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二話「ヒカリ」



戦いが終わり、辺りは静寂を取り戻す。
秋穂は色々なことがありすぎて混乱していた。
状況を整理した結果導き出した答え、大切なことを思い出す。

「夜人!」

はっ!と思い出した秋穂は辺りを見渡す、そして倒れている人影を発見する。
そこに夜人が倒れていた、秋穂はすぐに駆け寄り夜人を膝枕にして呼びかける。

「夜人!夜人!お願い返事をして夜人!」

徐々に意識を取り戻す夜人、どうやら気絶していたようだ。

「秋…穂……?」
「気づいたのね!?良かった夜人!」

涙ぐみながら夜人を抱擁する秋穂。

「心配したんだから、バカ!」

夜人は状況を整理しようと何故ここで倒れていたいたのか思い出そうとするが、少し前の記憶が一切なかった。
頭痛が襲い頭を抱える夜人。

「大丈夫?」

彼は大したことはないと表情で返事をした、そんな事より夜人は気になることがあった。
あの光輝く物はなんなのかと。
それについて秋穂が説明しようとした瞬間、どこからともなく武装した軍隊らしき人が数十人くらいゾロゾロと現れた。
二人は驚いて声がでなかった。

「対象の少年発見、保護します。君達、ケガは?」

二人は首を横に振り大丈夫だというサインを送る。
益々状況が追いついていけない夜人は怯えていた。
立てるかと聞かれ二人はすくっと立ち上がる。
二人はどこかに連れて行かれると察するが、この人達は悪い人ではないとこの時点で判明していた。
何故かというとこの二人に対する対応が優しく、丁寧でいて敵意のない物だったからだ。
その上二人に付き添っている人から不思議と安心感を感じていた。
ただ二人はこの軍人達に身を任せるしかなかった。

「あ!そういえば私達と同い年くらいの男の子見ませんでしたか?さっきまで一緒にいたんですけど気がつけばどこかに行っちゃったみたいで」
「いや、見なかったが。さっこの車に乗って、ちょっと窮屈かもしれないけど我慢してくれ」

怯えて震えている夜人を横目に今はあの少年の事を忘れ、夜人の心配だけをしていようと心に決めたのであった。

場面は変わってここはクレート、司令室。
長官とあの謎の少年が会話していた。

「―――と言うことだな?」
「間違いない、彼らは一枚岩じゃないよ。すぐに次の手を打ってくる」
「そうか、うむ?すまない、連絡が入った」

そう言って通信機に手をとる長官。

「どうした?…そうか、わかった」
「例の彼が来たのかい?」
「そのようだ?会っていかないか?」
「いや、まだその時じゃない」
「そうか…」


二人の乗せた車がクレートにつく、ここがどこなのか見当もつかない二人。
保護されると言っていたが、ここは明らかに軍の施設。
秋穂は確認をとるために付き添いの軍人に聞いた。

「ここどこですか?」
「ここは光の民対策本部基地クレート。人類最後の砦さ…」


場面は変わり休憩室。

「ついたらしいわよ例のパイロットが、どんな顔しているのかチェックチェック!」

長官とやりとりをしていた彼の部下、相田 水城が上機嫌にオペレーターである真樹 瑠奈と会話していた。

「先輩、あんまり期待しないほうがいいんじゃない?」
「なによ~、あんたもちょっとは気になってるくせに」

瑠奈は図星をつかれたのか恥ずかしげに答えた。
顔が赤いまま瑠奈は答える。

「そっそりゃ、人類の命運がかかってますからね。どこの馬の骨かもわからない奴に、しょーもない奴だったら喝を入れてやりますよ!」
「あはは~、血気盛んなこと…。じゃ見に行くわよ」
「ちょっと先輩!」

二人が連れて行かれる予定のメインオーダールームへ向かう。
そしてそのメインオーダールームに一足早くついていた夜人達は付き添いの軍人から軽く説明を受けていた、彼の名前は神沼 紫郎。
ここは秋穂の見た光の巨人の対策基地であることや、紫郎はここの軍人であることや、紫郎は現在彼女募集中であることや他色々。
そんな事を話している内に水城と瑠奈が登場。

「どれどれ~、拝見~……。え?」

水城は我が目を疑った、彼女は愕然とした。
それもそのはず、あの黒き邪悪な巨人のパイロットが自分の知っている人だった。
しかも知人というレベルではなく自分の親族、それも一番身近な甥だったからだ。

「あー!あんたがパイロットね?どんな奴かと思えばなんかすごくヤワそうな奴じゃない」

そう言なり瑠奈は夜人の近くにより、文句をつけた。
当然見に覚えのない文句を言われて夜人は困惑する。

「ちょっとあんた!もうちょっとシャキッとしなさいよ」
「あっ、あの僕は…」

そしてもう一人いる事に気づく夜人。
その人と目があった時夜人は思い出す、子供のとき以来会っていない叔母の存在を。

「水城叔母さん?」
「や…ひと……君…」

そう言い終えた後水城はその場に力なく座り込む。

「先輩?」
「嘘でしょ…、そんな。ああ…神様……」

すぐに駆け寄り水城を心配する瑠奈。
自分の見たことのない彼女の姿に狼狽えるしかなかった。

「大丈夫よ瑠奈ちゃん、ありがとう」
「叔母さんってどういうことですか?まさかあの子は…?」
「ええ、あの子は私の姉の子つまり甥っ子よ」
「そんな!?」

「水城叔母さん?なんで叔母さんがこんな所にいるんだ?さっきからわからないことだらけだよ。
ランニングをしていて何があったのか覚えてなくて、秋穂がいきなり現れて、こんな所につれられて。あの光の塊は何?」

秋穂は混乱している彼を落ち着かせようと、肩に手を置く。

「落ち着いて夜人」

秋穂も水城の事は知っていた、しかし夜人と同じくなぜ彼女がこんな所にいるのかが分からない。

「あんたねぇ―――」
「待ちたまえ」

司令室から現れた長官に瑠奈は言葉を遮られる。
どうやら途中から会話を聞いていたようだ。

「それについては私から説明しよう」
「あなたは…?」

紫郎が答える。

「あの人はこの基地の長官、つまり一番偉い人さ」
「ご苦労だったな月沼准尉」
「ハッ!」
「私の名前は高島 総太郎、まずは我々の敵光の民の事から話さねばならんな」

いつしか夜人は冷静さを取り戻していた。

「彼らは1000年前に別の進化をとげた人間、光の民」
「歴史の教科書に光の民なんて…」
「確かにそんな記述はどこにもない、しかし教えられていることが全てではないのだよ土御門 夜人君」
(この人、なんで僕の名前を…)

「話を続けよう、光の民は我々人間に敵意を示した。
結果戦う事になり、人間は大敗した」

長官は椅子に座り、続ける。

「戦う術のない人々はただ殺される一方だった、そんな折光の民に対抗すべく人々は禁忌に触れる事になる」

一息つき、夜人の目を見て言い放つ。

「闇の力に手を染める」

夜人はその言葉に気圧された。

「闇の力を持って光の民に対抗する、その闇の力とは機械の巨人。その名もジャオウ」
(ジャオウ…?)

秋穂はその聞き覚えのある名前を思い出す、あの少年が言っていたジャオウ…

「戦いはジャオウの圧倒的な力によって有利になる、しかしそれは長く続かなかった。なぜなら人間側から停戦の申し出をしたからだ。有利な状況だからこその停戦だった。それを光の民は受け入れる、とある条件をつけて」
「条件?」
「それは再戦を必ず誓うこと、人間達は合意し再戦の日にちを決めた。それは1000年後」
「それって…」
「そう、1000年後とは今現在なのだよ」
「そんな」
「なんとも身勝手な話だ、我々の祖先というものは。自分達は面倒なことは丸投げし、その結果我々はとんでもないツケ払わさせられる事になるのだからな…」

長官は頭をかかえ、力無く話す。

「光の民は光次元に潜伏し、1000年の眠りについた。そして1000年後の現在、再びその姿を現したのだ」
「ジャオウはどうなったんですか?」
「問題はそこなんだ、我々の先祖はジャオウを恐れ封印した。1000年というタイマーをセットしてね」
「じゃあジャオウは今復活しているんですね?」
「そのとうりだ、我々は祖先の残してくれたそのわずかな希望を頼りにしなくてはいけないのが現状なのだよ。我々クレートはその希望を武器に戦うために設立された」
「私はそのクレートで働いているのよ、夜人君」
「水城叔母さん」
「そしてジャオウにはパイロットが必要なのだ、そのパイロットに選ばれたのが…」

長官は息をのみ、一旦気持ちを落ち着かせ、精悍な顔つきで言う。

「君だ」
「え…?」

水城は顔を歪める、ジャオウの事を知っていたからである。
当然そのパイロットの宿命も。
秋穂はその事実に驚きあの戦闘を思い出す、そして取り乱しながら長官に聞く。

「待って、あれに乗っていたのは夜人なの!?そんなそんなのって」
「彼は一部記憶が無いはず、それが証拠だよ」

夜人は立ち眩み、地面に腰をつく。
なぜならその証拠の心当たりがあるからだ。
自分は記憶を失っていた間、ジャオウに乗って戦っていたのだと悟る。

「いやだ、そんな嫌だ」
「落ち着いてくれ夜人君、我々は君の力が必要なんだ。人類が生き残るためには」
「僕には、そんなのできない。僕はそんな大それた人間じゃない!」
「君の家族を、お兄さんを救うためにも」
「兄…さん……?」
「君の家族はあの光の塊、boxに捕らわれている。光の民は手始めに東京都心を乗っ取り、拠点としたのだ」
「………」

秋穂は耐えかねず割って入る。

「そんなの卑怯よ!夜人の家族を理由に夜人を無理強いさせるなんて!夜人、こんな人達の言う事なんて聞くことない」

「待って秋穂、…僕やります。兄さんやみんなを救うために」
「夜人?」
「本当か夜人君?」

その場にいた誰もが夜人の意外な言葉に驚く。
それは水城も同じだった。

「本当にいいの?夜人君」
「そんな危ない事はやめて夜人」
「秋穂、多分秋穂の家族もあいつらに捕らわれていると思うんだ」
「確かに秋穂君、君の家族も光の民によってboxの中に捕らわれている」
「秋穂のおばさんとおじさんを助けるためでもある、それにこれは僕にしかできないことなんだと思う。だから怖いけど…、怖いけどジャオウに乗って戦おうと思う」
「夜人…」

紫郎が夜人の近くに寄り、肩に手を置く。

「よく決意してくれた夜人君、俺が全力でサポートしてやるから安心しろ!」
「なに言ってんのよ、あんたなんかに任せたら不安だわ」
「そりゃないぜ水城~」
「ありがとう夜人君、我々は君の決断を高く評価したい。ここまで少し疲れただろう、休憩するといい。月沼准尉、案内してくれたまえ」
「了解!」

紫郎は二人を休憩室まで案内する。
その間、二人は考え込み無言だった。
三人が行った後少しして水城は長官に近寄る。

「長官、知っていたんですか?」
「せっ先輩」
「私は君が彼の親類だとさっき知ったよ」

水城は肩を落とす。

「久々に顔を合わせた場所がクレートだなんて…、夢にも思いませんでした」
「神は時として我々に過酷な試練を与える」
「そんな神サマなんて私は願い下げです」
「もっともだ…」

その時、警報が鳴り響く。

「何事だ!?」
「た、大変です光の巨人出現!」

オペレーターが慌てながら報告する、相当大変な事が起きているのだろう。

「場所は…、このクレートです!」
「なんだと!?」

次の瞬間、光の巨人ヴェーラが基地の天井を破り、顔をみせる。

「どうしたんですか!?」

異変に気づいた夜人と紫郎がその場に駆けつける。

「ひっ光の民!?」

驚き、恐怖を覚える夜人。
初めてヴェーラを見たのだから無理もない。

「逃げて夜人君!」

水城の必死な訴えも虚しくヴェーラの放つ光の礫が無情にも夜人を襲う。

「うわぁーー!!」

辺りは煙に包まれる。

「夜人ー!」


「ククク、今日はラッキーだ。一夜に二度も光のやつらを斬れるんだからな…」

基地の遥か上空にジャオウが待機していた。
夜人は無事だった。

「無事だったのね」
「夜人君、まずは光の巨人を基地から引きはがしてくれ!」
「って言ってるぜ?どうする?夜人」
「………」

光の巨人の胴体を掴み投げ飛ばす、とりあえずクレートの安全は確保された。

「迎撃システム作動!」

基地周辺の砲台からヴェーラに向けて一斉放射される。

「駄目です、全くきいてません」
「チッチッチ、奴を殺るにはここまでしないとな」

そう言った後、肩の装甲が一部開口する。

「式神ヤタガラス召喚」

中から多数のカラスを模した小型機がヴェーラを一斉についばむ。

「気をつけな、カラスは光り物が好きだからさぁ」

数秒し、カラス達はジャオウに還る。
そこに姿を見せたのはみるも無惨に変わり果てたヴェーラだった。

「はっはっはっは!見ろよ夜人、まるでボロ雑巾だぜあいつ。元は光輝いてあんなに綺麗だったのに」
「トドメを刺すぞ、ジャオウ」
「オーケイ夜人…」

蓮華丸を闇から出しヴェーラを突く、串刺しになったヴェーラは光の粒子となり消えてゆく。

「なんて圧倒的な強さなんだ…」
「バイバーイ、楽勝だったな夜人?」

ジャオウの問いに夜人は上の空、見つめる先はboxだった。

「ん?そういえばお前の家族があの中にいるんだったな?悪いけどお前の心を読ませてもらった、お前母親を憎んでるんだな?母はお前を見捨てて兄の事しか見ていない。最低な母親だよ、憎んで当然だ」
「………」
「もっとも現実逃避しようにも相手が逃避しちゃったんじゃどうしようもない、こいつは滑稽だハハハハ!」
「…あの中の人間はもう助けられないのか?」
「残念だがそれは俺にもわからない、家族のことは諦めるんだな」
「…フフ、何を勘違いしているジャオウ?助けられないなら最初からいないのと同じ、戦いに巻き沿いを食らっても俺の知ったことじゃない。家族がいようがいまいが俺には関係ないのさ」
「………」
(俺の体内に入れば心の闇の部分が浮き彫りになるがまさかここまでとはな。人は誰しも心に深い闇を抱えている。
普段は月の表面しか見えていないように人間には月の裏側、つまり普段は見えない心の闇を内に秘めている。
それが深層心理。こいつの深層心理は底の見えない深い闇に包まれている。
ククク、益々気に入ったよ夜人)

続く


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最終更新:2010年01月15日 22:23