いつもと同じような朝、いつもと同じ平和な毎日。
だが、突如としてその平和は崩れ去った。
次元からの侵略者によって町は焼かれ、人々は嘆き、脅えそして逃げ惑う。
平和な日常は一変して地獄絵図と化してしまった。
ぼくのかんがえたロボット大決戦!
「くっそぉぉ……」
上空から雨あられのようにレーザーをばら撒く円盤軍に対して少年は力なくつぶやいた。
彼はこの町に住む、何処にでも居るようなありふれた少年だった。
今日という日に、両親の偶の休日に、胸を躍らせていた。今日は遊園地へと連れて行ってもらえるはずだったのだ。
だが、少年の楽しみは突如として訪れた来訪者たちによって粉々に粉砕されてしまった。
侵略者の襲来により次々と建物が破壊される中、町中に避難警報が出された。
両親たちは少年の手をとり、避難場所に指定された地下シェルターへと向かった。
だが、両親たちと地下シェルターへと逃げ込む途中、思い出したように両親の手を払い、少年は踵を返し家へと走った。
炎と黒煙の上がる中、少年は家へと向かった。家への通路は無残にも破壊されつくしていたものの、家付近はいまだ手付かずの状態であったる
少年は扉を開けると靴を脱ぐ暇も惜しみ二階にある自らの部屋へと向かった。
階段を駆け上がり、部屋への扉を開ける。綺麗に整理された部屋を見渡しベッドへと駆け寄る。
そして枕もとよりなにかを取り出すと、急いで今来た通路を駆け出した。
階段を段飛ばしで駆け下り開け放した扉を抜ける。少年が家を出た瞬間、閃光が走り家が爆炎を発した。
危機一髪。少年はしばし燃え上がる家を眺めたが、頭を振る両親の待つ地下シェルターへと駆け出した。
シェルターへと向かう最中、町の惨状を嫌というほど目にした。
少年の日常が音を立て崩壊していく。理不尽な侵略者たちに少年の拳に力が入る。
だが、自分は何もできない。その現実にふと拳の中の物へと目をやる。
少年が危険を冒してまで取りに戻った物……それは手垢がつき、塗装は所々剥げたボロボロの人形だった。
テレビアニメに登場する巨大ロボット。何年も遊んだせいでもはや当初の綺麗な面影を留めていないが、
少年にとっては宝物だった。正義を信じ、弱気を助け悪を挫く。無敵のヒーローは少年の憧れであった。
他の子供たちはそんな少年を「子供っぽい」「アニメなんて所詮作り話だ」と馬鹿にした。
それでもこのロボットは少年にとっての唯一無二のヒーローなのだ。
「こんなときこそ、助けに来てくれたらなぁ……」拳の中の人形へと思いをはせた。
その時だ。少年の耳に不快感を煽る嫌な音が飛び込んできた。空を覆う円盤の飛行音。
さきほど我が家が爆破されたように、とうとうこの辺りにまで魔の手が伸びてきたのだ。
慌てた少年が逃げだそうと駆け出した瞬間、吹き飛んだ建物の破片に足をとられてしまった。
「あっ!」駆け出した勢いそのままに、少年は地面へと転げだした。
膝小僧には擦り傷ができ血が流れ出る。膝の痛みに少年が顔をゆがめる。
痛みを堪え立ち上がった少年の付近で爆発が起こった。円盤の一機が少年に気づいたのだ。
爆発の勢いで再び地面を転がる少年、今度は額を擦りむきそこからも血を流した。
円盤は少年自体を狙わず、弄ぶかのように少年の付近ばかりを狙ってレーザーを発射した。
「あぐぅ、くそっ……このままじゃ、殺されるっ」
全身傷だらけになりながら少年が喘いだ。自然と手に持った人形へと力が入る。
少年は祈った。理不尽な侵略者を、理不尽な暴力を排する存在を。
獲物が動きを止めたのに気づいたのか、獲物に止めをさそうと円盤よりレーザーが発射された。
レーザーは確実に少年の胸を捉えていた。迫りくるレーザーに少年は目を瞑り、人形を胸に抱きしめた。
少年は死を覚悟した。
……レーザーはたしかに少年を貫くはずだった。だが一向に痛みも衝撃も来ない。
少年は恐る恐るを目を開け、映った光景に驚愕した。
巨大な拳、それが自分を優しく包んでいる。まるでレーザーから庇うように。
少年は視線を上方へと向けた。そこには黒金色のボディを燃えるような赤い装甲で包んだロボットがいた。
「……大丈夫か?」
黒と赤のロボットから声が聞こえた。力強い意思を感じさせる声だ。
「うんっ!」少年の返答に黒と赤のロボットは頷くと地下シェルターの方角を指差した。
行け……ということなのだろう。「……ありがとう!」少年は律儀に頭を下げると地下シェルターの方角へと走り出した。
少年の姿が見えなくなるのを確認すると、黒と赤のロボットは円盤の方へと向き直った。その背中は少年を庇っている間受けたレーザーでボロボロだった。
円盤も巨大ロボットの出現に驚いたのか、いつの間にか増援を呼んでいた。合わせてその数20機。
「男なら……常に限界突破を目指せ……ってな」黒とか赤のロボットのパイロットが呟き、そして叫んだ。
「行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ゲェェェェェェェンカァァァァァイザァァァァァァァァァァァ!!」
つづく
最終更新:2011年12月08日 08:22