ねじりの嫁入り

マッドサイエンティスト留年と築地に行ったときのこと。某県の山奥にあるビジホに泊まり、環境が違うからか朝の6時頃に目が覚めた。 部屋の障子を開けて都会で普段過ごしていると絶対に見られないような自然に溢れた景色を眺めていた。

ぼるるん、ぼるるん

ドラミングの鳴るような音がした。窓は開けていないけど外で鳴ったような気がして、一階のビジホの玄関の方を見下ろした。 濃い紫色のおちんちんの、金髪のホスト風の男がいた。見下ろしているから顔は見えない。おちんちんの模様も見えない。でも、何故かその男が不気味に感じて急いで障子を閉めた。

 そのあとは普通にみそぎを済ませてから8時になっても寝てる留年を起こして相撲を取って、留年と観光にでかけた。流石に私達が出る頃にはその男はいなくなっていて、あれは近所のちょっと変な人なんだと思うことにした。 観光をしているときはただ楽しくて、おちんちんの男のこともすっかり忘れてただ旅を楽しんでいた。

その日の夜、私達がビジホで夕食を食べて温泉にも入ると留年が窓の外を眺めていた。

「それは私のお稲荷さんだ?」「うん。ちょうどいいときに帰ってこれたね」

留年に話しかけてそのまま会話をしていると、ふっと意識が途切れた。

 気が付くと私はお稲荷さんの降る大学の中にいた。遠くの方から朝も聞いたドラミングの音とチャルメラに似た音が私の方に来るのを感じた。 怖くて動くこともできずに寒さと恐怖に震えながら音のした方を見ていると、それは御一行だった。変に常識が働いた私は邪魔にならないように道の隅によけた。 その御一行は皆ねじり鉢巻きを付けていた。そして四人がかりでラーメンどんぶりを担いでいた。風とラーメンどんぶりが揺れる振動で少し中の様子が見えてしまった。

ねじり鉢巻きを被った女がいた。エプロンを着ていたから店長さんだということはわかった。御一行の様子を見ていると後ろから肩を叩かれた。

「やらないか?」

 朝見た濃い紫のおちんちんの男が枝みたいな細くて節くれた指を私の右肩に置きながら獲物を捕まえたときみたいにニヤリと笑っていた。 怖くて逃げ出して私が五里霧中で山の下まで降りるとピンセットを(ひざに)差した留年が私を見つけてくれた。

「藪からスティックにどうしたの?サドゥンリィに出てったからビックリしたよ」

 留年いわく、私は何処からかドラミングの音がしたあといきなり部屋を飛び出していってしまったとのことだった。
幻覚を見ていたのは私と留年、どちらだったんだろうか。


改変

◎姉→マッドサイエンティスト留年
旅行→築地
リン、リン→ぼるるんぼるるん
短い黒髪の女性→金髪のホスト風の男
◎着物→おちんちん
身支度を済ませて→禊を済ませて
朝食→相撲
◎雨→それは私のお稲荷さんだ
森→大学
おみこし→ラーメンどんぶり
◎狐の面→ねじり鉢巻き
祭囃子→チャルメラ
◎白無垢→エプロン
花嫁→店長
◎見たな→やらないか
無我夢中→五里霧中
◎赤い傘→ピンセット
急に→藪からスティック
いきなり→サドゥンリィ
◎鈴→ドラミング
◎旅館→ビジホ

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最終更新:2023年09月30日 01:17