彼女は帰宅すると、使用人の挨拶も聞かずに目的の部屋まで歩みを速めた。
バタンッ「お兄様っ!?」
けたたましい足音で近付いていることには気付いていたが彼は読書を続けていた
「まったく貴女って人は……、ドアを開けるときはノックをして静かに開けろとあれ程」
「そんなことはどうでもいいですわ!何なんですの今日の戦闘は!?」
「どうでもいいことはありませんけどね……。で、本日の戦闘がどうしたというのです?」
「分かってらっしゃるでしょう?私と熱血様のペアでのコア奇襲を悉く邪魔して!!」
「あんなのは奇襲じゃありませんよ、速さに任せた単なる突撃です」
「『いつもは単独だと上手く奇襲できるのにお前とだと調子が狂う』なんて言われてしまったではありませんか!」
「そりゃあ、あんな無茶な襲撃だとそう言われても仕方ないでしょうねぇ」
「兎に角、次からは私の邪魔はなさらないで頂戴!」
「そう言われても困ります、こちらも仕事なんでねぇ」
「仕事?妹の恋路の邪魔が仕事だって言うんですの!?立派ですわね」
「冗談を。私だってそちらのコアに奇襲してたんですけどねぇ、もっともこちらもほとんど迎撃されてしまいましたが」
「そう言えば、本日まじめさんがベースガードの勲章を頂いてましたわね」
「まじめさんですか、彼女は優秀ですよ。センサーの設置場所、支援での迎撃どちらも完璧でした」
「そうよ、帰ってから熱血様もまじめさんのことをベタ褒めして……ってまさか!?」
「どうかしましたか?」
「ま、まさか私の失態と同時にまじめさんの株を上げようとわざと彼女に迎撃されたんじゃないでしょうね!?」
「はてさて?」
「……っ!!み、見損ないましたわ!!!次に戦場で逢ったときは憶えてらっしゃい!!」バタンッ
「だからドアは静かにと何度言えば……ってもういませんね。」
「……ふぅ、そろそろあの子も我が○○○○○家の正式継承者としての自覚に目覚めて欲しいものですが、あの様子だともうしばらく掛かりそうですね。」
最終更新:2010年04月04日 15:51