「光無き夜の闇に突如として現れた謎のロボット。
敵か味方か?その正体は……!?
第四話 敗北!ブラストロン最後の日?!
夜が明ける頃、大量の死体を乗り越えて、ようやく一志は家へと帰り着いた。
徹夜明けでガンガンと痛む頭を抑え、自室へと向かう。
そして自室につくと、そのままベッドへと倒れこむように眠りについていった。
夢を見た。
暗い暗い、光すら飲み込んでしまいそうな漆黒の闇。
上も下もわからない、昇っているのか落ちているのかさえ分からないその闇の中に一志はいた。
あの時と同じ闇の中だと一志は思った。
「一志……」
闇の中から、あの時と同じ声が聞こえる。
ジリジリとしたノイズ音の混じった、低い声。
この星は狙われていると知らされた、あの日と同じ声。
「一志……モウスグ、強大ナ危機ガヤッテクル……」
声が淡々と告げた。
「強大な危機? 」
「ソウダ……。一志ニハ厳シイ戦イトナルダロウ……。ソレデモ……戦ウカ?」
今以上の強大な危機がやってくる……。
一志は考えていた。今以上の厳しい戦いに身を投げるのか。
だがこの声は俺に選択する権利を与えてくれた。
今なら戦いをやめ、元の生活に戻れるのではないか……。
そう思ったとき、ふと鋼の顔が一志の脳裏に浮かび上がった。
悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔をした鋼の顔。
一志は意を決し影に言い放った。
「俺は……この町を守る」
窓から差す日の光で目が覚めた。
時計を見れば昼をすぎて午後三時。
どうやらかなり寝過ごしてしまったらしいと窓を空け空を見てみれば、
そこには満天の青空があった。
雲ひとつない青空に、溢れんばかりの輝きでこの町を照らしだす太陽。
家の前では小学生達がサッカーボール片手に騒ぎ、笑いながら駆けていた。
この平和を守りたい。一志は心からそう思った。
胸のクリスタルもその意志に反応するかのように力強く光った。
真夜中、辺りに轟音とうなり声のような音が響いた。
その音で目を覚ました一志は、パジャマ姿のまま、音のした方向へと駆け出していた。
音の発信源の元には、既に沢山の人が集まっていた。
近所の人間達は騒ぎ慌て、パニックを起こしている。二台のパトカーと数人の警察官が避難の指示を出し、住民達を誘導している。
そこには巨大な人型があった。
30メートルはあろうかという巨大な体躯は青と黄色で彩られ、頭部からは巨大な一本の角が生えている。
その巨人がこちらを……一志をまっすぐに見下ろしている。表情がないのがさらに不気味さをアップさせている。
「あいつの言ってた危機ってのは、こいつのことかよ……」
一志はやっかいそうに頭を掻くと、警察官の目を逃れ物陰へと身を隠した。
「いくぞブラストロン! 」
胸へと手を当て、強く念じる。光が辺りを包みこんでいく。
「グゥゥゥ……ォォォ……!」
強烈な光に、敵がひるんだ隙に、光を纏ったまま敵へと向かって走りだし、そのまま勢いをつけて殴りつける。
大量の土煙をあげて緑と黄色の巨体が吹き飛ぶ。
だが、渾身のストレートも敵にはさほど効いていないようで、首をグルリと一回転させ、ブラストロンをにらみつけてきた。
「くそっ、なんて硬さだ! 」
握り拳を解き、天へと掲げると、光の鞭を作りだし相手へと振りあげた。
「ブラストウィーップ! 」
鋭い音が響き、超高温の鞭が装甲へと打ちつけられる。が、敵は気に止めることもなくブラストロンへとゆっくりと歩み寄ってきた。
「くそっ! くそっ! 」
何度も鞭を振るうが敵の装甲には傷一つついていない。距離をつめられ、敵の片腕に鞭を振るう右腕を掴まれてしまった。
「オ゛オ゛オ゛オ゛!」
雄たけびを上げ、敵はそのままブラストロンを片手で持ち上げると、握る腕へと力を込めた。
強力な力で圧迫されたブラストロンの右腕がミシミシと嫌な音を立てる。
両足で敵の胸を蹴りつけ、左腕で顔面へとパンチの雨を降らすも敵はまったくひるまない。、
淡々と片腕へと力を込めている。
「くそっこの……ぐあぁぁぁぁ! 」
にぶい音をたてて、ブラストロンの右腕がこなごなとなった。
右腕が砕かれ、宙吊りから開放されたブラストロンはバックステップを踏み、相手と距離をとった。
右腕は肘から下は完全に粉砕され、断面からは赤黒い液体が垂れ、火花が散っている。
「ぐうぅ……!」
右腕を砕かれた痛みに呻きながらも一志は相手を見据えた。
咆哮を上げ、敵が突っ込んでくる。
一志は敵を受け止めようと腕を突き出した。だが、片腕だけでは到底受けきれない。
敵の巨大な角がブラストロンの腹部を刺し貫いた。液体が噴出し辺りを染めていく。
「ぐがあぁぁぁぁぁっ!」
中の一志もまた、腹部から血を噴出し、口からは血を吐き出した。
ブラストロンを貫いたまま、敵が頭を上げた。そして、首を捻ると一気に振った。
角に刺さったブラストロンが投げ飛ばされる。建物をなぎ払い、巨大なビルに激突しようやく勢いも収まった。
ぐらりと崩れる身体。そこから立ち上がろうと身体に力をこめるが力が入らない。
悠々とこちらへ向かってきた敵がその拳を振り上げた。拳が変化し剣のようになった。
「ぐ……!」
死を覚悟し、目をぎゅっと瞑る。だが一向に剣が振り下ろされる気配が無い。
ただ、するどい金属音とうめき声が聞こえてきた。
恐る恐る目を開いてみると、そこには先日の黒いロボットが敵ともみくちゃになりながら殴りあう姿があった。
「あいつはやっぱり味方……なのか」
その言葉を最後に、痛みで一志が気絶すると同時にブラストロンも光の粒子となり辺りへと舞い、消えていった。
つづく
最終更新:2010年02月11日 21:30