第二話 「空想に目覚めさせられて 前編」
目の前に広がる惨状。荘矢は落ち着きを取り戻そうと必死に自分に向き直る。しかし心臓の動揺は止まらない。
荘矢「・・・とりあえず・・・学校に戻ろう・・。」
学校は町の外れにあるためか被害はほとんどなかった。被害といえば避難目的でまだ混乱しており状況が判断で期待いない学校に退去で乗り込んでくる住民達であった。
教師「体育館はまだ準備が整っていません!まだ入れ・・・」
市民「俺たちに死ねっていうのかよぉ!」
市民「どけぇ!入れろ!」
いーーーーーーれーーーーーーーーろーーーーーーーーいーーーーーーーーれーーーーーーーろーーーーーーーーーいーーーーーーーれーーーーーーーーろーーーーーーーーーー
市民は合唱のごとく同じ言葉を繰り返し始めた。教師はたじろいで顔を真っ青にしてその状況を理解できず立ち尽くしていた。異様な光景に荘矢は目を疑った。
荘矢「・・・これは・・・とりあず・・・裏から・・・。」
荘矢は裏口に向かい走り始めた。
体育館。中には生徒が一時的に避難していた。この状況で市民がなだれ込めば生徒達の精神も混乱するであろう。
生徒「あれ・・・あれなんなのよ・・・」
生徒「かあさん!かあさん!電話に出てよぉ・・・」
生徒「早くかえらせろぉ!」
生徒達は混乱していた。早く家に帰りたい。親の無事が確かめたい。みな同じ気持ちであった。そのなか淳一は荘矢の携帯に向けて何度も発信をかけていた。
淳一「くそ・・・電話に出ない・・・電源を切ってやがるのか・・・?荘矢無事なのか?」
混乱する生徒達の前に同じく混乱した様子の教師が出るとマイクで呼びかけた。
教師「生徒諸君!教室に戻りなさい!」
生徒「ふざけんな!早く帰らせろ!」
生徒「死ぬのはイヤだ・・・」
教師の発言に生徒達は怒りたじろいだ。その中で淳一が一人立ち上がった。
淳一「みんな!ひとまず教室に戻ろう!状況が少し分かるかもしれない。」
生徒「冗談じゃないぜ・・・死にに行くのかよ。」
???「俺は賛成だ。」
荘矢「ちくしょう・・・裏口も人だらけじゃないか・・・どうやって中に入ればいいんだよ・・・。」
既に学校全体を市民が囲んでおりある意味閉鎖状態であった。そんななかたった一人のしかも早退した生徒を入れるために彼らがどくなど到底考えられなかった。
荘矢「くそ・・・もう学校には入れないのか・・・。」
???「待って!」
荘矢があきらめて引き返そうとするのを引き止めたのは荘矢と同じぐらいの少女であった。
荘矢「何だよ君は?」
少女「学校に入れるわ。見ていて。」
少女はその場を離れるといらだちどなりちらしている一人の男性に話しかけていった。男性は怒りの形相をしていたが少女に話しかけられるとその場をどいていった。
少女「今よ。」
荘矢「待ってくれ。あんなにキレてる大人をどうやってどかしたんだ?」
少女「いいから早く。」
荘矢「ちょ・・・待てよ!」
荘矢は少女に言われるままついていった。彼女が向かっていったのは体育館でも校舎でもグランドだった。
荘矢「待てよ!避難するために来たんだろう。何でグランドに行くんだ?」
少女はグランドの真ん中に立つと言う。
少女「あなたには辛い運命かもしれない。だけどあなたは選ばれてしまった。」
荘矢「な・・・!?何を言っているんだ!・・・!?」
いつの間に少女は消えていた。ガン!と頭に突然強い衝撃が襲う。
荘矢「何だって・・・いうんだよ・・・。」
バタッ
淳一についていった生徒はごく少数であった。
淳一「まさかお前が俺の意見を聞くとはな。」
淳一に進んで付いていった大柄の生徒。大門剛一である。俗に言うガキ大将のような存在である。顔のよくモテる淳一に嫉妬しており激しく対立していた。
剛一「フン!誰だって生きるのに必死なんだよ。」
生徒「おい!外を見ろ!」
窓から見える外の景色。巨大ロボットは既に町を焼きつきしておりゆっきりと学校に向けて歩み始めていた。
淳一「こっちに来るのか!?
ゆっくりと目を覚ました。ぼーっとした暗い空間が広がっていた。
荘矢「・・・ここ・・・は・・・?・・・!」
目の前には先刻のような巨大なロボットが立ち尽くしていた。さっきとは姿は違うが恐怖の存在であることに変わりは無かった。
荘矢「・・・お前は・・・誰だ・・・!」
ロボット「・・・我が名は・・・スペース・・・タッカー・・・。」
荘矢「スペース・・・タッカー・・・?」
巨大なロボットはしずかにうなずいた。
スペースタッカー「お前は選ばれたのだ。」
荘矢「・・・何に・・・?」
スペースタッカー「我を操りし戦士にだ。」
荘矢はその言葉に驚愕した。操る。つまりこのロボットに乗るということなのか。
荘矢「俺がお前に・・・?いやだ・・・冗談じゃない・・・誰が乗る物か・・・!」
スペースタッカー「お前はどちらにせよ乗らねばならん。我に乗らねばこの空間からは出られん。」
荘矢「何・・・?これじゃ・・・脅しじゃないか・・・。何で・・・なんで俺なんだよ・・・。俺より適任者はいるはずだ・・・。」
スペースタッカー「いや。お前でなければならない。」
荘矢「訳が・・・訳が分からないよ・・・。俺はこの世界を守る意義なんて無いのに。誰も俺を必要としていないんだ。そんな世界・・・。」
スペースタッカー「・・・だがお前は乗る。この世界を守るために。」
荘矢「冗談じゃ・・・冗談じゃないよ!」
ズガン!ズガン!ズガン!ズガン!
剛一「あの野郎!こっちにどんどん迫ってきやがる!」
淳一「このままじゃ・・・。」
生徒「いやだー!死にたくない!体育館に残ってればよかった・・・。」
剛一「るせぇ!黙ってろい!どっちにしろ・・・死んじまうじゃねぇか・・・。」
淳一「このまま終わりなのか・・・。」
スペースタッカー「お前の仲間が。町に人々が死ぬぞ?いいのか?見殺しにするのか?」
荘矢「俺は・・・怖い・・・怖くて仕方がない・・・何で・・・俺が・・・。」
暗闇の空間のなか光の中から外の光景が見える。ロボットの恐怖におそれおののく人々。神に助けを求める大人たち。
スペースタッカー「どうする?早くしろ。」
荘矢「俺は・・・俺は・・・!」
第二話完
最終更新:2010年01月15日 08:20