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「いったい、なんだってんだ……」
ブラストンから降り、辺りを見回してみるが
先ほどまで存在していたはずの巨大サメは、跡形も無く消滅していたのだった。

第三話 登場!謎の戦士



「ったく、なんなんだ……?」
足取りも重く、家への帰り道をたどって行く
頭上の太陽は太陽は雲に覆われこそしていたが、容赦なく光を降り注いでいる。
「赤いロボットに、今度は巨大サメ……」
ジリジリと身体を焦がす光と熱に、自然と汗が吹き出てくる。
「あいつらは俺を知っている……なのにこっちはなにも知らない……」
額にしたたりおちる汗を拭いとる。
こちらから情報を集めようにも、手段がない。
くそっ、どうしろってんだ。
考えていても仕方がない。
パチンと両手で頬を叩き、髪をかき上げ気合を入れる。

「ただいま……」
力なく家のドアを開ける。
「お帰りぃー。ずいぶん早かったわねぇ」
キッチンから母親の能天気な声が返ってきた。
「お昼、チャーハンにするけどどうする?」
「いらない。お腹も空いてないし、二階でゆっくりしとくよ」
母親の申し出を適当に断る。

自室へと入ると、そのままベッドへと倒れこんだ。
そのまま、昼間の疲れからか
一志は眠りに落ちていった。


僅かな物音と、揺れで一志は目を覚ました。
半身を起こし、伸びをし、窓を見る。
窓の外はすっかり暗闇に包まれていた。
「くそっ、すっかり夜じゃねーか」
枕もとの時計を引き寄せると、時間は真夜中の3時を指していた。

ズシン、ズシン……

音がする度、地面が揺れる。
そして一志の頭へと声が響きわたった。

「ブラストロン……、ブラストロン……」

「くそっ、こんな夜中に……!」
ベッドから跳ね起きると、壁にかけてある上着を身にまとい、
階段を駆け降り、声のする方へと走り出した。

だんだんと、巨大な影が見えてきた。
……赤い色をした巨大な四角形。
初めてブラストロンとして戦った、あのロボットの一部がそこにあった。

「くっ、こんな所で……!」
そこは、多数のビルが密集する場所だった。
朝にはサラリーマンや、通学途中の学生達で溢れかえるだろう。
「こんなところで、戦うつもりか!」
大声を上げスクエアへと向かって叫ぶ。
「ブラストロン……!」
声に気づいたスクエアが、桃色の光を放つ。
一志は身体ごと飛込み、転がりながら回避する。
小さいながらも爆音を上げ、アスファルトが粉々になる。
さきほどまで一志がいた場所には、粉々になったアスファルトの破片と
小さいながらも深い穴が開いていた。
「くそっ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
右手を胸の前へと持っていき、叫びながら開く。


だが、なにも起こらなかった。


「なに?!」
服の首元から、胸のクリスタルを覗き込んだ。
胸のクリスタルは黒く染まり、光も放っていない。
「くそっ!おおおおおおおおっ!!」
もう一度試してみたが、ブラストロンが出現する様子は少しもない。

「ブラストロォォォォォン!」
そうしている間にも、巨大なスクエアが迫ってくる。
「くそっ、なんとかしねーと……」
とりあえずは、人のいない所へと誘導しないと……。
スクエアに背を向け走り出す……が。

「あぐっ」

先ほどのアスファルト破片に躓いてしまった。
立ち上がろうとする間にも、スクエアは迫ってくる。
「畜生……!」

スクエアが桃色に光だした瞬間、ビルをなぎ払いながら、もう一つの影がスクエアへと突っこんでいった。
派手な音を上げ、スクエアがビルへと倒れこんだ。
「なんだ?なんだ?!」

突如現れた影を見上げる。
細い身体へとまとった甲虫のごとき装甲、
顔には巨大な二本の牙を備え、暗闇に巨大な赤い単眼が輝く。

フシュゥ……フシュゥ……

巨大な単眼が一層輝いたかと思うと、吹き飛ばした影へと
一直線に走り出した。

「オ゛オ゛ァ……?!」
起き上がろうとするスクエアの上に馬乗りになると
二本の腕をスクエアへと振り下ろしていく。

「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛…・・・!!」
鋭い爪がスクエアを切り刻んでいく。
スクエアも回転し、抵抗しようとするが馬乗りになられ上手くいかない。
桃色の光を発し抵抗しようも、
そんなことはお構いなしとでも言うように、影は爪を振り下ろし続けた。

「ギャガァ……!ギァ゛ァ゛ァ゛!!」
スクエアが悲鳴を上げる。それでも赤い単眼は爪を突きたて続ける。
辺りに影のオイルとも血ともつかぬ液体が飛び散る。

「グギャァ……!」
一際深く爪を突き立てると、
スクエアは一際大きくうめき声を上げ、動きを止めた。

「なんだってんだ。仲間割れか……?」
影は立ち上がり、一志を見下ろした。
血のように赤い単眼が、一志を見つめる。

「……おまえは味方なのか……?」
影に問いかけるも、答えることなく影は消えていった。


「くそっ、どうしろってんだ」

影が消えたところへと向かい、歩を進める。
なにかあればと期待したが、昼間の鮫のようにそこには何もなかった。
ただ、先ほどの戦いに巻き込まれた人達の無残な死体が転がるだけだった。



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最終更新:2010年02月11日 21:31