この間、如月くんがお前の家を訪ねていたね?ずいぶん長居をしてたようだけど。
|
どうして知ってるんですか?
|
たまたま見かけてね。いくら幼馴染でも、男性を部屋に呼ぶときは気をつけるんだよ?
|
はい、一緒に勉強していました
|
随分と仲のいい幼馴染だね。俺も一度、如月くんとゆっくり話してみたいな……。
|
俺は……生涯愛する人は、ひとりでいいと思ってるよ。
|
まさに運命の人って感じですね
|
その運命の人はお前だよ。あの日、俺に希望の光を与えてくれたのはお前なんだから。
|
私もそんな人に出逢いたいです
|
まだあの約束を思い出せないんだね……。お前はもうすでに出逢ってるんだよ……。
|
戦治の自由奔放さには、時折困らされるんだ。まあそこがかわいいところなんだけどね。
|
ふふ、仲がいいんですね
|
そうだね。戦治がここまで俺を慕ってくれるようになったのは嬉しい誤算だったよ。
|
城戸くんらしいですね
|
ああ。それに生徒会の盛り上げ担当としての仕事は、きちんと果たしてくれてるからね。
|
幼かった頃、お前と神凪家の庭で遊んだ日は今でもよく覚えてるよ。お前はどう?
|
はい、思い出しました
|
お前はあの頃から変わらないね。これからもその笑顔で、俺の心に彩りを添えてほしい。
|
まだおぼろげな部分が少し
|
それでもいいよ。忘れたなら、ゆっくり思いだしていく過程もまたいいものだからね。
|
あの衣装はお前が見立ててくれたのかい?ふふ、いい衣装を選んでくれたね。
|
はい、すごくかわいいです!
|
かわいい……?ふふ、まあ、お前の気持ちだからね、ありがたく受け取っておくよ。
|
ありがとうございます
|
礼を言いたいのはこっちだよ。そうだ、今度はお前の衣装を俺が選んでもいいかい?
|
今度舞台で使う衣装なんだけど、ゴールドの衣装とシルバーの衣装どっちがいいと思う?
|
ゴールドが似合ってます
|
そうかな?お前がそう言ってくれるなら舞台映えしそうだし、そっちにしようか。
|
シルバーが素敵です
|
ありがとう。お前の見立てなら間違いなさそうだし、こちらにするよ。
|
生徒会で会議をして、目安箱を設置してみたんだ。どんな意見が出るんだろうね。
|
面白い意見がでたらいいですね
|
そうだね。それで生徒が楽しめたら、学校の雰囲気も良くなると思うよ。
|
箱を開けてみるのが楽しみですね
|
うん、本当に楽しみだよ。普段、学校の生徒が何を考えているかわかるだろうしね。
|
え?歌の練習で質問がある?いいよ。俺で良ければ何でも訊いてくれ。
|
上手くなるには、どうしたら?
|
発声練習のときに腹式呼吸を意識してみるといいよ。お腹から声を出す感じでね。
|
練習でカラオケは行きますか?
|
実は、カラオケに行ったことがないんだ。いつも防音の音楽室で練習してるからね。
|
一方的に敵対されるのは別に構わないよ。いずれ彼らも無駄なことだと気づくだろうし。
|
誰に敵対されてるんですか?
|
まとめると、神凪家をよく思わない連中だね。あいつらは早く身の程をしるべきだよ。
|
敵視されるのは怖いですね……
|
俺がいれば大丈夫だ。もしお前にそんな人が現れても、すぐ俺がどうにかするからね。
|
お前が弁当を作ってきてくれたのかい?うれしいよ。お前の料理が俺の好物だからね。
|
それは良かったです
|
お前の作ったものはすべて美味しいからね。いつでも俺だけのために作ってほしいよ。
|
神凪さんは好き嫌いはないんですか
|
ないかな。というよりお前の作った料理以外、食べること自体にあまり興味がないんだ。
|
ここの振りつけは変えたほうがパフォーマンスが上がると思うんだけど、どうかな?
|
はい!すごくいいと思います!
|
ありがとう。お前にそう言ってもらえるなら間違いはないね。じゃあこれで練習しよう。
|
私は変えないほうが好きです
|
そうか……。なら、お前の言う通り変えない方向で、完成度を高めるように練習しよう。
|
今度お前とカフェに行きたいんだけど、コーヒーと紅茶、どっちが好きなのかな?
|
コーヒーのほうが好きです
|
コーヒー豆にこだわっているカフェを知っているから、そこにしようか。楽しみだよ。
|
紅茶のほうが好きですね
|
紅茶か……なら、俺の行きつけの店にしようか。そこのシフォンケーキが美味しんだ。
|
幸太朗は幼少期からずっと一緒にいるんだ。彼は昔からよく働いてくれたよ。
|
幼少期からですか?
|
ああ、俺達は親類でね。幸太朗の家は代々神凪本家の当主に仕えるという習わしなんだ。
|
どうしてあんなに強いんですか?
|
警察の父の影響と、昔から何も考えずに、ひたすら身体を鍛えてたからじゃないかな?
|
演技か……。そうだな……人間は誰しも、毎日何らかの形で演技してると思うよ。
|
何らかの形……例えば?
|
例えば、親への対応と先生への対応は違うだろう?これはある意味演技じゃないかな。
|
神凪さんも演技してるんですか?
|
要領よく生きようと思ったら演技は必要だよ。……お前の前では必要ないけれどね。
|
最近、蓮と仲がいいそうだね。生徒会室によく出入りしているとか……
|
生徒会の雑事を手伝ってるんです。
|
そうだったのか……。大変だね。蓮には、あまり無理させないように言っておくよ。
|
そんな話しましたっけ?
|
蓮からよく話を聞かされるんだ。ふふ、いずれは俺の力にもなってほしいな。
|
今度歌う曲なんだけど、バラードとダンスミュージック……お前ならどっちが聴きたい?
|
しっとりとしたバラードですかね
|
なら、バラードにするよ。愛する名前を思いながら歌うとしよう……。
|
ダンスミュージックがいいです
|
じゃあ、お前が好きそうな明るくてアップテンポなダンスミュージックにするよ。
|
……!ああ、すまない。本に夢中になっててお前に気づかなかったよ……
|
なんの本を読んでたんですか?
|
これは標本の作り方の本だよ。前は収集だけだったけど、最近自分でも作り始めたんだ。
|
驚かせてすみません
|
いや、お前が謝る必要はないよ。むしろ話しかけてくれて嬉しいくらいだ。
|
普段誰かと一緒に歌ったりしないから、いろんな人とユニットを組むのは少し慣れない。
|
色んな人と組むのは楽しいですよ
|
そうかな?お前は優しいから、様々な人とも上手くくできるんだろうね……。
|
他の人は苦手ですか?
|
苦手というより……『普通の友人』としてどう接していいかイマイチわからないんだ。
|
愛は結婚への階段でしかないと思うんだ。その階段の長さは人それぞれだけどね。
|
私も、そう思います
|
お前ならわかってくれると思ってたよ。もうそろそろ、伝えてもいい頃かもしれないね。
|
私は長いタイプかもしれません
|
おや、結婚に対してなにか心配でもあるのかい?……詳しく教えてほしいな。
|
演奏はパフォーマンスにおいて大事な要素だ。演奏次第で歌もダンスも決まるからね。
|
こだわりがあるんですね
|
もちろん。俺はどんなことでも完璧を追求するからね。一切手は抜かないよ。
|
選曲も大事ですよね
|
ああ。俺はいつも、観客が俺に何を求めているのかをしっかり判断して、選んでいるよ。
|