アットウィキロゴ

3話「天国から地獄」



帳
「申し遅れました、私はビクトリーヘブンズ社の帳と申します」

さっと胸の内ポケットから名刺を取り出しオヤジに渡す帳と名乗る男。

工造
「ビッ!ビクトリーヘブンズ社といやあ、あの大手企業で有名な―――」

ふと名刺に目をやるオヤジ。

工造
「おいおい!何の冗談だ、あんたあの会社の社長かよ!?」
涼介
「なんだって!?」

ビクトリーヘブンズ社といえばアホな俺でもわかるぜ、しかもその社長なら超VIPなこと間違いなし!
そんな社長がこんなオイル臭い町工場になんのようなんだ?

帳
「今日はこの十束工場に出資したいと思いまして」
周防
「まてまて、てことはあんたが借金払ってくれんのか?こっちとしてはありがたいが、言っとくけどこいつらの借金はとんでもねぇ額だぜ?」
帳
「これに好きなだけ書いてくれたまえ」

またしてもさっと小切手らしき物を周防のおっさんに手渡した。

帳
「そして二度とこの家族に近づかないでください」
周防
「あっああ・・・、悪かったな坊主。なんだかよくわからんが頑張れよ」
涼介
「うっ、うん」

思えば周防のおっさんは悪い人じゃなかったのかも、振り返ろうとした時社長に睨まれ逃げるように退散した。

工造
「なんだかわからんが助かった、しかしなんでまた家みたいな貧乏工場なんかに出資を?」
帳
「理由は―――」

そう言ってユンガー50を見上げる社長。

工造
「まさかユンガーを持ってくつもりか!?」
涼介
「こいつは渡さねぇぞ!」
帳
「いえ、滅相もございません。あなた達が戦う、理由はそれだけですよ」
工造
「ユンガーが戦うだけ?本当にそれだけでいいのか?」
帳
「はい、良ければもう一つお願いさせてもらえませんか?」
工造
「なっなんでい?」
帳
「この工場のスポンサーにならせていただけませんか?我々が総力を挙げてバックアップします」
工造
「ビ!」
涼介
「ビクトリーヘブンズ社がスポンサー!?オオオヤジ、これは夢なのか?」
帳
「フフ、よろしいですか?」
工造
「願ってもねぇぜ、よろこんで世話にならせてもらおう!」
帳
「ありがとうございます、では契約書は後程送らせていただきます」
涼介
「オヤジ!俺生きててよかったよ、俺達明日からセレブの仲間入りだぜ」
工造
「うぉー涼介!」

喜びのあまり俺とオヤジは男と男の熱い抱擁を交わした、天の恵みとはこのことだ!!

鋳鉄
「うぬぅ・・・」


裏路地
鋳鉄
「なにを企んでおる?」
帳
「いやですね企んでるなんて、鋳鉄先生」
鋳鉄
「帳 深弥(トバリ シンヤ)・・・」
帳
「私から例の研究の成功祝いですよ」
鋳鉄
「ふっ、わざわざ秘書をつけずこんな所まで来たのはこれが理由じゃろ?」
帳
「それは・・・」
鋳鉄
「ユンガー50のデータじゃ、お主があそこまでするのはこれが目当てだからじゃな?違うか」
帳
「フッ、先生にはかないませんね。しかし本当に今日来たのはデータが目的ではありませんよ、先生の顔が見たかったのもあります」
鋳鉄
「ふん」
帳
「ですがこれはありがたく頂戴します、今後のために―――」



日にちは変わって次の日の夕飯の時間だ、母ちゃんが作っていた頃とは違って男所帯なもんだからマッズい飯を食わにゃならない。
だけどそれも今日でお別れだぜ!なんてったってこれからは家のバックにはビクトリーヘブンズ社がつくんだからな。

涼介
「この貧乏くさい飯とも今日でお別れだなオヤジ」
工造
「明日からはバラ色の人生が待ってるぞ涼介」
涼介
「ロボット造っててよかったよオヤジ、俺この家に産まれてよかったって初めて思ったぜ!」
工造
「そうだろう、そうだろうよ涼介!さあ食えそして噛みしめろ、昨日までの自分とサヨナラするんだ!!」
涼介
「おう!」
鋳鉄
「ふぁっふぁっふぁっ、おーばーぢゃのうお主ら」

涙と鼻水が混ざり合ってしょっぱい味だぜこんちきしょう。
と、ここでアキラが訪ねてきた。
いつも俺達十束家に夕飯をおすそ分けしてくれるんだ。

アキラ
「ジャガイモの煮っころがしを持ってきてあげたわよ」
涼介
「ようアキラ!いま昨日の自分にお別れするためにマズい飯を食ってたところだ」
アキラ
「はあ?」

俺はアキラに昼の出来事を斯く斯く然々説明してやった。
俺の話を聞いたアキラは怪訝そうな顔をしていて落ち着いた様子だった。

アキラ
「ふーん、あのビクトリーヘブンズ社がねぇ・・・。にわかには信じがたい話だわ」
涼介
「当たり前だ、俺達もまだ信じられないんだ。大出世だい!」
工造
「しかしアキラちゃんの手料理がこれから食べられなくなるってのはちと淋しいもんだな」
涼介
「だけどアキラの手料理なんかよりもっとうまい飯が食えるんだぜオヤジ」

アキラ
「悪かったわね私なんかで、そんなこと言うやつは私の手料理を食べなくてよろしい」
涼介
「まっ、待ってくれよアキラ。それはそれこれはこれだぜ」
アキラ
「うっさい、没収!」
涼介
「そんなぁ」
「「「はははは!」」」

ドゴーン!!

ここで貧乏飯、最後の晩餐を妨げる無粋な爆音が響き渡る。
きっと例のバケモノだ、貧乏との決別の大事な儀式を邪魔するやつは早々に退場してもらうぜ。
俺はユンガーのコクピットに乗り込み戦闘準備播但!

工造
「いくぞ涼介、リフトアップ!」
涼介
「おう、いつでもいいぜオヤジ」
工造
「ユンガーGO!!」

昨日の今日だ、工場から発進して綺麗に着地したぜ。
眼前に現れたバケモノはイノシシみたいなを外見している。

バケモノ
「ブヒィーー!!」
涼介
「さぁ、晩飯を邪魔してくれたバケモノにはキツーイお仕置きをしてやりますか!まずはこいつをくらいやがれ、ユンガーァァ・ボルテックス・ミサァァァーーイル!!」

俺はU・B・Mをお見舞いしてやったぜ、バケモノは構わず突進してきやがった。
俺はそいつを正面から受け止める。

涼介
「ぐっ!なんて突進力だ、だけどこんなもんで俺の…、俺達のユンガーは負けねぇ!」
工造
『そうだ、ユンガーのパワーを見せてやれ涼介!』
涼介
「おう!町工場なめんなアッパー!!」

ユンガーの右拳はバケモノの顎を突き上げた、そのまま続けて―――

涼介
「町工場なめんなパンチ!!!」

バケモノのおでこにパンチがヒット、どうだ参ったか!?
突進力が強い奴は意外と脆い、だけどそれはユンガーにも言えることだった…

バケモノ
「ブヒィー!!」
涼介
「な、うわぁぁぁああーーー!!」
アキラ
「涼介ぇーっ!!」

バケモノの強力な牙で突進されてユンガーの左腕が吹っ飛ばされてしまった!
俺はその拍子に操縦席で頭を打ってしまった。

工造
「うっ、腕がー!!ブクブク」
アキラ
「キャー!おじちゃんが泡吹いて倒れた!!」

クソ!!ユンガーの片腕が持って行かれたか!?
だが片腕程度じゃ俺とユンガーの闘志は消えないぜ!!
幸いにももげたのは左腕、まだユンガー・トルネード・パンチは撃てる。
吹っ飛ばしたのが右腕じゃなかったことをたっぷり後悔させてやる!!

涼介
「痛ってー!なにしやがんだ!!?こいつはお返しだぜ!!ユンガーァァ・トルネード・カッタァァァーー!!!」

俺は反撃の態勢に入って、ユンガーの腹部から複数の真空波、U・T・Cを放った。
奴の得物である牙を収穫してやったぜ!
そのせいでバケモノは方向感覚とバランス感覚を失って横っ腹から倒れた。
今がチャンス!!

涼介
「うおぉぉぉおおーー!!必殺!ユンガーァァァ・トルネードォォォ・パァァーーンチ!!」

トドメの必殺技U・T・Pを奴の土手っ腹に食らわせてやったぜ!
バケモノは空中で爆発し、これにて一件落着。

涼介
「ぶい!」
工造
「ぶい!…じゃねえええー!!」

ゴン!

涼介
「痛ってぇぇー!!なにしやがんだオヤジ、俺が勝ったじゃん!なんでゲンコツなんだよ!?」
工造
「バッキャロー!!ユンガーの腕を修理するのにどれだけ金がかかると思ってやがんだ!?」
涼介
「何言ってんだよ、俺達にはビクトリーヘブンズ社とゆう後ろ盾があるじゃねえか、腕の一つや二つ―――」
工造
「資金提供してもらったってユンガーの修理代で全部帳消しなんだよ、むしろ大赤字だ!!かるーーーく予算オーバーだ!!」
涼介
「ええ!!?じゃ、じゃあ修理しなくてもいいよ。俺とユンガーなら片手で十分だ」
工造
「片腕が無かったらエネルギー供給が不十分なんだ、社長との約束を思い出せ!条件はユンガーが戦うことだろ!!」
涼介
「そ、そんな。じゃあ・・・」
工造
「ああ、貧乏生活に逆戻りだ・・・」
涼介
「嘘だ!嘘だと言ってくれよパパン!!」
鋳鉄
「ふぁっふぁっふぁっ、明日は明日の風が吹くぢゃ涼介」
アキラ
「残念だったわね、涼介。言っとくけど家のおすそ分けはあんただけ抜きだから」

そんなこんなで俺のせいで貧乏に逆戻りになっちまった・・・
これからどうなるの俺の人生?トホホ・・・



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年12月08日 08:12