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セイカイオーとバッサイオーが銀の敵と円盤軍を相手に戦っている頃、町の片隅でも戦闘が行われていた。
家の屋根の上を飛びまわり、高速で動く影。そしてそれを追う円盤が三機。
円盤のレーザー攻撃を屋根を飛び移り軽やかに交わすと、影は屋根を蹴りひときわ高く飛んだ。
日の光に照らされ影の正体が明らかになる。
大きさは成人男性ぐらい。そしてライトブルーの全身は東洋の鎧を連想させる。
これまた東洋の兜を連想させる頭部には、口の辺りから三日月のような、髭とでも呼べるものが装着されている。
背中に背負った刀がカチャリと音をたてる。
まさに侍といえるその姿……銀河武将ブーメランは円盤を見据えると背中の刀を抜いた。
抜かれた刀身が太陽の光を浴びきらりと輝く。
「…………」
ブーメランは刀を円盤の一機へと目にも留まらぬスピードで振り下ろした。
その瞬間、円盤が真っ二つに切断され爆発四散した。
ブーメランにより音よりも速く振るわれた刀から、衝撃波が発生し円盤を切断したのだ。
轟音と共に爆発する円盤を背に、別の屋根へと着地したブーメランは再び屋根を蹴り移動し始めた。
残る二機が再びブーメランを追尾する。

そしてまた、別の場所でも……

…………

「……なるほど。ということは尽さんも俺と同じく、気がついたらここに居たということなんですね」
「ああ、気がついたらここに居た。見たところ支持率が動いていないし、ここは僕がいた世界とは違うらしい」
護と尽が辺りを見渡す。
少し遠くに先ほどまでセイカイオーが歩いてきた町が見える。
ところどころから煙が立ち、時たま光が放たれ続いて爆発音が響く。
どちらのパイロットも知らない、遠い遠い世界の町。
その遠い遠い世界の、ひとつの町が危険にさらされている。
二人は顔を見合わせた。二人が同時にうなづく。
「セイカイオーは大丈夫ですか」
「ああ」
護に力強くうなづく尽。
二人はそれぞれのロボットへと歩み寄った。
「「どこにいようとも」」
「俺の」「僕の」
「「することはひとつ。悪は……許さない!」」
二体のロボットは町へと走り出した。

…………

町の中央広場に、銀色のボールがあった。
大きさはバスケットボールよりも少し大きい程度。
普段は大勢の人で賑わう町の中央広場。
今は人一人いない広場に転がる銀色のボール。
そのボールがひとりでに動き出した。
ボールは二・三度左右に転がると、徐々に空中へと浮き出した。
最初は遅く、だが段々とスピードを増した銀のボールは町を見渡せるほどの高さにまで浮上した。
銀のボールは数回その場で回転すると、その中心に、すっと線を引いたような縦筋が現れた。
その縦筋は閉じられた目だった。ゆっくりと開かれた目は、数回瞬くと辺りを見渡すようにボール状の全身を左右へと向けた。
「ぬぅぅぅぅぅ……我の侵略を妨害する邪魔物共め……」
上がる黒煙と炎を見つめ忌々しく呟くと、銀のボールはその身体をぐねぐねと変形させだした。
まるで粘土のようにその身体を変形させるボール。やがてその身体の一部がこぶ状に膨れだした。
こぶはどんどん膨れ、ボール本体の十倍もの大きさになると、ぷつんと本体から千切れ落下した。
こぶは地面にぶつかるとはじけ飛び、幾多の破片へとその姿を変える。そしてその破片一つ一つが姿を変えだした。
あるものは円盤へ、そしてあるものはセイカイオー達と戦った銀のロボットへ
そしてセイカイオー達が知らぬ未知の姿へと……。
それらは変形を終えると、各自町へと散っていった。
暴力を振るい、破壊と悲しみをばら撒くために。
「行けぇい!我が分身たちよ!我の野望を邪魔する愚か者どもを粉砕するのだ!」
ボールが吼えた。

つづく


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最終更新:2011年12月08日 08:27