出、学校へと向かう。
彼は中学時代は友人もおり充実した毎日を送っていた。彼が理想を胸に入った高校。それは彼を変えてしまう。
周りが大人になっていくなか彼だけは大人になりきれなかった。つまり置き去りにされた。彼は無気力な人間となっていた。
無気力な彼を次第に回りの人間は嫌っていく。つまり嫌われ者である。彼は周りにとってつまらない男でしかないのだ。
彼の理解者であり中学時代の親友である葛城淳一。彼がいなければ荘矢は学校をやめていたことであろう。

昼休み。みな昼食をとっている。たいてい大人数なのだが荘矢は二人で昼食をとっていた。
淳一「お前修学旅行を休むって本当かよ。」
荘矢「俺なんて行ってもしょうがないさ。勉強してる方がいいに決まってる。」
淳一「修学旅行ぐらいは行ったほうがいいと思うんだけどな。」
荘矢「俺なんかが行ってもつまらないだけだよ。」
淳一「ハァ。お前去年の遠足もサボったじゃねぇか。少しはクラスと一緒に・・・」
荘矢「イヤだって言ってるんだ。俺はもう帰る。」
淳一「おい!またかよ・・・。」

担任「また早退ですか。少しは先のことを考えたらどうですか?」
荘矢「・・・すいません。」
担任「まぁいい。もう帰りなさい。お大事に。」

結局荘矢はまた逃げ出した。いつものことである。彼はいやなことがあると逃げ出すのだ。彼はそんな自分が嫌いであった。
まだ昼間である太陽がさんさんと辺りを照らす。荘矢はうつむいたままバスを待っていた。

太陽はまだ光っていた。


現実とは非情である。毎日いつもと変わらない日常を与え続ける。人々は平凡に毎日を送っていく。
マンガの世界は破天荒かつ奇天烈である。突然見ず知らずの相手が恋に落ちたり、悪い人間を屈強なヒーローが退治したり。
そんなことは同じ日常を繰り返す現実にとって皆無でありそれは”空想”と呼ばれる。
その日常に耐え切れない人々はマンガのような幸せなど現実で起こるはずが無い。と口々に言う。
それで例えばだ。日常にマンガのような幸せが起きないとする。その代わり、

マンガのような地獄が起きたら・・・?

ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!
荘矢の目の前。突如町を空から強い光が照らす。それは太陽の光ではなかった。赤く神々しい一筋の光。町を覆いつくしていく・・・。
その刹那・・・!
ズババババババ!ドドドドドドド!ババーン!
荘矢「!」
光りに包まれた町は瞬く間に炎と化していく!辺りの景色が急激に一変していく!
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアギャアアアアアアアアアアアアアアアアアウワアアアアアアアアアアアア
街中から金切り声のような悲鳴が鳴り響く!死の叫びである。
荘矢の座るベンチの目の前。我を忘れ奇声を上げながら大人たちが逃げ惑っていく。押しては押され。転ばしては転ばされ。
まさに地獄絵図であった。荘矢はわけも分からずその光景をただひたすら見つめ続けていた。

町を覆うほどの火柱、炎、煙。その煙の中から巨大な未知の影がうっすら現れる。
ドシン!ドシン!ドシン!ドシン!ドシン!
この世の物ではないような巨大な轟音を轟かせながらその影は徐々にはっきりとした形となっていく。

これが”現実”か?

まるでマンガで見たような巨大なロボットが立ち尽くしていた・・・!腕を大きく上げ頭の部分の目のようなところから赤い光を放ち町を焼き尽くしていた!
それを見た人々はまるで石像のごとく動きもせず目を大きく見開かせ、口を大きく開け、涙、唾液、はたまた血などの体液が流れているのにも全く気にせずその姿を見て全く動かなかった・・・!
そしてすぐその後町のあちらこちらからまさに死の直前といった感じの人々の悲鳴がこだまする!

荘矢「これじゃ・・・マンガだよ・・・。」

第一話 完


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最終更新:2010年01月15日 08:18